吾妻鏡入門第十七巻

建仁二年壬戌(1202)閏十月小

建仁二年(1202)閏十月小一日壬寅。今日。於由比浦有列(例)笠懸會。射手十騎也。

読下し                     きょう   ゆいのうら  をい  れい  かさがけえ あ     いて じっきなり
建仁二年(1202)閏十月小一日壬寅。今日、由比浦に於て例の笠懸會有り。射手十騎也。

現代語建仁二年(1202)閏十月小一日壬寅。今日は、由比の浦で何時もの様な笠懸奉納の会がありました。射手は十人が騎馬です。

建仁二年(1202)閏十月小十三日甲寅。將軍家招請鎌倉中諸堂僧侶於營中。令饗應給。

読下し                      しょうぐんけ かまくらちう  しょどう  そうりょを えいちう  しょうせい   きょうおうせし  たま
建仁二年(1202)閏十月小十三日甲寅。將軍家鎌倉中の諸堂の僧侶於營中へ招請し、饗應令め給ふ。

現代語建仁二年(1202)閏十月小十三日甲寅。将軍様は、鎌倉中のお寺の坊さんを御所へ招待して、御馳走を振る舞いました。

説明十三日は、頼朝の月命日なので、その供養にやったのであろう。

建仁二年(1202)閏十月小十五日丙辰。諸國守護人等奉行條事。兼日被定置之外。動相交他雜務之由。間其訴出來。仍今日有沙汰。事實者。向後可停止。若猶有違犯之聞者。可改補其職之旨。嚴密被仰下。廣元朝臣奉行之。

読下し                      しょこくしゅごにんら ぶぎょう  じょう こと  けんじつさだ  おからる  のほか ややもすれ ほか ざつむあいまじは のよし
建仁二年(1202)閏十月小十五日丙辰。諸國守護人等奉行の條の事、兼日定め置被る之外、動ば 他の雜務相交る之由、

しばしば そ   うった いできた    よっ  きょう  さた あ     ことじつ    ば   きょうごちょうじすべ
間〃、其の訴へ出來る。仍て今日沙汰有り。事實たら者、向後停止可し。

も   なおいはんのきこえあ   ば   そ   しき  かいぶすべ  のむね  げんみつ おお  くださる    ひろもとあそんこれ  ぶぎょう
若し猶違犯之聞有ら者、其の職を改補可し之旨、嚴密に仰せ下被る。廣元朝臣之を奉行す。

現代語建仁二年(1202)閏十月小十五日丙辰。諸国の守護人などが裁決する条件を予ねて決めてある場合以外は、どうかすると他の業務をどさくさに紛れてやらされると、ちょいちょい訴えがあります。そこで、今日ご判断がありました。もしそれが本当ならば今後はやってはならない。もし、違反するものがあれば、その職を他の者に変えるように、厳しく命令をされました。大江広元がこれを担当します。

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