吾妻鏡入門第卅八巻

寛元五年丁未(1247)正月大頼嗣10才

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれかずしずか　おうばん　　さしんえい　　おんさた　　　ぎょけん　さきのうまごんのかみ
寛元五年(1247)正月大一日乙夘。 天�ﾘ風靜。 垸飯。左親衛の御沙汰。御劔は前右馬權頭。

ごちょうど　　　のとのぜんじ　　おんむかばき　おおすみぜんじ
御調度は能登前司。御行騰は大隅前司。

現代語寛元五年(1247)正月大一日乙卯。空は晴れて風も静かです。将軍への御馳走のふるまいは、左親衛北条時頼の負担です。刀は右馬権頭北条政村。弓矢は能登前司三浦光村。乗馬袴は大隅前司大河戸重隆です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　しょうぐんけみゆきはじ　　　 さしんえい　 おんていに い　　たま
寛元五年(1247)正月大三日丁巳。天霽。將軍家御行始め。左親衛の御亭于入り御う。

わかぎみごぜん　　もうりくらんどたいふにゅうどうせいあ　 いえに わた　　たま　　　　うんぬん
若君御前は毛利藏人大夫入道西阿の家于渡り御うと云云。

現代語寛元五年(1247)正月大三日丁巳。空は晴です。将軍家頼嗣様のお出かけ始めです。左親衛北条時頼の屋敷へお入りです。若君(将軍弟)の乙若丸は、毛利蔵人大夫入道西阿季光の家へお出かけです。

追史料（熱海湊崩落）百練抄十六　宝治元年(2月28日改元)正月十二日丙寅。今夕雪降。上皇御幸法勝寺。依修正也。公卿内大臣(實基)已下十九人。殿上人定平朝臣已下三十四人。北面友景已下十一人供奉。」此間風聞云。伊豆國長十二町弘八町自十余町行去。其跡如湖水云々。
読下し（前略）此の間風聞に云はく、伊豆国で長さ12町(1.2km)広さ8町(0.8km)自り10余町(1km余)行き去りました。其の跡は湖水の如くと云々。
現代語（前略）最近、噂に聞いたのは、伊豆の国で長さ1.2ｋｍ広さ800mから1kmが何処かへ行っちゃって、その跡は湖水のようだそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　うだいしょうけ　　ほけどう　　　まえ　　じんか すうじうう　しっか　　　　むつかもんのすけ　　てい　　そ　　　なか　　あ
寛元五年(1247)正月大十三日丁夘。右大將家法花堂の前の人家數十宇失火す。陸奥掃部助の亭、其の中に在り。

現代語寛元五年(1247)正月大十三日丁卯。右大将家(頼朝)の法華堂の前の民家数十軒が失火で燃えました。陸奥掃部助(金沢流北条実時)の屋敷がその中にありました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ばんけいかみなりな　　　すうへん　　およ
寛元五年(1247)正月大廿六日庚辰。晩景 雷 鳴る。數返に及ぶ。

現代語寛元五年(1247)正月大二十六日庚辰。夜になって、雷が鳴りました。何度も鳴りました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はありむれと　　　　かまくらじゅう　じゅうまん　　　うんぬん
寛元五年(1247)正月大廿九日癸未。羽蟻群飛び、鎌倉中に充滿すと云云。

現代語寛元五年(1247)正月大二十九日癸未。羽蟻の群れが飛んで、鎌倉中にいっぱいでしたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　えちごにゅうどうしょうえん　さすけてい　うしろやま　　ひかりもの ひこう　　　　　 よっ　　きとう　いた　　　　うんぬん
寛元五年(1247)正月大卅日甲申。越後入道勝圓�@が佐介亭の後山に、光物 飛行す。仍て祈祷致すと云々。

参考�@越後入道勝圓は、北条時盛。時房の長男。

現代語寛元五年(1247)正月大三十日甲申。越後入道勝円(北条時盛)の佐助の屋敷の後ろの山に、光る物が飛んでました。それなので祈祷をしましたとさ。

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