吾妻鏡入門第廿七巻

寛喜二年庚寅(1230)十月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　うじょうそう　　じうさんねんごついぜん　　さんじゅうのほうとう　　きょう　みのこく　そ　　　す　　　　　なり
寛喜二年(1230)十月小六日甲子。�ﾘ。右承相の十三年御追善に　三重寶塔、 今日巳尅 礎を居える也。

いぬのこく　　かく　　ち　　　をい　　どこう　　まつられ　　　　ちかもとあそんこれ　　ほうし　　　　みんぶたいふにゅうどうぎょうねん　さた　なり
 戌刻、此の地に於て土公�@を祭被る。親職朝臣之を奉仕す。民部大夫入道行然が沙汰也。

さこんたいふしょうげんすけふさ おんし　　な
左近大夫將監佐房 御使と爲す。

参考�@土公は、土公神で陰陽道の土を司る神。春は竈、夏は門、秋は井戸、冬は庭にあり、その季節にその場所を動かすと祟りがあるとされる。

現代語寛喜二年(1230)十月小六日甲子。晴れです。右大臣将軍実朝様の十三回忌に三重塔建立。今日午前十時頃にその礎石を据え置きました。午後八時頃、この土地で、土地神様を静めるためお祭りをしました。安陪親職さんが勤めました。民部大夫入入道道然二階堂行光が指揮担当です。左近大夫将監大江佐房が代参です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　きょう　　　ぶしゅ　ごがん　　 ほうじょうみどう 　じょうとうなり　　さこんゆうどうどうねん　　さいとうひょうえにゅうどうじょうえんぶぎょうたり
寛喜二年(1230)十月小十六日甲戌。�ﾘ。今日、武州御願の北條御堂�@の上棟也。左近入道々然、 齋藤兵衛入道淨圓 奉行爲。

参考�@北条御堂は、後の東勝寺であろうか。

現代語寛喜二年(1230)十月小十六日甲戌。晴れです。今日、泰時さんの願の北条氏のお堂の棟上げ式です。左近入道道然尾藤景綱と斉藤兵衛入道浄円藤原長定が担当です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　さんぬ　よ　　うしのこくよ　　　　きょう　　ねのこく　　いた　はなは　あめ
寛喜二年(1230)十月小廿四日壬午。去る夜 丑刻自り、今日の子刻に至り甚だ雨。

うまのこく　　ぶしゅう　　ごそくじょ　　ふんぼどう　　くようなり　　　 ひゃっかにち　きけい　　むか　　　　かく　　ぎ　　　と　　　られ　　　　うんぬん
午刻、武州が御息女の墳墓堂�@の供養也。百ケ日の忌景を迎へ。此の儀を遂げ被ると云々。

参考�@武州が御息女の墳墓堂は、伝説であるが、大船常楽寺の裏山(木曽塚)へ上る途中の姫宮と言われる。

現代語寛喜二年(1230)十月小二十四日壬午。夕べの二時頃から、今日の零時頃まで土砂降りです。昼頃に泰時さんの娘さん(三浦泰村妻)の墓場で法要です。百か日の忌日なので、この式を行いました。

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