吾妻鏡入門第廿七巻

寛喜元年己丑(1229)十一月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　 てんぺん　おいのりら　　おこな　れる　　　　きょう　　 ぶしゅう　　みしましゃしんじ　　しょうじん　 はじ　　られ　　　 うんぬん
寛喜元年(1229)十一月大三日丁夘。�ﾘ。天變の御祈等を行は被。」今日、武州 三嶋社神事の精進を始め被ると云々。

現代語寛喜元年(1229)十一月大三日丁卯。晴れです。天の星の運航の異常による災い除けのお祈りを行いました。
今日、武州北条泰時さんは、三島神社へお参りするための精進潔斎を始めたそうです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　こんや　　げっしょくかいき　　つきのわ さら　 みえざり　　ただくも　 おおわ　　　　 に
寛喜元年(1229)十一月大十四日戊寅。天�ﾘ。今夜の月蝕皆既。 月輪 更に見不。只雲に覆れるに似る。

さきざき おお　　かいきしょくあ　　　 いへど　　　いま　　いま　　ごと　　　  れいあ　　　　 うんぬん
先々 多く皆既蝕有ると雖も、未だ今の如きの例有らずと云々。

現代語寛喜元年(1229)十一月大十四日戊寅。空は晴れです。今夜の月食は皆既月食です。でも月の輪は見えません。雲に覆われているような感じです。今まで色々と皆既月食はありましたが、未だにこのような現象はなかったそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あめふ　　　　 えのしましん　 たくせんあ　　　　すうけいの　やから　をい　　は　　 ふくでん　 さず　　　 べ　　　のよし　　 うんぬん
寛喜元年(1229)十一月大十七日辛巳。雨降る。江嶋神の託宣有り。崇敬之 族に於て者、福田を授かる可し之由と云々。

よっ　　どうぞくむれ　　な　　　　 うんぬん
仍て道俗群を成すと云々。

現代語寛喜元年(1229)十一月大十七日辛巳。雨降りです。江ノ島明神からお告げがありました。江ノ島明神を崇拝している者には、稔の良い田んぼが与えられるでしょうとのことなので、皆群れを成してお参りに行きましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぶしゅう　 いずのくに みしましゃ　　まい　 たま　　　こんぎょうしんぱつ　　 これ　　きた　にじういちにち　か　　まつりたる　よっ　　なり
寛喜元年(1229)十一月大十八日壬午。武州 伊豆國三嶋社へ參り給ふ。今曉進發す。是、來る 廿一日 彼の祭爲に依て也。

現代語寛喜元年(1229)十一月大十八日壬午。武州北条泰時さんは、伊豆の三島大社へのお参りに、今朝の明け方に出発しました。これは、来る21日の祭礼のためです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ごしょ　　　をい　 おんまりえ　あ　　　　　うんぬん
寛喜元年(1229)十一月大廿日甲申。御所に於て御鞠會有りと云々。

現代語寛喜元年(1229)十一月大二十日甲申。御所で蹴鞠の会がありましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ぶしゅう　みしましゃ よ　　　　　きさん され　　　いぬのこく　　およ　　　　ごしょ　　まい　　　　ほうへい　ぶい　のよし　　もう　　たま　　　　うんぬん
寛喜元年(1229)十一月大廿四日戊子。武州 三嶋社自り、歸參被る。戌尅に及び、御所へ參り、奉幣無爲之由を申し給ふと云々。

現代語寛喜元年(1229)十一月大二十四日戊子。武州北条泰時さんが三島大社から帰ってきました。午後八時頃になって、御所へ来て、無事に幣を奉納したと報告しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　きょう　　　　うだいじんけ ごついぜん　　ごとう　　　ざいもく　　そまいり　なり
寛喜元年(1229)十一月大廿六日庚寅。�ﾘ。今日、右大臣家御追善の御塔�@の材木の杣入�A也。

するがのくに ふじのこおり　おお　　くだされ
駿河國 冨士郡に仰せ下被る。

これ　　さんぬ　みっかたるべ　　 のよし　　かね　 さだ　 られ　　　いへど　　　みしましゃ　　しんじ　　よっ　　　　きょう　　のば　　およ　　なり
是、去る三日爲可き之由、兼て定め被ると雖も、三嶋の神事に依て、今日に延し及ぶ也。

参考�@御塔は、三重の塔。
参考�A杣入は、山から材木を切り出す事。

現代語寛喜元年(1229)十一月大二十六日庚寅。晴れです。今日、右大臣実朝様追善供養の造塔の材木の切り出しです。駿河国富士郡へ命令しました。これは、先日の三日にしようとあらかじめ決めた居たのですが、三島大社の祭礼があったので、今日に延期しました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ないとうほうがんもりとき　　こと　　かんとう　　しゅっし　　と　　　　　べ　　　のよし　　　おととし　さだ　　られ　をはんぬ
寛喜元年(1229)十一月大廿七日辛夘。内藤判官盛時の事、關東の出仕を止める�@可き之由、去々年定め被　畢。

しか　　　れんれんうれ　　もう　　　いへど　　　きょねん　はちがつ　いご　　もりとき ちょうぶくのあいだ ざいこく
而して連々愁い申すと雖も、去年の八月以後、盛時 重服之間 在國す。

そ　　　さた　な　　　　　よっ　　　　きょう　ゆる　 おお　　られ　　　　うんぬん
其の沙汰無きに依て、今日宥し仰せ被ると云々。

参考�@出仕を止めるは、自由任官の罪による。

現代語寛喜元年(1229)十一月大二十七日辛卯。内藤判官盛時について、鎌倉幕府への出仕を停止すると、一昨年決定していました。しかし、何度も嘆きながら訴えて来たけれども、去年の八月以後、内藤盛時は喪に服すため地元にいました。禁制を破って幕府へ来ることがなかったので、今日、無罪放免になりましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ねのこくぢしん
寛喜元年(1229)十一月大卅日甲午。子刻地震。

現代語寛喜元年(1229)十一月大三十日甲午。子刻午前零時頃に地震です。

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