吾妻鏡入門第廿三巻
建保五年丁丑(1217)九月大
|
建保五年(1217)九月大四日戊刀。雨降。午剋大風。御所東西廊已下。鎌倉中舎屋大略顛倒。 |
読下し
あめふ
うまのこくおおかぜ ごしょ とうざい ろう いげ
かまくらちう しゃおくたいりゃく てんとう
建保五年(1217)九月大四日戊刀。雨降る。午剋大風。御所の東西の廊已下、鎌倉中の舎屋大略
顛倒す。
現代語建保五年(1217)九月大四日戊寅。雨降りです。昼頃に大風が吹いて、御所の東西の渡り廊下を始め、鎌倉中の家々がほとんど倒れました。
|
建保五年(1217)九月大十三日丁亥。將軍家爲御覽海邊月。渡御三浦。左衛門尉義村殊結搆云々。 |
読下し しょうぐんけ うみべ
つき ごらん ため みうら わた たま さえもんのじょうよしむらこと
けっこう うんぬん
建保五年(1217)九月大十三日丁亥。將軍家、海邊の月を御覽の爲、三浦へ渡り御う。左衛門尉義村殊に結搆すと云々。
現代語建保五年(1217)九月大十三日丁亥。将軍実朝様は、海辺の月を眺めるために三浦へ行かれました。三浦平六左衛門尉義村は、特に接待を用意しましたとさ。
|
建保五年(1217)九月大卅日甲辰。晴。永福寺始被行舎利會。尼御臺所。將軍家。并御臺所御出。法會次第。舞樂已下盡美盡善。 |
読下し
はれ ようふくじ はじ
しゃりえ おこなは あまみだいどころ しょうぐんけなら みだいどころおんいで
建保五年(1217)九月大卅日甲辰。晴。永福寺で始めて舎利會を行被る。尼御臺所、將軍家并びに御臺所御出。
ほうえ しだい
ぶがく いげ び つく ぜん つく
法會の次第、舞樂已下美を盡し善を盡す。
現代語建保五年(1217)九月大三十日甲辰。晴れです。永福寺で初めて舎利供養の法要を行いました。
尼御台所政子様、将軍実朝様と坊門姫がお出でになられました。法要の内容も、奉納の舞楽など、贅を凝らし手を尽くしておりました。
吾妻鏡入門第廿三巻