吾妻鏡入門第十九巻

承元三年己巳(1209)四月

承元三年(1209)四月小一日甲子。申尅地震。

読下し                   さるのこく  じしん
承元三年(1209)四月小一日甲子。申尅、地震。

現代語承元三年(1209)四月小一日甲子。申の刻(午後四時頃)地震がありました。

承元三年(1209)四月小十四日丁丑。リ。依將軍家之仰。神宮寺始結一夏九旬安居。是當寺供華最初也。鶴岳供僧等奉仕之。

読下し                     はれ  しょうぐんけの おお   よっ    じんぐうじ   はじ   いちげ くしゅん  あんご  むす
承元三年(1209)四月小十四日丁丑。リ。將軍家之仰せに依て、神宮寺で始めて一夏九旬の安居
@Aを結ぶ。

これ  とうじ  くげ   さいしょなり つるがおか ぐそうら これ  ほうし
是、當寺供華の最初也。鶴岳の供僧等之を奉仕す。

参考@一夏九旬の安居は、四月十六日から七月十五日まで九十日間(一旬は十日)建物に篭って仏教の修行をする夏安居(げあんご)のこと。
参考A安居は、寺院に於いて修行することだが、元々はジャイナ教の僧が、托鉢行が主体だが、雨期には地面に色々な虫が繁殖するので、出歩くと虫を踏み殺す事になるので、その期間は建物の中で修行する。これを仏教も取り入れたので、本来は雨安居(うあんご)だが中国では雨期がないので夏にして夏安居(げあんご)と云うようになった。

現代語承元三年(1209)四月小十四日丁丑。晴れです。将軍実朝様の命令で、鶴岡八幡宮内の神社を守る寺の神宮寺で初めて一夏に九十日間のお籠り修行をする夏安居(げあんご)をやりました。これが、この神宮寺で行った仏教供養儀式の最初です。鶴岡八幡宮の僧侶がこれを行いました。

承元三年(1209)四月小廿二日乙酉。京都使者參着。去十日將軍家敍從三位給。

読下し                     きょうと  ししゃさんちゃく    さんぬ とおかしょうぐんけ  じゅさんみ  じょ  たま
承元三年(1209)四月小廿二日乙酉。京都の使者參着す。去る十日將軍家、從三位に敍し給ふ。

現代語承元三年(1209)四月小二十二日乙酉。京都からの使いがやって来ました。先だっての十日に将軍実朝様は、従三位を与えられました。

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