吾妻鏡入門第廿二巻

建保三年乙亥(1215)十二月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  はれ　　いのこく　　きんもくおな　 ど　　　どうじ　　　ぢしん
建保三年(1215)十二月大十五日己亥。�ﾘ。亥刻。金木同じ度�@。同時に地震。

参考�@金木同じ度は、金木無常といって、一緒でないほうが良いので、この場合は滅亡の前兆で縁起が悪い。

現代語建保三年(1215)十二月大十五日己亥。晴れです。午後十時頃に金星と木星が接近したので縁起が悪いのです。同時刻に地震がありました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  はれ　 しゅうじつかげはげ　　れんれん　てんぺんら　こと　　してん かんもん　 ささ
建保三年(1215)十二月大十六日庚子。霽。終日風烈し。連々の天變等の事、司天�@勘文�Aを捧ぐ。

しょうぐんけこと　　ごきんしん あ　　　べ　　 の へんなり　 うんぬん　　たいふさかんにゅうどうぜんしん これ　　と　　　もう
將軍家殊に御謹慎有る可き之變也と云々。　大夫属入道善信　之を執り申す。

そうしゅう　だんかんれい　とうのみんぶたいふら　 ぜんせい　おこされ　 かうんちょうきゅう　すべ　　めぐ　　され　　べ　　　のよし　　これ　　もう　　　さた
相州、大官令、藤民部大夫等、善政を興被、 佳運長久の術を廻ら被る可し之由、之を申し沙汰す。」

またきょう　　　いずのくに がんじょうじゅいん みなみしんみどう　　くよう　　　 と　　　らる　　　　ほんぶつ　　あみださんぞん　　 なら　　　　してんのうぞう　　 うんぬん
又今日、伊豆國　願成就院�B 南新御堂の供養を遂げ被る。本佛は阿弥陀三尊、并びに四天王像と云々。

これ　　そうしゅう　　ごがん　　な　　　　こ　　あいだしんぞうされ　ところなり
是、相州の御願と爲し、此の間新造被る所也。

現代語建保三年(1215)十二月大十六日庚子。晴れました。一日中大風でした。続いている星周りの異常について、天文学者が報告書を出しました。将軍実朝様はおつつしみなられるようにとの警告の変事だそうな。大夫属入道三善善信が取り次ぎました。義時さん・大江広元さん・藤民部大夫行光さん達は、「良い政治を行って、運が向いてきて長生きできるような工夫をするべきでしょう」と云い、そう取り決めました。又、今日伊豆の願成就院の南に新しいお堂の開眼供養をしました。本尊は阿弥陀三尊と四天王像だそうな。これは、相州義時さんの願として最近新造中だったのです。

参考�@司天は、天文学者で陰陽師。
参考�A勘文は、平安時代、神祇官(じんぎかん)・陰陽師(おんようじ)などが天皇などの諮問にこたえて、先例・吉凶・方角・日時などを調べて上申する文書。Goo電子辞書から
参考�B願成就院は、静岡県伊豆の国市寺家83-1。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  はれ　いぬのこく　たいはく　さいせい 〔あいさ　　　くすん　　　ところ〕　　　おか
建保三年(1215)十二月大十九日癸夘。�ﾘ。戌刻。太白、歳星〔相去る九寸の所〕を犯す。

現代語建保三年(1215)十二月大十九日癸卯。晴れです。午後八時頃、太白金星が歳星木星の軌道を犯しました〔27cm離れたところです〕。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　けんぷら　を　ぜんこうじ　　そうと　　　ほどこ　たま　　　　ふせうえもんのじょう 　これ　　ぶぎょう
建保三年(1215)十二月大廿日甲辰。絹布等於善光寺の僧徒に施し給ふ。布施右衛門尉�@之を奉行す。

参考�@布施右衛門尉は、長野県長野市篠ノ井布施。

現代語建保三年(1215)十二月大二十日甲辰。絹織物を善光寺の坊さん達に与えました。布施右衛門尉康定が担当です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　てんぺん　おんいの　　　ごぜん　　 なんてい　 をい　 おこな　れ　　　　せんけん さいせいさい　ほうし
建保三年(1215)十二月大卅日甲寅。天變の御祈り、御前の南庭に於て行は被る。宣賢 歳星祭を奉仕す。

みうらのさえもんのじょうよしむら これ　　さた
三浦左衛門尉義村 之を沙汰す。

現代語建保三年(1215)十二月大三十日甲寅。天の変事のお祈りを将軍実朝様の見ている南庭で行いました。宣賢が木星の祭りをしました。三浦平六兵衛尉義村が負担しました。

建保四年正月へ

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