吾妻鏡入門第四十一巻

建長三年(1251)正月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれかぜしず　なり　 おうばん　 そうしゅう　 おんさた　　しんもつ　　えき　　ひと
建長三年(1251)正月小一日壬戌。天�ﾘ風靜か也。椀飯、相州の御沙汰。進物の役の人。

　　ぎょけん　さきのうまごんのかみ　　　 ごちょうど　　むつかもんのすけ　　　　おんむかばき　　さどのぜんじ
　御劔は前右馬權頭　　御調度は陸奥掃部助　　御行騰は佐渡前司

　いちのおんうま　さがみしきぶのたくぃふときひろ　　　　　　さがみのはちろうときたか
　一御馬　相摸式部大夫時弘　　　　相摸八郎時隆

　　にのおんうま　むさしのしろうときなか　　　　　　　　　　　　おな　　　　ごろうときただ
　二御馬　武藏四郎時仲　　　　　　同じき五郎時忠

　さんのおんうま　とおとうみのろくろうさえもんのじょうときつら　おな　　　しんさえもんのじょうつねみつ
　三御馬　遠江六郎左衛門尉時連　　同じき新左衛門尉經光

　よんのおんうま　こうづけのいやしろうさえもんのじょうときみつ　おな　　　じうろうともむら
　四御馬　上野弥四郎左衛門尉時光　同じき十郎朝村

　　ごのおんうま　いずみのじろうさえもんのじょうときあき　　　　でわのさぶろうゆきすけ
　五御馬　和泉次郎左衛門尉行章　　出羽三郎行資

きょう　　　しょうぐんけなら　　　　わかぎみごぜんら　　みゆきはじめのぎあ　　　　そうしゅう　おんだい　　い　　　たま
今日、將軍家�@并びに若君御前�A等、御行始之儀有り。相州の御第へ入り御う。

