吾妻鏡入門吾妻鏡脱漏

元仁二年乙酉(1225)正月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　そうしゅう　おうばんら これ　 けん　　らる　　　 ぎょけんの やく　するがのぜんじよしむら　うんぬん
元仁二年(1225)正月大一日壬戌。�ﾘ。相州、垸飯等之を献じ被る。御劔之役は駿河前司義村と云云。

現代語元仁二年(1225)正月大一日壬戌。晴れです。相州時房さんが、御馳走のふるまいを献上しました。刀を捧げるのは駿河前司三浦義村だそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　わかぎみ　〔よりつね〕　おんはがた　　　をは　　　　ののち　　いずれを　 つか　 さる　　べ　　　や　のよし　　ないないそ　　　さた　あ
元仁二年(1225)正月大八日己巳。若君〔頼經〕御齒固め�@訖んぬ之後、何方於遣は被る可き哉之由、内々其の沙汰有り。

ぶしゅう　きたのかた　 すす　 られ　　べ　　 のところ　　とうじ　ぶしゅう　ちょうぶくなり
武州の北方を進め被る可き之處、當時武州は重服也。

かく　　　　うえ　　にほん　を　 けん　　　 べ　　　か　のよし　　 もう　　おこな　の　ひとびとこれあ　　　 いへど　　 つい　 そうしゅう　 にょぼうかた　 つか　 され　　　 うんぬん
此なる上は二品於献ずる可き歟之由、申し行う之人々之有ると雖も、遂に相州の女房方に遣は被ると云云。

さこんたいふしょうげんちかざね　ぶぎょう　 な　　　　 うんぬん
左近大夫將監親實、奉行を爲すと云云。

参考�@歯固めは、正月三が日に鏡餅を食べ長寿を願うこと。歯は歳の意味で、年を固めるは寿命を延ばす。膳には鏡餅・猪・鹿・鮎・大根・瓜等がのる。

現代語元仁二年(1225)正月大八日己巳。若君三寅〔(8才.後の)頼経〕の正月に長寿を願い餅を食べる儀式を終えているので、縁起を担いだ方角替えのため、何処へ連れて行ったら良いのか、内々で打ち合わせをしました。武州泰時さんの奥さんを推薦しましたが、現在泰時さんは父義時さんの重い喪に服しています。それならば二位家政子様をお勧めするようですかね、と言う人々もいますけど、しまいに相州時房さんの女官の所へお連れする事になったそうな。三条左近大夫将監親実が担当だそうな。

冗談
三条親実「今年の方角替えは何処にお連れしようかねー。」
御家人Ａ「泰時さんの奥方の所がいいんじゃなぁい。」
御家人Ｂ「でも、泰時さんはお父さんの服喪中だよ。」
御家人Ｃ「じゃ、いっそ二位家政子様の所はどうかねー。」
三条親実「なんか、政子様はお年だし、かったるそうですよ。」
北条時房「じゃー、私の所の女官共のところでいいんじゃない。」
　一同　「そうだ、それにしよう。」

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　にほん　　　ごがん　　　な　　　　　きょう　つるがおかはちまんぐう　をい　　　さいしょう　はちこう　しぎょうさる
元仁二年(1225)正月大十四日乙亥。二品の御願と爲し、今日 鶴岳八幡宮に 於て、最勝�@八講を始行被る。

ことし　　いご　　 まいつき　こ　　ぎ　かいつくろ　べ　　のよし　　さだ　 おお　　らる　　　 うんぬん　　さくじつ　 ぜんみんぶたいふぶぎょう　 な　　　て そうめいこれ　 ちうされ
今年以後、毎月此の儀を刷う可き之由、定め仰せ被ると云云。昨日、善民部大夫奉行と爲し而僧名之を注被る。

いはゆる　あんらくぼうほっきょうちょうけい　みののほっきょうゆうしゅん　とんかくぼうりょうき　いずみのあじゃりちょうが　　ひぜんおあじゃりりょうち　　　たんごのあじゃりらいぎょう
所謂、 安樂房法橋重慶、 美濃法橋有俊、頓覺房良喜、和泉阿闍梨重賀、肥前阿闍梨良智、丹後阿闍梨頼曉、

じょうえんぼうちかく　 ざしんぼうえんしんら　なり
淨圓房智覺、座心房圓信等也。

参考�@最勝王経は、聖武天皇が国を治める政治としての経と決めた。

現代語元仁二年(1225)正月大十四日乙亥。二位家政子様のお祈りとして、今日鶴岡八幡宮で、最勝王経を八人で講義する行事を始めました。今年以後、毎月この儀式を行うようにとお決めになられたそうな。昨日、善民部大夫町野康俊が担当して坊さんの名前を書き出しました。それは、安楽房法橋重慶・美濃法橋有俊・頓覚房良喜・和泉阿闍梨重賀・肥前阿闍梨良智・丹後阿闍梨頼暁・浄円房智覚・座心房円信達です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　うまのこくぢしん
元仁二年(1225)正月大十五日丙子。午刻地震。

現代語元仁二年(1225)正月大十五日丙子。昼頃に地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　げっしょくせいげん
元仁二年(1225)正月大十六日丁丑。霽。月蝕正現す。

現代語元仁二年(1225)正月大十六日丁丑。晴れました。月食がはっきり現れました。

参考日食、月食の時は、天皇の行在所は筵で囲んで穢れの光を遮った。竹取物語参考。

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