吾妻鏡入門第廿二巻

建保二年甲戌(1214)十一月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　ろくはら　　ひきゃくとうちゃく　　　　もう　　　　い
建保二年(1214)十一月大廿五日乙酉。�ﾘ。六波羅の飛脚到着し、申して云はく。

わださえもんのじょうよしもり　　だいがくのすけよしきよら　　 よるい らくよう　　す
和田左衛門尉義盛、大學助義�C等の餘類洛陽に住む。

こきんごしょうぐんけ　おんそく　　〔　ぜんじ　　ごう　　　〕　　もっ　　だいしょうぐん　　な　　　　　ほんぎゃく　たくら　のよし　　そ　　　きこ　　あ　　　　　よって　　さんぬ　じうさんにち
故金吾將軍家御息�@〔禪師と号す〕を以て大將軍と爲し、叛逆を巧む之由、其の聞へ有るに依て、去る十三日、

さきのだいぜんだいぶのざいきょう　けにんら　 くだん　りょてい　〔いちじょう　きたあたり　〕　　おそ　　のところ　　ぜんじ　たちま　じさつ　　ばんとうまた　　とうぼう　　　　うんぬん
前大膳大夫之在京の家人等、件の旅亭〔一條の北邊〕�Aを襲う之處、禪師忽ち自殺し、伴黨又、逃亡すと云々。

参考�@將軍家御息は、栄実。子供の頃は千寿丸。母は、一品坊昌寛の娘。この娘は後に三浦胤義と再婚する。（承久記）
参考�A旅亭〔一條の北邊〕は、実は仁和寺。

現代語建保二年(1214)十一月大二十五日乙酉。晴れです。京都六波羅からの伝令が到着して報告しました。和田左衛門尉義盛・土屋大学助義清の仲間が京都に潜んでいて、故左衛門督頼家様の息子〔禅師といいます〕を大將軍にかついで、叛逆を計画しているとの噂があるので、先達ての十三日に大江広元の京都駐在の家来達が、その旅の宿〔一条の北のあたり〕を襲撃したところ、禅師はあっという間に自殺をしてしまい、仲間は逃げ去ってしまいましたとさ。

説明愚管抄によると、「また頼家が子の、葉上上人がもとに法師になりてありける十四になりけるが、義盛が方に打ちもらされたる者のあつまりて、一心にれこの禅師を取て打出んとしける。また聞えて皆うたれにけり。十四になる禅師の自害いかめしくてけり。と義時の家来が自害させたとしている。

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