参考�@將軍家は、九条頼嗣。兼実─良経─道家─頼経─頼嗣
参考�A若君御前は、頼嗣の弟で乙若丸。

　　　　　ぐぶにん
　　供奉人

しょうぐん　おんかた
將軍の御方

　　さきのうまごんのかみまさむら　　　　　　　　むさしのかみともなお
　前右馬權頭政村　　　　　武藏守朝直

　　むつかもんのすけさねとき　　　　　　　　　　 くないしょうゆうやすうじ
　陸奥掃部助實時　　　　　宮内少輔泰氏

　　ほうじょうろくろうときさだ　　　　　　　　　　　　えちごのごろうときいえ
　北條六郎時定　　　　　　越後五郎時家

　　さどのぜんじもとつな　　　　　　　　　　　　　おおくらごんのしょうゆうともひろ
　佐渡前司基綱　　　　　　大藏權少輔朝廣

　　おやまのでわぜんじながむら　　　　　　　　しもつけぜんじやすつな
　小山出羽前司長村　　　　下野前司泰綱

　　にったみかわぜんじよりうじ　　　　　　　　　さきのだいざいしょうにためすけ
　新田三河前司頼氏　　　　前太宰少貳爲佐

　　とおやまさえきのおおくらしょうゆうかげとも　くらごんのかみすけちか
　遠山前大藏少輔景朝　　　内藏權頭資親

　　あきのぜんじちかみつ　　　　　　　　　　　　　のとのうこんたいふなかとき
　安藝前司親光　　　　　　能登右近大夫仲時

　　おおすみぜんじただとき　　　　　　　　　　　ないとうひごぜんじもりとき
　大隅前司忠時　　　　　　内藤肥後前司盛時

　　ちくぜんぜんじゆきやす　　　　　　　　　　　さつまのぜんじすけなが
　筑前前司行泰　　　　　　薩摩前司祐長

　　とおとうみのじろうさえもんのじょうみつもり　むとうさえもんのじょうかげより
　遠江次郎左衛門尉光盛　　武藤左衛門尉景頼

　　おおそねさえもんのじょうながやす　　　　　いずみのじろうさえもんのじょうゆきあき
　大曽祢左衛門尉長泰　　　和泉次郎左衛門尉行章

　　せっつのしんさえもんのじょう　　　　　　　　ひたちのじろうひょうえのじょうゆきかつ
　攝津新左衛門尉　　　　　常陸次郎兵衛尉行雄

　　ほんまのじろうひょうえんじょうのぶただ　　　　おのざわじろうときなか
　本間次郎兵衛尉信忠　　　小野澤次郎時仲

わかぎみごぜん　　おんかた
若君御前の御方

　　おわりのぜんじときあき　　　　　　　　　　　とおとうみのかみときなお
　尾張前司時章　　　　　　遠江守時直

　　さがみのうこんたいふしょうげんときさだ　　さがみのはちろうときたか

　相摸右近大夫將監時定　　相摸八郎時隆

　　なはうこんたいふまさしげ　　　　　　　　　　こうづけさぶろうくにうじ
　那波右近大夫政茂　　　　上野三郎國氏

　　ぬいどののとうもろつら　　　　　　　　　　　えっちゅうぜんじよりなり
　縫殿頭師連　　　　　　　越中前司頼業

　　いせのぜんじゆきつな　　　　　　　　　　　　いがのぜんじときいえ
　伊勢前司行綱　　　　　　伊賀前司時家

　　みうらのすけもりとき　　　　　　　　　　　　　 じょうのじろうよりかげ
　三浦介盛時　　　　　　　城二郎頼景

　　いがのじろうさえもんのじょうみつふさ　　　しきぶのろくろうさえもんのじょうともなが
　伊賀二郎左衛門尉光房　　式部六郎左衛門尉朝長

　　でわのじろうさえもんのじょうゆきあり　　　　 いきのたろうさえもんのじょう
　出羽次郎左衛門尉行有　　壹岐太郎左衛門尉

　　おおすがのじろうさえもんのじょうたねうじ　ひごのじろうさえもんのじょうかげうじ
　大須賀次郎左衛門尉胤氏　肥後次郎左衛門尉景氏

　　いやぜんたうえもんのじょうやすよし　　　　おきのしんさえもんのじょうとききよ
　弥善太右衛門尉康義　　　隱岐新左衛門尉時�C

　　おおそねのごろう
　大曽祢五郎

現代語建長三年(1251)正月小一日壬戌。空は晴れて風も静かです。将軍(14才)への御馳走のふるまいは、相州時頼の負担です。献上品の役の人、刀は前右馬権頭北条政村。弓矢は陸奥掃部助北条実時。乗馬袴(ﾛｰﾊｲﾄﾞ)は佐渡前司後藤基綱。
　一の馬は、相摸式部大夫北条時弘　　　　相摸八郎北条時隆
　二の馬は、武蔵四郎北条時仲　　　　　　同五郎北条時忠
　三の馬は、遠江六郎左衛門尉佐原時連　　同新左衛門尉経光
　四の馬は。上野弥四郎左衛門尉結城時光　同十郎結城朝村
　五の馬は、和泉次郎左衛門尉二階堂行章　出羽三郎二階堂行資

今日、将軍家頼嗣様と弟乙若丸様のお出かけ始め式がありました。相州時頼さんの屋敷へ入られました。
　　お供の人
将軍家頼嗣様の分
　前右馬権頭北条政村　　　武蔵守北条朝直
　陸奥掃部助北条実時　　　宮内少輔足利泰氏
　北条六郎時定　　　　　　越後五郎北条時家
　佐渡前司後藤基綱　　　　大蔵権少輔結城朝広
　出羽前司小山長村　　　　下野前司宇都宮泰綱
　三河前司新田義氏　　　　前太宰少弐狩野為佐
　前大蔵少輔遠山景朝　　　内蔵権頭資親
　安芸前司親光　　　　　　能登右近大夫仲時
　大隅前司島津忠時　　　　肥後前司内藤盛時
　筑後前司二階堂行泰　　　薩摩前司安積祐長
　遠江次郎左衛門尉光盛　　武藤左衛門尉景頼
　大曽祢左衛門尉長泰　　　和泉次郎左衛門尉二階堂行章
　摂津新左衛門尉　　　　　常陸次郎兵衛尉二階堂行雄
　本間次郎兵衛尉信忠　　　小野沢次郎時仲

