吾妻鏡入門第廿六巻

貞應三年甲申(1224)三月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　 わかぎみ　おんてい　みなみろう　おんしとみうえ　　からすす　 つく　　　　きょう　これ　 　みいだ
貞應三年(1224)三月小十四日辛亥。�ﾘ。若君の御亭の南廊の 御蔀上に、烏巣を作る。今日之を見出す。

せんれいふかいのよし　　そ　　　さた あ　　　　　ないない　 ぼうくぜいされ　　　ごびょう　　ことのよし　　くにみち　 ちかもとら これ　 うらな　 もう
先例不快之由、其の沙汰有り。内々に卜筮被る。御病の事之由、國道、親職等之を占い申す。

現代語貞應三年(1224)三月小十四日辛亥。晴れです。若君三寅さんの家の南の廊下の蔀戸の上に、カラスが巣を造りました。それを今日見つけました。前の例では良くないとあったので、内緒で占わせたました。病気の心配があると、安陪國道・安陪親職が占いました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　 うまのこく 　わかぎみ　おんてい　かまどの　かま　　みみ　　　くさびらは
貞應三年(1224)三月小十八日乙夘。霽。午刻、若君の御亭の釜殿の釜の耳に、 蔬�@生える。

よっ　　いがのしきぶのじょうみつむね　おな　　　ろくろううえもんのじょうみつしげら ぶぎょう　　　　おんうら　 おこなは　のところ　　きこ　　め　　おどろ　　ことあ　　　べ
仍て 伊賀式部丞光宗、 同じき六郎右衛門尉光重等奉行し、御占を行被る之處、聞し食し驚く事有る可し。

また　　とらさるどし　　にょぼう つつし　れるべ　　のよし　　おんみょうじ ごにんれんしょせし　 これ　 もう
又、寅申歳の女房 愼ま被可き之由、陰陽師 五人連署令め之を申す。

参考�@蔬は、茸(きのこ)。

現代語貞應三年(1224)三月小十八日乙卯。晴れました。昼頃、若君三寅の家の竈のお釜の掴む耳にキノコが生えてるのを見つけました。それで、伊賀式部丞光宗と同じ伊賀の六郎右衛門尉光重が担当して、占いを行わせたところ、聞いて驚くような出来事があるでしょう。又、寅年と申年の女官は身を慎み控えるべきだと、陰陽師の五人が連名で提出しました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　こんぎょうよ　　　さきのおうしゅう　ごきとう　ひゃくにち　たいさんふくんさい これ　 はじ　　られ　　　　おんし　　はやしたろう
貞應三年(1224)三月小十九日丙申。�ﾘ。今曉自り、前奥州が御祈祷百日の泰山府君祭 之を始め被る。御使は、林太郎。

これ　　でんちう　　ひょうじあ　　　のゆえなり
是、殿中に表示等有る之故也。」

うしのこく　あまなわさんろくいなんさんちょうよしょうぼう　　　ちばのすけたねつな　いえ そ　　 なか　　あ
丑刻、甘繩 山麓以南 三町餘燒亡す。千葉介胤綱が家其の中に在り。

現代語貞應三年(1224)三月小十九日丙申。晴れです。今朝の夜明けから、義時さんの安否を祈る泰山府君祭を始めさせました。代参は林太郎です。これは屋敷内に妙な前兆があるからです。」

午前二時頃に、甘縄の山の麓から南で3haが焼けました。千葉介胤綱の家がその内にあります。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　かいい ら　　　こと　　よっ　　　　おいのり　おこなはれ
貞應三年(1224)三月小廿一日戊午。�ﾘ。恠異等の事に依て、御祈を行被る。

ぞくしょう　げつよう　 けいわく　　ひゃっけ　〔　ござ　〕　　　たいさんふくん　〔しちざ〕　　ら　　おまつりなり
属星、月曜、熒惑、百恠〔五座〕・泰山府君〔七座〕等の御祭也。

現代語貞應三年(1224)三月小二十一日戊午。晴れです。異常な出来事があるので、お祈りを行いました。属星・月曜・螢惑星・百怪〔五人〕・泰山府君祭〔七人〕などのお祈りです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　いがのさぶろうさえもんのじょうみつすけ そつ　　　 ひごろ かっけ　　わずら　　うんぬん　 これ　 いがのかみともみつ　 さんなんなり
貞應三年(1224)三月小廿三日庚申。�ﾘ。 伊賀三郎左衛門尉光資 卒す。日來脚氣を煩うと云々。是、伊賀守朝光が三男也。

現代語貞應三年(1224)三月小二十三日庚申。晴れです。伊賀三郎左衛門尉光資が亡くなりました。普段から脚気を病んでおりました。この人は伊賀守朝光の三男です。

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