吾妻鏡入門第卅九巻  

寳治二年(1248)三月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　 つるがおかはちまんぐう　いっさいきょう　えなり　　　しょうぐんけごさんぐうな　　　　　びぜんのかみときながあそん　ほうへい　　おんしたり
寳治二年(1248)三月小三日辛亥。天�ﾘ。 鶴岡八幡宮の一切經�@會也。 將軍家御參宮無し。備前守時長朝臣�A、奉幣の御使爲。

参考�@一切経は、釈迦の説教とかかわる、経・律・論の三蔵その他注釈書を含む経典の総称。
参考�A備前守時長は、義時─朝時─時長

現代語宝治二年(1248)三月小三日辛亥。空は晴です。鶴岡八幡宮での一切経の供養です。将軍家頼嗣様のお参りはありません。備前守名越流北条時長が幣を納める代参です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さしんえい　　こと　　ごしんがん　のむねあ　　　　　よっ　　　　ごほうへい　　ごがんしょを　　すわしゃ　 たてま　らる　　　　うんぬん
寳治二年(1248)三月小八日丙辰。左親衛、殊に御心願之旨有るに依て、御奉幣の御願書於諏方社に奉つ被ると云々。

現代語宝治二年(1248)三月小八日丙辰。時頼さんは、特に心のうちに願い事があるので、幣を納める際に神様への願い事を書いた書面を諏訪神社に奉納しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いちげい　 た　　　　 のやから　 もっ　　　　ばくふ　　きんじゅう　そうら　べ　　　のむねおお　　いださる
寳治二年(1248)三月小十一日己未。一藝に堪うる之輩を以て、幕府の近習に候う可き之旨仰せ出被る。

こと　　わかんさい　　げい　 この　 せし　 たま　　べ　　　のよし　　きんじつ　そ　　　さた　あ　　　　うんぬん
殊に和漢才の藝を好ま令め給ふ可き之由、近日其の沙汰有りと云々。

現代語宝治二年(1248)三月小十一日己未、一芸に秀でてる連中を指名して、将軍家頼嗣様の御そば近くに仕えるように仰せになりました。特に古典や中国文書に明るい者をお好みになられると、近頃言い出しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ようふくじ　　　ほうえなり　　　さしんえいけちがんさる　　　しょにんまたさんしゅう　　うんぬん
寳治二年(1248)三月小十五日癸亥。永福寺の法會也。左親衛結縁被る。諸人又參集すと云々。

現代語宝治二年(1248)三月小十五日癸亥。永福寺での法要です。時頼さまが仏との縁結びのためです。世間の皆が、相伴にあずかろうと集まりましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さしんえい　ささめがやつ　　どう　　をい　　　　こぶしゅうぜんもん　〔つねとき〕　　だいさんえんぶつじ　　しゅうさる
寳治二年(1248)三月小廿九日丁丑。左親衛佐々目谷の堂に於て、故武州禪門〔經時〕の第三年佛事を修被る。

どうし　　はんにゃぼうりっし　　うんぬん　　また　　せんぞうぐ　あ　　　　うんぬん
導師は般若房律師と云々。又、千僧供有りと云々。

現代語宝治二年(1248)三月小二十九日丁丑。左親衛時頼さまは、笹目谷のお堂で、兄の故武州禅門〔経時〕の三年忌の法事を行いました。指導僧は般若坊律師だそうな。又、千人の坊さんの供養もあったそうな。

解説同年三月三十一日付けの常楽寺への北条時頼寄進の鐘に「家君禪閤(泰時)墳墓之迎地也　足催坐禪之空観」と書かれているらしい。

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