乙若丸様の分
　尾張前司北条時章　　　　遠江守北条時直
　相模右近大夫将監時定　　相模八郎時隆
　那波右近大夫政茂　　　　上野三郎畠山国氏
　縫殿頭中原師連　　　　　越中前司(宇都宮)横田頼業
　伊勢前司二階堂行綱　　　伊賀前司小田時家
　三浦介盛時　　　　　　　城次郎安達頼景
　伊賀次郎左衛門尉光房　　式部六郎左衛門尉伊東朝長
　出羽次郎左衛門尉行有　　壱岐太郎左衛門尉
　大須賀次郎左衛門尉胤氏　肥後次郎左衛門尉天野景氏
　弥善太右衛門尉三善康義　隠岐新左衛門尉佐々木時清
　大曽祢五郎

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おうばん　　おうしゅう　おんさた
建長三年(1251)正月小二日癸亥。椀飯。奥州の御沙汰。

　　ぎょけん　むさしのかみともなお　　　ごちょうど　さがみのしきぶおおすけときひろ　　　おんむかばき　しもつけぜんじやすつな
　御劔は武藏守朝直　　御調度は相摸式部大輔時弘　　御行騰は下野前司泰綱

　いちのおんうま　　むつのいやしろうときもち　　　　　　　むらぐしさぶろうひょうえのじょう
　一御馬　陸奥弥四郎時茂　　　　村櫛三郎兵衛尉

　　にのおんうま　　しもつけしちろうつねつな　　　　　　　 あさばさえもんのじょうじろう
　二御馬　下野七郎經綱　　　　　淺羽左衛門尉次郎

　さんのおんうま　　こうづけごろうさえもんのじょうしげみつ　おな　　 さぶろうひょうえのじょうひろつな
　三御馬　上野五郎左衛門尉重光　同じき三郎兵衛尉廣綱

　よんのおんうま　　いずものごろうさえもんのじょうのぶとき　おな　　　 じろうみつとき
　四御馬　出雲五郎左衛門尉宣時　同じき次郎光時

　　ごのおんうま　　とおとうみのろくろうのりとき　　　　　　　 おわりのじろうきんとき
　五御馬　遠江六郎教時　　　　　尾張次郎公時

現代語建長三年(1251)正月小二日癸亥。将軍への御馳走のふるまいは、奥州重時の負担です。刀は武蔵守北条朝直。弓矢は相模式部大輔北条時弘。乗馬袴(ﾛｰﾊｲﾄﾞ)は下野前司宇都宮泰綱。
　一の馬は、陸奥弥四郎北条時弘　　と　村櫛三郎兵衛尉
　二の馬は、下野七郎宇都宮経綱　　と　浅羽左衛門尉次郎
　三の馬は、結城五郎左衛門尉重光　と　結城三郎兵衛尉広綱
　四の馬は。出雲五郎左衛門尉宣時　と　同次郎光時
　五の馬は、遠江六郎北条教時　　　と　尾張次郎北条公時

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おうばん　 さまのかみにゅうどうまさよし　　さた
建長三年(1251)正月小三日甲子。椀飯。左馬頭入道正義の沙汰。

　　ぎょけん　　くないしょうゆうやすうじ　　　ごちょうど　　あいだのじょうすけよしかげ　　おんむかばき　にったみかわぜんじよりうじ
　御劔は宮内少輔泰氏　　御調度は秋田城介義景　　御行騰は新田三河前司頼氏

