吾妻鏡入門第卅七巻

寛元四年丙午(1246)七月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　さしんえい　　しゅこうら　を　にゅうどうだいなごんけ　　ごりょかん　　すす　　らる　　　　うんぬん
寛元四年(1246)七月大一日丁巳。天�ﾘ。左親衛、酒肴等於入道大納言家の御旅宿へ進め被ると云々。

現代語寛元四年(1246)七月大一日丁巳。空は晴です。左親衛時頼は、酒・肴を入道大納言家頼経様の泊まっている佐介流北条時盛の屋敷へ届けさせました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　うまのこくぢしん
寛元四年(1246)七月大二日戊午。天�ﾘ。午尅地震。

現代語寛元四年(1246)七月大二日戊午。空は晴です。昼の12時頃に地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　みのこくぢしん
寛元四年(1246)七月大五日辛酉。天霽。巳剋地震。

現代語寛元四年(1246)七月大五日辛酉。空は晴ました。午前10時頃に地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　 にゅうどうだなごんけ　おんきらく　 こんぎょう しんぱつせし　たま
寛元四年(1246)七月大十一日丁夘。天�ﾘ。入道大納言家御歸洛。今曉 進發令め給ふ。

ばんとう　　さかのうまや　つ　　　たま　　　　うんぬん
晩頭に酒匂驛へ着き御うと云云。

　ぐぶにん
供奉人

　　さきのさぬきのかみちかざね　　　　　　　　　　　　　　　さきのいわみのかみよしゆき
　前讃岐守親實　　　　　　　　　前石見守能行

　　さきのはやとのしょうみつかげ　　　　　　　　　　　　　　やましろにゅうどうげんさい
　前隼人正光景　　　　　　　　　山城入道元西

　　しなのごんのかみ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はやとのたろうさえもんのじょうみつもり
　信濃權守　　　　　　　　　　　隼人太郎左衛門尉光盛

　　しなのうまのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　たかはしうまのじょうみつやす
　信濃右馬允　　　　　　　　　　高橋右馬允光泰

　　いやごろううまのじょうもりたか　　　　　　　　　　　　　　　さいとうさえもんのじょうきよとき
　弥五郎右馬允盛高　　　　　　　齋藤左衛尉門�C時

　　とうしろうさえもんのじょうひでざね　　　　　　　　　　　　じゅうろうひょうえのじょう
　藤四郎左衛門尉秀實　　　　　　十郎兵衛尉

　　　　いじょうきょうと　　しこうすべ
　　以上京都へ祗候可し

　　さがみのさこんたいふしょうげんときさだ　　　　　　　　 さきのさどのかみもとつな
　相摸左近大夫將監時定　　　　　前佐渡守基綱

　　さきのだざいしょうにためすけ　　　　　　　　　　　　　　 さきののとのかみみつむら
　前太宰少貳爲佐　　　　　　　　前能登守光村

　　さきのおおすみのかみただとき　　　　　　　　　　　　　 さきのちくぜんのかみゆきやす
　前大隅守忠時　　　　　　　　　前筑前守行泰

　　かぞえのかみよりゆき　　　　　　　　　　　　　　　　　　　もうりくらんどつねみつ
　主計頭頼行　　　　　　　　　　毛利藏人經光

　　しもつまのしろうながまさ　　　　　　　　　　　　　　　　　おおそねさえもんのじょうながやす
　下妻四郎長政　　　　　　　　　大曽祢左衛門尉長泰

　　こうづけのいやしろうさえもんのじょうときみつ　　　　　 うつのみあのごろうさえもんのじょうやすちか
　上野弥四郎左衛門尉時光　　　　宇都宮五郎左衛門尉泰親

　　するがのごろうさえもんのじょうすけむら　　　　　　　　 ひぜんのたろうさえもんのじょうたねいえ
　駿河五郎左衛門尉資村　　　　　肥前太郎左衛門尉胤家

　　むとうさえもんのじょうかげより
　武藤左衛門尉景頼

　　　　いじょう　ろじ　　　　ぐぶ　ばか　　なり
　　已上路次の供奉計り也

　こ　　ほか　 みむろとだいそうじょう　　さいしょうそうじょう　いげ　こうそうすうやから　おんみょうどう　やから しょうしょう　 きらく　　 どうしん　　　　うんぬん
此の外、三室戸大僧正、 宰相僧正 以下 高僧數輩、陰陽道の 輩　少々 皈洛に同心すと云々。

