吾妻鏡入門第卅七巻

寛元四年丙午(1246)閏四月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　　きょう　　にゅうどう しょうごいげ ぎょう むさしのかみ たいらのあそん つねときそっ　　　〔ほうみょうあんらく　としにじうさん〕
寛元四年(1246)閏四月小一日己丑。天�ﾘ。今日、入道正五位下行 武藏守　平朝臣　經時卒す〔法名安樂。年ニ十三〕。

ぜんしつ そっきょ　 こと　 すなは　ひきゃく　 さ　　　　　きょうと　　もうさる　　　　こうていみっかびたるべ　　　　　うんぬん
禪室 卒去の事、即ち飛脚を差し、京都へ申被る。行程三箇日爲可きと云々。

参考�@年三十三は、二十三の間違い。

現代語寛元四年(1246)閏四月小一日己巳。空は晴です。今日、出家して入道正五位下行武蔵守平朝臣北条経時死亡す〔出家名は安楽、年3〕。経時死亡について、すぐに伝令を決めて京都へ届けました。行きは三日で行くようにとの事です。

解説百錬抄に、關東前武藏守經時所勞。遂以死去云云。仍京中卅个日觸穢之由後日被定也。とある。（確認済み）

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ぜんしつ　　　ささめ　さんろく　 ほうむ　たてまつ　　うんぬん
寛元四年(1246)閏四月小二日庚寅。禪室、佐々目山麓に葬り奉ると云々。

現代語寛元四年(1246)閏四月小二日庚寅。経時さんを笹目の山麓に葬りましたとさ。

解説葉室定嗣の日記「葉黄記166頁」の閏4月4日条に関東の経時入道、去る一日酉の時逝去す〔去年六月より病を受け、去る月出家、病の躰種々風聞有りと雖も、実説を知らず〕。とある。（確認済）
關東經時入道去一日酉時逝去[自去年六月受病去月出家病雖種々有風聞不知實説云々]

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ろくはら　いげ　　　おんとぶら　　　ししゃさんこう
寛元四年(1246)閏四月小八日丙申。六波羅以下の御訪ひの使者參向す。

か　　　そっきょ　　こと　　さんぬ　よっか さるのこく ひきゃく きょうちゃくのよし　　らくちう　　ひろう　　　　うんぬん
彼の卒去の事、去る四日 申刻、飛脚 京着之由、洛中に披露すと云々。

現代語寛元四年(1246)閏四月小八日丙申。六波羅探題を始めとする弔問の使いがやってきました。彼の死については、先日の4日に伝令が京都へ着いて、京都市内に合評しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いのこく　 にはか　かまくらちう ぶっそう　　　　かっちゅう　し　ちまた　　み　　　　うんぬん　ぎょうそう　およ　 せいひつ
寛元四年(1246)閏四月小十八日丙午。亥尅。俄に 鎌倉中 物忩し、介冑の士 衢に滿つと云々。曉更に及び靜謐す。

かたがた　　こうせつら　あ　　　　　うんぬん
　旁　 巷説等 有りと云々。

現代語寛元四年(1246)閏四月小十八日丙午。午後10時頃、急に鎌倉中が騒がしくなり、鎧に身を固めた武士たちが町中にあふれました。明け方になって静かになりました。色々と巷では噂が流れましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　きんごく　ごけにんら　　　は　　　さん　　　　　いくせんまん　　しらず　 れんじつそうどう　せいひつせず　 うんぬん
寛元四年(1246)閏四月小廿日戊申。近國御家人等、馳せ參ずこと幾千万を不知。連日騒動し靜謐不と云々。

現代語寛元四年(1246)閏四月小二十日戊申。鎌倉から近い国の御家人達が、駆け集まってく来たのは数えきれません。それらが続き連日騒がしくて静まりませんとさ。

五月へ

吾妻鏡入門第卅七巻