　いちのおんうま　　あしかがのたろういえうじ　　　　　　　おな　　　　じろうあきうじ
　一御馬　足利太郎家氏　　　　　同じき次郎顯氏

　　にのおんうま　　こうづけさぶろうくにうじ　　　　　　　　おおひらさえもんのじょう
　二御馬　上野三郎國氏　　　　　大平左衛門尉

　さんのおんうま　　とおとうみのろくろうさえもんのじょうときつら　おな　　しんさえもんのじょうつねみつ
　三御馬　遠江六郎左衛門尉時連　同じき新左衛門尉經光

　よんのおんうま　　でわのじろうさえもんゆきあり　　　　　おな　　　　さぶろうゆきすけ
　四御馬　出羽次郎左衛門行有　　同じき三郎行資

　　ごのおんうま　　みむらしんさえもんときちか　　　　　　おな　　　　じろう
　五御馬　三村新左衛門時親　　　同じき二郎

現代語建長三年(1251)正月小三日甲子。将軍への御馳走のふるまいは、左馬頭入道足利正義の負担です。刀は足利少輔泰氏。弓矢は秋田城介安達義景。乗馬袴(ﾛｰﾊｲﾄﾞ)は三河前司新田頼氏。
　一の馬は、足利太郎家氏　　　　　と　同次郎顕氏
　二の馬は、上野三郎畠山国氏　　　と　大平左衛門尉
　三の馬は、遠江六郎左衛門尉時連　と　同新左衛門尉経光
　四の馬は。出羽次郎左衛門尉行有　と　同三郎行資
　五の馬は、三村新左衛門尉時親　　と　同次郎

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　 うしのこく　 とうのつじ しょうぼう　じんおく すうじゅうう わざわい
建長三年(1251)正月小四日乙丑。天霽。丑刻。 塔辻 燒亡。人屋 數十宇 災。

おおくらごんのしょうゆうともひろ のいえ　　そ　　　なか　　あ　　　　 るいだいそうでん　 ちけんもんじょ いげ　　 ちょうほう　ことごと　もっ　　 かじん　　　　うんぬん
　大藏權少輔朝廣　之家、其の中に在り。累代相傳の地券文書以下の重寳、盡く以て火燼すと云云。

現代語建長三年(1251)正月小四日乙丑。空は晴れました。午前２時頃　塔の辻で火事。人家数十軒が焼けました。大蔵権少輔結城朝広の家が、その中に在って、先祖伝来の地頭の権利書など重要な品物がすべて焼けてしまいましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　 にいどの　なら　　　　にとうのおんかたら みゆきはじめ　　あいだのじょうすけよしかげ　　あまなわだい　い　　　たま
建長三年(1251)正月小五日丙辰。天霽。二位殿�@并びに二棟御方�A等御行始。　秋田城介義景の　甘繩第へ入り御う。

　　　　　ぐぶにん　　〔　ほい　　げぐく　　　　　きば　　ふさぐら〕
　　供奉人〔布衣�B下括り。騎馬總鞍〕

参考�@二位殿は、頼経室。
参考�A二棟御方は、親能の娘・大宮殿で頼嗣の実母。参考布衣は、布製の狩衣の別称。狩衣は武家社会では、束帯に次ぐ礼装であった。
参考�B布衣は、布製の狩衣の別称。狩衣は武家社会では、束帯に次ぐ礼装であった。

