吾妻鏡入門第卅四巻  

仁治二年辛丑(1241) 各頁のを押すとこの目次に戻ります

仁治二年(1241)正月小 垸飯 吉書 弓始め 四条天皇元服 弓場にて遠笠懸、小笠懸を射る  読下し・現代語完了

仁治二年(1241)二月大 天変出現 地震二日で五度 二所詣で 上野国で境相論 兄弟は惣領に従う 読下し・現代語完了

仁治二年(1241)三月大 地震 前浜から失火大火事 海野幸氏と武田信光境相論 大仏殿上棟式 読下し・現代語完了

仁治二年(1241)四月小 大地震 六浦道造作開始 武田信光謝罪 博打所領没収 囚人逃亡弁償 読下し・現代語完了

仁治二年(1241)五月小 馬を強盗,問注所奉行怠慢,博打は没収 六浦道工事 佐藤業時奇怪で流罪 読下し・現代語完了

仁治二年(1241)六月大 佐々木信綱遁世 一般訴訟は御教書を奉行人奉書に 囚人預人逃げりゃ罰 読下し・現代語完了

仁治二年(1241)七月小 泰時病気 経時・時頼八幡宮に泰時の息災を祈る 泰時病気治る    読下し・現代語完了

仁治二年(1241)八月大 放生会へ出発に剣が抜け落ちたので走湯神社へ奉納 北斗堂開眼供養  読下し・現代語完了

仁治二年(1241)九月小 承久の乱の表彰漏れに文書 細工への褒美 洛中に篝火 経時狩猟に  読下し・現代語完了

仁治二年(1241)十月小 大流星 群盗興福寺に潜伏か 武蔵野水田開発犯土 亀谷で盗人騒ぎ  読下し・現代語完了

仁治二年(1241)十一月大 博打禁止 武蔵野開発発行 御家人の京都在住禁止 三浦と小山喧嘩 読下し・現代語完了

仁治二年(1241)十二月大 過差禁止 時頼一村拝領 多摩川水田開発 武田信光倅を義絶で落前 読下し・現代語完了

欠落

仁治三年(1242)1月 9日 四条天皇12才没(とわずがたりに有り)
仁治三年(1242)1月15日 新成敗式目発布
仁治三年(1242)1月20日 後嵯峨天皇即位
仁治三年(1242)2月28日 将軍頼経剣を厳島神社に奉納
仁治三年(1242)3月 3日 勝長寿院僧の乱闘事件
@参考
仁治三年(1242)6月   豊後府中にて市中墓禁止令(やぐらに理由つけ)
仁治三年(1242)6月10日 關東申し次の女西園寺嬉子後嵯峨天皇の女房に。以後初女房は西園寺家からとなる。
仁治三年(1242)6月15日 泰時 60才 死去
仁治三年(1242)7月8日 すでに死んでいる顕徳院を後鳥羽院と改める。鎌倉から隠岐の土を京都へ帰してやる。
仁治三年(1242)7月   九条道家(頼経父)置き文を書く(沢山)
仁治三年(1242)9月   順徳院 佐渡で死亡

@参考鎌倉遺文にあるらしい泰時の手紙による

一 勝長寿院僧房連々有闘乱事、度々及殺害云々、武士之郎従猶以不及如此之狼藉、何況僧徒之従類哉、
是則好而召仕武勇不調之輩、専不加禁遏之所致也、加之、三昧僧等偏好事酒宴、併疎其節之由有風聞、
非啻破戒行、剰背尋常之法、自今以後、僧徒之児、共侍、中間、童部、力者法師、横雄劔差腰刀、
一向可停止之、若猶不拘制止、及刃傷殺害者、宜被処主人於過怠、堅存此旨、更不可違反之由、
各可令相触給之由所候也、仍執達如件
   仁治三年三月三日               前武蔵守泰時
 謹上 大蔵卿僧正御房(大蔵卿僧正は良信で勝長寿院別当)
    追伸同前
これを読下してみると
一つ 勝長寿院の僧房では連々闘乱の事有り、度々殺害に及ぶと云々。武士の郎従猶以て此の如き之狼藉に及ばず、何おか況や僧徒の従類においてを哉、是則ち武勇不調之輩を好み而召し仕い、専ら禁遏を加えざる之致す所也、之に加え、三昧僧等偏に事を酒宴に好み、併しながら其の節を疎む之由風聞す、啻破戒を行うに非ずや、剰つさへ尋常之法に背く、今自り以後、僧徒之児、共侍、中間、童部、力者法師、劔を横雄し腰刀を差す、一向に之を停止可し、若し猶制止に拘ら不、刃傷殺害に及ば者、宜しく主人於過怠に処被る、堅く此の旨を存じ、更に違反不可之由、各々相触令め給ふ可し之由候所也、仍て執達件の如し
これを現代語にしてみると
勝長寿院の坊さんの宿舎では連日乱闘があり、何度も殺人が起きている。武士の子分ですらこのような無茶な行為はないのに、坊主とその子分どもの連中がするんだろう。これはそもそも武力自慢の連中を好んで子分にしていて、上位者の坊さんがきちんと支配管理をしていないからである。そればかりか、念仏を仕事とする坊主が酒宴ばかりしていて、その節度を怠っているからだと聞いている。これは仏教をダメにしてるばかりではなく、普通の常識にも反している。今後、坊さんの下働きの稚児、寺に雇われてる侍、下男、下僕、腕自慢の坊主(後の僧兵)は刀などの武器の携帯を、全て禁止する。もしこの停止を守らず、傷害や殺人を犯せば、その主人を咎人として処分するので、しっかりとこの内容を自覚して違反しないように、それぞれ通知するようにとの、通達はこのとおりです。

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