吾妻鏡入門第廿一巻

建暦三年癸酉(1213)月小

建暦三年(1213)閏九月小十二日己夘。天霽。戌刻。天變見東方。丑刻地震。

読下し                       そらはれ いぬのこく  てんぺんとうほう  あら     うしのこくぢしん
建暦三年(1213)閏九月小十二日己夘。天霽。戌刻。天變東方に見はる。丑刻地震。

現代語建暦三年(1213)閏九月小十二日己卯。空は晴れました。戌の刻(午後八時頃)空に異変が現れました。丑の刻(午前二時頃)には地震です。

建暦三年(1213)閏九月小十六日癸未。依小山左衛門尉朝政申請。舎弟長沼五郎宗政被宥御氣色。及出仕云々。

読下し                       おやまのさえもんのじょうともまさ  もう  う     よっ
建暦三年(1213)閏九月小十六日癸未。小山左衛門尉朝政の申し請けに依て、

しゃていながぬまのごろうむねまさ みけしき  ゆるされ  しゅっし  およ    うんぬん
舎弟 長沼五郎宗政 御氣色を宥被、出仕に及ぶと云々。

現代語建暦三年(1213)閏九月小十六日癸未。小山左衛門尉朝政が責任を持つからと願いを申し出たので、弟の長沼五郎宗政の勘気を解かれ、幕府へ出仕できましたとさ。

建暦三年(1213)閏九月小十七日甲申。陰。大地震。

読下し                        くも    おおぢしん
建暦三年(1213)閏九月小十七日甲申。陰り。大地震。

現代語建暦三年(1213)閏九月小十七日甲申。曇りです。大地震がありました。

建暦三年(1213)閏九月小十九日丙戌。陰。戌尅。土肥先次郎左衛門尉惟平被刎首。是依爲義盛与力衆也。而爲囚人。送數月之間。貽其恃之處。終以如此云々。

読下し                       くも    いぬのこく  といのせんじろうさえもんのじょうこれひら くび  はねられ   これよしもり  よりきしゅうたる  よっ  なり
建暦三年(1213)閏九月小十九日丙戌。陰り。戌尅。土肥先次郎左衛門尉惟平 首を刎被る。是義盛の与力衆爲に依て也。

しか    めしうど  な     すうげつ  おく  のあいだ  そ   たの   のこ  のところ  しまい もっ  かく  ごと    うんぬん
而して囚人と爲し、數月を送る之間、其の恃みを貽す之處、終に以て此の如しと云々。

現代語建暦三年(1213)閏九月小十九日丙戌。曇りです。戌の刻(午後八時頃)土肥先次郎左衛門尉惟平の首を刎ねました。それは、和田義盛に加担した一味だからです。実は預かりめしうどとして数月を送ってきている間、もしかしたら助かるかと望みをつないできていましたが、終いにはこの通りでしたとさ。

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