吾妻鏡入門第十七巻

建仁元年辛酉(1201)七月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　ざんしょや　　　　　　 ごと　　　　ばんりょう　 ま　　　　　 ごしょ　　 をい　ひゃくにち　おんまり　 はじ　 られ
建仁元年(1201)七月小六日甲寅。�ﾘ。殘暑焼けるが如し。晩涼を待ち、御所に於て百日の御鞠を始め被る。

これ　　さきんご　たねん　とうどう　　この　 せし　 たま　　　いへど　　　 いま　　 そ　　 おうし　　 し　　　 せし　　たま　　　　　　　　よっ　　　　ほくめん　ら　　なか
是、左金吾多年當道を好ま令め給ふと雖も、未だ其の奥旨を知ら令め給はざるに依て、北面�@等の中、

かく　　げいたっしゃひとり　　くだ　　られ　　べ　　　のよし　　せんとう　　もう　　こ　　　せし　ところ　　びんぎ　　じん　　さ　　　くだ　　られ　　べ　　 のよしちょっきょ　 かん
此の藝達者一人を下せ被る可き之由、仙洞に申し請は令む處、便宜の仁を差し下せ被る可き之由勅許の間、

これ　　かか　　 やから　をい　　　ちょうれん　　こう　　かさ　　　　うわあし　　まじ　　　　　　　 ためなり
之に携はる輩に於ては調練の功を累ぬ。上足に交わらんが爲也。

さる　 こく ひとびとさんしん　　　 さきんご　 た　　 せし　　たま
申の刻人々參進す。左金吾立た令め給ふ。

ほうじょうのごろうときつらぬし　しょうしょうほうげんかんせい　とみべのごろう　たいふぼうげんしょう　　ひきのいやしろう　　ひたのはちろうむねなおら これ　こう
北條五郎時連主、 少将法眼観�C、 冨部五郎、大輔房源性、比企彌四郎、 肥多八郎宗直等之に候ず。

かねもちうえもんのじょうかぞ　　もう　　　　えまのしろうどの　　おな　　　たろうぬし　　みんぶのじょうゆきみついか けんしょう　こう
金持右衛門尉計え申す。江間四郎殿、同じき太郎主、民部丞行光以下見證に候ず。

参考�@北面は、白河法皇が院直属の軍隊として護衛用の武士を雇ったのが始まりで、御所の北側に置いたところから北面の武士と呼ばれる。又、鑓水の取水口があったので滝口ともいわれる。北面には、五位以上の上北面と六位以下の下北面とがあり、兵衛尉クラスは下北面の武者。

現代語建仁元年(1201)七月小六日甲寅。晴れです。残暑が焼け着くほどに暑いので、夕方の涼しくなるのを待って、御所で百日連続の蹴鞠を始めました。それは、左衛門督頼家様がこの蹴鞠の道を大好なのでありますが、未だにその奥義を窮められないので、京都御所警備兵の北面の武士の内で、この芸の達者な者を一人、鎌倉へ下らせるように、後鳥羽上皇に申し込んでおりました。そこで、ちょうどよい人を鎌倉へ行かせるよう命令を出してくれたので、鎌倉ではこれに係る連中は懸命に練習しました。それは蹴鞠の上手になるためです。申の刻(午後四時頃)に皆集まってきました。左衛門督頼家様は用意をして立ちました。北條五郎時連様・少将法眼観清・冨部五郎・大輔房源性・比企弥四郎時員・肥多八郎宗直達がこれにつきあいました。金持右衛門尉が数をかぞえました。江間四郎義時様・同太郎(泰時)・二階堂民部大夫行光などが検証をしました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　てしまのうまのじょう　　 とさのくにしゅごしき　　　ぶ　　　　ささきのなかつかさのじょうつねたかほっし　　あとなり
建仁元年(1201)七月小十日戊午。豐嶋右馬允、土佐国守護職に補す。 佐々木中務丞経高法師 が跡也。

現代語建仁元年(1201)七月小十日戊午。豊嶋右馬允朝経を、土佐国の守護職に任命しました。佐々木仲務丞経高法師の後任です。

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