吾妻鏡入門吾妻鏡脱漏

嘉祿三年丁亥(1227)十月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　みのこく　　ごしょ　　 かまどの　かなえな　　　　これ　　よっ　　　すおうのぜんじちかざね ぶぎょう　 な　　　　 おんうら　 おこな　れる
嘉祿三年(1227)十月小十二日戊午。�ﾘ。巳刻。御所の釜殿の鼎鳴る。之に依て、周防前司親實 奉行と爲し、御占を行は被。

ごびょう　　ことつつし　れるべ　　 のよしこれ　 もう　　　　うんぬん
御病の事愼ま被可き之由之を申すと云云。

現代語嘉祿三年(1227)十月小十二日戊午。晴れです。午前十時頃、御所の煮炊きする台所釡殿のお釜(鼎)が鳴りだしました。この珍事を周防前司中原親実が指揮担当して占いをさせました。「病気の心配があるので、気を付けるように」と云いました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　かま　　あや　　　 これ　 よっ　　ごしょ　　をいて ひゃっけさい いげ　これ　 おこな　れる
嘉祿三年(1227)十月小十四日庚申。�ﾘ。釜の恠し。之に依て御所に於而 百恠祭以下之を行は被。

現代語嘉祿三年(1227)十月小十四日庚申。晴れです。お釜の珍事件があったので、御所で百怪祭などのお祓いを行いました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かまど またな　　　 　うんぬん
嘉祿三年(1227)十月小廿日丙寅。竃 又鳴ると云云。

現代語嘉祿三年(1227)十月小二十日丙寅。お釜が又も鳴りましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ろくはら　しっ　　しん　 ところの いんぜん　 なら 　　　きしょ　　　ごへんじ　ら　　　　　ろくはら　　つか　　され　　のときは
嘉祿三年(1227)十月小廿五日辛未。六波羅執し進ず所之 院宣、并びに貴所の御返事等、六波羅に遣は被る之時者、

あんぶん　 そ　　　おく　　べ　　　のよし　　きょう　ぶぎょうにんら　　ふ　　　おお　 られ　 なり　　ふみばこ　おさ　 られ　 のあいだ　　ぞんち　　ためなり
案文を副へ送る可き之由、今日奉行人等に觸れ仰せ被る也。文函に納め被る之間、存知の爲也。

現代語嘉祿三年(1227)十月小二十五日辛未。六波羅が取り次いだ、院からの手紙や朝廷への、将軍の返事などを、六波羅へ出す時は、案分を添えて送るように、今日担当者に命じられました。文箱を納める際に、六波羅でも内容を承知しておくためです。

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