吾妻鏡入門第卅巻

文暦二年乙未(1235)四月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　いのこく　　きょうと　 ひきゃくさんちゃく
文暦二年(1235)四月大一日癸亥。�ﾘ。亥刻。京都の飛脚參着す。

でんか　さんぬ　にがつ にじういちにち　いご　　　ごふれい　ひ　　おっ　　ましげのあいだ　　せつろく　おおとの ごかんちゃくのよし　 これ　 もう　　　　 うんぬん
殿下�@去る二月 廿一日 以後、御不例日を追て増氣之間、攝録は大殿�A御還着之由 之を申すと云々。

参考�@殿下は、九条教實。将軍頼経の兄。
参考�A大殿は、九条道家。将軍頼経の父。

現代語文暦二年(1235)四月大一日癸亥。晴れ。22時頃、京都からの伝令が到着しました。「殿下九条教実さんが先日の2月21日から病気にかかり、日が経つにつれて、悪化しており、摂政関白の職務には大殿の九条道家さんが返り咲いた。」と報告したそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ねのこく　 きょうと　　ひきゃくかさ　　　 とうらい
文暦二年(1235)四月大二日甲子。子剋、京都の飛脚重ねて到來す。

さきのせっしょうどの さんぬ　つき にじうしちにち おんたえい　　　　おな　　　にじうはちにち みのこく こう　　　うんぬん　　　　　　　これ　　しょうぐんけ　　ごしゃけいなり 
 前攝政殿　去る月　廿七日　御絶入り、同じき 廿八日 巳剋 薨ずと云々。是、將軍家が御舎兄也。

現代語文暦二年(1235)四月大二日甲子。午前零時頃に京都からの伝令が続いて到着しました。前の摂政九条教実さんが、先月27日に意識を失い、同じ28日の午前10時頃に亡くなったそうです。この人は将軍頼経様のお兄様です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しょうぐんけ　　ごきょうぶくのうえ　　せっしょうどの　　こうごたる　　　よっ　　　　せいむ　　みっかび　さしおかれ　　うんぬん
文暦二年(1235)四月大三日乙丑。將軍家、御輕服之上�@、攝政殿が薨御爲に依て、政務を三ケ日閣被ると云々。

参考�@御輕服之上は、竹御所の死による喪中。そこに兄の死があり、穢れが重なったので。

現代語文暦二年(1235)四月大三日乙丑。将軍頼経様は、竹御所の軽い喪中の最中に摂政殿九条教実様の死で、穢れが重なったので政務を三日間休むそうです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 おきのしろうさえもんのじょうゆきひさ　　　しせつ　　な　　じょうらく　　　 さきのでんか　おんこと　　よっ　　なり
文暦二年(1235)四月大六日戊辰。隱岐四郎左衛門尉行久、使節と爲し上洛す。前殿下の御事に依て也。

現代語文暦二年(1235)四月大六日戊辰。隠岐四郎左衛門尉二階堂行久は、幕府からの派遣員として京都へ上ります。九条教実様のお悔みのためです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さるのこく　　ごしょしんでん　むねあげがわら　かたわ　　からすす　　 つく　　　　おんうら　 おこなはれ
文暦二年(1235)四月大七日己巳。申刻、御所寢殿の棟上瓦の傍らに、烏巣を造る。御占を行被る。

　ごじけ　　さんこう　　あ　　　ねんじょうだいしょう　でんそう　　　　おんきちじ　　うんぬん
五時卦三光に遇う年上大裳を傳送す。御吉事と云々。

参考三光は、陰陽道の宇宙観を表す紋を「三光紋」という。日月星をデザインした城南宮の紋。
参考大裳は、陰陽道の八将軍と大将軍の別の呼び名。 太歳(たいさい)。陰陽道の八将神(方位の吉と凶を司る8つの神のこと。八将軍とも呼ばれる）の一つ。

現代語文暦二年(1235)四月大七日己巳。午後四時頃に、御所の寝殿の棟瓦の脇に烏が巣を作りました。この事を占わせたところ、五時の占いは日月星の三つの光に出会う年の前半に八将軍を取り次ぐでしょう。いずれにせよ良い前兆だそうな。（意味不明？解析困難）

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あや　 たる　 よっ　　おいのり　 おこなはれ　　うんぬん
文暦二年(1235)四月大九日辛未。怪し爲に依て御祈を行被ると云々。

現代語文暦二年(1235)四月大九日辛未。良くない前兆があるので、お祈りをさせたそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　きょう　　　　ばば　　をい　　　　すおうのぜんじぶぎょう　　な　　　　からす　 す　　 こと　　そ　　　　さた　　 へ　らる
文暦二年(1235)四月大十一日癸酉。今日、馬塲に於て、周防前司奉行と爲し、烏の巣の事、其の沙汰を經被る。

現代語文暦二年(1235)四月大十一日癸酉。今日、馬場で周防前司中原親実が担当して、カラスの巣について吉凶の扱いを検討しました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　うまのこく ぢしん
文暦二年(1235)四月大十三日乙亥。午刻地震。

現代語文暦二年(1235)四月大十三日乙亥。昼頃に地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひつじのこく ぢしん
文暦二年(1235)四月大廿八日庚寅。未刻 地震。

現代語文暦二年(1235)四月大二十八日庚寅。午後2時頃地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひつじのこく ぢしん
文暦二年(1235)四月大廿九日辛卯。未刻 地震。

現代語文暦二年(1235)四月大二十九日辛卯。午後2時頃地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　みのこく ぢしん
文暦二年(1235)四月大卅日壬辰。巳刻地震。

現代語文暦二年(1235)四月大三十日壬辰。午前10時頃地震です。

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