現代語寛元四年(1246)七月大十一日丁卯。空は晴です。入道大納言家頼経様は京都へお帰りです。今朝の夜明けに出発されました。夕方に酒匂宿へ着いたそうな。
お供の人は、
　前讃岐守中原親實　　前石見守大江能行
　前隼人正伊賀光景　　山城入道元西本間元忠
　信濃権守諏訪信重　　隼人太郎左衛門尉光盛(光義カ)
　信濃右馬允　　　　　高橋右馬允光泰
　弥五郎右馬允盛高　　齋藤左衛門尉清時
　藤四郎左衛門尉秀実　十郎兵衛尉
　　以上は京都でお仕えします
　相模左近大夫将監時定　前佐渡守後藤基綱
　前太宰少弐狩野為佐　　前能登守三浦光村
　前大隅守島津忠時　　　前筑前守二階堂行泰
　主計頭頼行　　　　　　毛利蔵人経光
　下妻四郎長政　　　　　大曽根左衛門尉長泰
　上野弥四郎左衛門尉結城時光　宇都宮五郎左衛門尉泰親
　駿河五郎左衛門尉三浦資村　肥前太郎左衛門尉佐原胤家
　武藤左衛門尉景頼
　　以上は、道中のお供だけである。
この他に、三室戸大僧正道慶・宰相僧正を始めとする身分の高い坊さんが数人、陰陽師の連中が数人京都行に加わりましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あゆさわ
寛元四年(1246)七月大十二日戊辰。鮎澤�@。

参考�@鮎澤は、静岡県御殿場市新橋鮎沢。

現代語寛元四年(1246)七月大十二日戊辰。鮎沢。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　きせがわ
寛元四年(1246)七月大十三日己巳。木瀬河�@。

参考�@木瀬川は、静岡県沼津市大岡字木瀬川。

現代語寛元四年(1246)七月大十三日己巳。黄瀬川。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  かんばら
寛元四年(1246)七月大十四日庚午。蒲原�@。

参考�@蒲原は、蒲原宿で静岡県静岡市清水区蒲原。

現代語寛元四年(1246)七月大十四日庚午。蒲原。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   てごし
寛元四年(1246)七月大十五日辛未。手越�@。

参考�@手越は、静岡県駿河区手越。

現代語寛元四年(1246)七月大十五日辛未。手越。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　   しまだ
寛元四年(1246)七月大十六日壬申。嶋田�@。

参考�@嶋田は、静岡県島田市。大井川の渡し場。

現代語寛元四年(1246)七月大十六日壬申。島田。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 かけがわ
寛元四年(1246)七月大十七日癸酉。懸河�@。

参考�@懸河は、静岡県掛川市。

現代語寛元四年(1246)七月大十七日癸酉。掛川。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  いけだ
寛元四年(1246)七月大十八日甲戌。池田�@。

参考�@池田は、静岡県磐田市池田。天竜川の渡し場。

現代語寛元四年(1246)七月大十八日甲戌。池田。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はしもと
寛元四年(1246)七月大十九日乙亥。橋本�@。

参考�@橋本は、浜名湖の新居関で、現静岡県湖西市新居町浜名に橋本バス停あり

現代語寛元四年(1246)七月大十九日乙亥。橋本。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 とよかわ
寛元四年(1246)七月大廿日丙子。豊河�@。

参考�@豊河は、愛知県豊川市豊川町。

現代語寛元四年(1246)七月大二十日丙子。豊川。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  やはぎ
寛元四年(1246)七月大廿一日丁丑。矢作�@。

参考�@矢作は、愛知県岡崎市矢作町。

現代語寛元四年(1246)七月大二十一日丁丑。矢作。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　  かやつ
寛元四年(1246)七月大廿二日戊寅。萱津�@。

参考�@萱津は、愛知県あま市下萱津。

現代語寛元四年(1246)七月大二十二日戊寅。萱津。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 すみまた
寛元四年(1246)七月大廿三日己夘。墨俣�@。

参考�@墨俣は、岐阜県大垣市墨俣町墨俣。

現代語寛元四年(1246)七月大二十三日己卯。墨俣。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　たるい
寛元四年(1246)七月大廿四日庚辰。垂井�@。

参考�@垂井は、岐阜県不破郡垂井町。

現代語寛元四年(1246)七月大二十四日庚辰。垂井。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ばんば
寛元四年(1246)七月大廿五日辛巳。馬塲�@。

参考�@馬塲は、滋賀県米原市番場。

現代語寛元四年(1246)七月大二十五日辛巳。番場。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 かがみ
寛元四年(1246)七月大廿六日壬午。鏡�@。

参考�@鏡は、滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡。

現代語寛元四年(1246)七月大二十六日壬午。鏡。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　のじ　　　ひる　 おんやどなり　　こ　ところ　　をい　　ひくれ
寛元四年(1246)七月大廿七日癸未。野路�@。晝の御宿也。此の所に於て日暮る。

やはん　　およ　　た　　 せし　 たま　　　ひつじのひ ごすいにち　たる　　よっ　　なり
夜半に及び立た令め給ふ。未日 御衰日�A爲に依て也。

参考�@野路は、滋賀県草津市野路町。
参考�A御衰日は、外出したり、戦に出るには縁起がよくない日。

現代語寛元四年(1246)七月大二十七日壬未。野路は、昼の休憩用の宿です。この場所で日が暮れました。夜中過ぎに出発です。未の日は外出に縁起が悪い日だからです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 とらのこく　　あわたぐち　　へ　　 ごじゅらく　　　うんぬん
寛元四年(1246)七月大廿八日甲申。寅刻。粟田口�@を經て御入洛と云々。

参考�@粟田口は、京都市東山区粟田口。三条蹴上。

現代語寛元四年(1246)七月大二十八日甲申。午前4時頃に粟田口を通って京都へ入りましたとさ。

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