吾妻鏡入門第十八巻

承元々年(建永二年)丁卯(1207)十月大

十月廿五日改元承元々年

建永二年(1207)十月大二日甲辰。被推問囚人盤五家次。不隱密所存。悉以載白状。罪科無異儀之間。殊所被加禁遏也。

読下し                   めしうど ばんごいえつぐ  すいもんさる   しょぞん  おんみつせず  ことごと もっ  はくじょう の
建永二年(1207)十月大二日甲辰。囚人盤五家次@を推問被る。所存を隱密不に、悉く以て白状に載せる。

ざいか  いぎ な   のかん  こと  きんあつ  くは  らる ところなり
罪科異儀無き之間、殊に禁遏を加へ被る所也。

参考@盤五家次は、柏木五郎家次。柏木御厨で滋賀県甲賀市水口町。東海道鈴鹿越えの休憩所。

現代語建永二年(1207)十月大二日甲辰。囚人の柏木五郎家次に尋問しました。行いなどを隠さないで、全て白状し書き上げました。罪の深さに相違ないので、特に厳罰を与えました。

建永二年(1207)十月大八日庚戌。南風頻扇。終日不休止。入夜。若宮大路人家燒亡。猛火烈。烟炎如飛。及數町。

読下し                   なんぷう しきり あお   しゅううじつ やまず  よ   い     わかみやおおじ  じんかしょうぼう
建永二年(1207)十月大八日庚戌。南風 頻に扇ぎ、終日休止不。夜に入り、若宮大路の人家燒亡す。

もうか はげ      えんえん と    ごと    すうちょう およ
猛火烈しく、烟炎飛ぶが如し。數町に及ぶ。

現代語建永二年(1207)十月大八日庚戌。南風が盛んに吹いて、一日中止みませんでした。夜になって若宮大路の民家が火事になり燃えました。風のため火の勢いは激しく、火の粉が飛び散って、数町が焼けました。

承元々年(1207)十月大廿九日辛未。風烈。掃部入道歸洛。

読下し                     かぜはげ    かもんにゅうどう きらく
承元々年(1207)十月大廿九日辛未。風烈し。掃部入道@歸洛す。

参考@掃部入道は、寂忍中原親能。

現代語建永二年(1207)十月大二十九日辛未。風が激しく吹いています。掃部入道寂忍中原親能は、京都へ帰って行きました。

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