吾妻鏡入門第廿二巻

建保二年甲戌(1214)九月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　み　うま　　りょうとき　　にっしょくしょうげん　　　〔　ごぶ　〕
建保二年(1214)九月大一日壬戌。�ﾘ。巳午の兩時、日蝕正見�@す〔五分〕。

参考�@正見は、正現。

現代語建保二年(1214)九月大一日壬戌。晴れです。午前十時から昼頃まで日食が現れました〔五分の部分食です〕。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひたちのくにふちう　　ぢとう　　あいだ　 こと　　いまよ　　　 いご　　　だいじょうすけもり　さたいた　 べ　　　てへ
建保二年(1214)九月大十九日庚辰。常陸國府中�@の地頭の間の事、今自り以後、大掾資盛 沙汰致す可し者り。

これ　　こうけ　よ　　 ざいちょう　 げ　　 くだ　　れる　　よっ　　なり
是、公家自り在廳の解�Aを下さ被に依て也。

参考�@常陸国府中は、茨城県石岡市。国衙は石岡小学校で遺構が発見されている。
参考�A在廳の解は、在庁官人から朝廷へ出した上申書。解は、身分の下の者から上へ出す手紙。

現代語建保二年(1214)九月大十九日庚辰。常陸国の府中での地頭職の問題について、今後常陸大掾資盛が実施するようにと云ってきました。これは朝廷が国衙の在庁官人からの上申書をよこしたからです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　うしのこくおおぢしん　　きょう　　しょうぐんけ　にしょ　　ごしょうじん　　はじ　 せし　 たま
建保二年(1214)九月大廿二日癸未。霽。丑剋大地震。今日、將軍家二所�@の御精進を始め令め給ふ。

参考�@二所は、二所詣でといって箱根權現と伊豆山權現の二箇所に詣でる。必ず三島神社にも詣でる。皆、頼朝が平家討伐を祈願した神社。

現代語建保二年(1214)九月大二十二日癸未。晴れました。午前二時頃に大地震です。今日、将軍実朝様は箱根・伊豆山の両権現者へのお参りの精進潔斎を始めました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　たつのこく　しょうぐんけ　　にしょ　　ごしんぱつ　　そうしゅう　ぐぶ　　　ずいへい　ごじうよき　ぜんご　　そうら
建保二年(1214)九月大廿九日庚寅。�ﾘ。辰尅。將軍家、二所へ御進發。相州供奉す。隨兵五十餘騎前後に候う。

現代語建保二年(1214)九月大二十九日庚寅。晴れです。午前八時頃、将軍実朝様は二所詣でに出発です。義時さんがお供です。武装兵五十騎が前後に仕えています。

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