　にいどの　　おんかた
二位殿の御方

　　びぜんぜんじときなが　　　　　　　　　　　　とおとうみさこんたいふしょうげんときかね
　備前々司時長　　　　　　遠江左近大夫將監時兼

　　さがみのさぶろうたろうときなり　　　　　　　 なはさこんたいふまさしげ
　相摸三郎太郎時成　　　　那波左近大夫政茂

　　でわのぜんじながむら　　　　　　　　　　　　にったみかわぜんじよりうじ
　出羽前司長村　　　　　　新田三河前司頼氏

　　こうづけさぶろうくにうじ　　　　　　　　　　　　ぬいどののとうもろつら
　上野三郎國氏　　　　　　縫殿頭師連

　　とおとうみろくろうさえもんのじょうときつら　　いやいちろうさえもんのじょうちかもり
　遠江六郎左衛門尉時連　　弥一郎左衛門尉親盛

　　せっつのさえもんのじょう　　　　　　　　　　　ひたちのじろうひょうえのじょうゆきかつ
　攝津左衛門尉　　　　　　常陸二郎兵衛尉行雄

　　でわのさぶろうゆきすけ
　出羽三郎行資

　にとう　　おんかた
二棟の御方

　　むつかもんのすけさねとき　　　　　　　　　　ほうじょうろくろうときさだ　〔いじょうおんこしよせ〕
　陸奥掃部助實時　　　　　北條六郎時定〔以上御輿寄〕

　　さがみしきぶのたいふときひろ　　　　　　　 えちごのごろうときいえ
　相摸式部大夫時弘　　　　越後五郎時家

　　くらごんのかみすけちか　　　　　　　　　　　 あきぜんじちかみつ
　内藏權頭資親　　　　　　安藝前司親光

　　えっちゅうぜんじよりなり　　　　　　　　　　　 おおすみぜんじただとき
　越中前司頼業　　　　　　大隅前司忠時

　　ぶんごのしろうさえもんのじょうただつな　　 ひごのじろうさえもんのじょうかげうじ
　豊後四郎左衛門尉忠綱　　肥後二郎左衛門尉景氏

　　いずみのじろうさえもんのじょうゆきあき　　　おおそねじろうさえもんのじょうもりつね
　和泉二郎左衛門尉行章　　大曽祢次郎左衛門尉盛經

　　いずみのごろうさえもんのじょうまさやす　　 ちくぜんじろうさえもんのじょうゆきより
　和泉五郎左衛門尉政泰　　筑前次郎左衛門尉行頼

現代語建長三年(1251)正月小五日丙辰。空は晴れました。入道大納言家頼経様の正妻二位殿と将軍家頼嗣様の母上二棟方のお出かけ始めです。
　　　お供の人〔布衣の礼装。袴は足首で絞る。乗馬で房つき鞍？〕
二位殿正妻分
　備前前司名越流北条時長　　　遠江左近大夫将監名越流北条時兼
　相模三郎太郎時成　　　　　　那波左近大夫将監政茂
　出羽前司小山長村　　　　　　三河前司新田頼氏　　　　
　上野三郎畠山国氏　　　　　　縫殿頭中原師連
　遠江六郎左衛門尉時連　　　　弥一郎左衛門尉親盛
　攝津左衛門尉　　　　　　　　常陸二郎兵衛尉二階堂行雄
　出羽三郎二階堂行資
将軍家頼嗣様の母上二棟方の分
　陸奥掃部助北条実時　　　　　北条六郎時定〔二人は輿の両脇に居ます〕
　相摸式部大夫北条時弘　　　　越後五郎北条時家
　内蔵権頭資親　　　　　　　　安芸前司親光
　越中前司(宇都宮)横田頼業　　大隅前司島津忠時
　豊後四郎左衛門尉島津忠綱　　肥後二郎左衛門尉天野景氏
　和泉二郎左衛門尉二階堂行章　大曽祢次郎左衛門尉盛経
　和泉五郎左衛門尉天野政泰　　筑前次郎左衛門尉二階堂行頼

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　 　ばくふ　　をい　　にょぼう　 しょうぶあ　　　　　 にいどの　　にとうのおんかたら ごかいごう　 そうしゅうのしつぎょさん　　　 うんぬん
建長三年(1251)正月小七日戊辰。天霽。幕府に於て女房の勝負有り。二位殿・二棟御方等御會合。相州之室御參すと云云。

現代語建長三年(1251)正月小七日戊辰。空は晴れました。幕府で女性たちの賭け事ゲームがありました。頼経様の正妻二位殿と将軍家頼嗣様の母上二棟方が一緒です。相州時頼さんの奥さんも参加しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　えいちゅう　しんぎょうえなり　 しょうぐんけ い　　たま
建長三年(1251)正月小八日己巳。天�ﾘ。營中の心經會也。將軍家出で御う。」

きょう　　　そうしゅう　　こんどうやくしにょらいぞう　〔はっすん〕　　　い　せし　　らる　　　　おさん　へいあんのごきしょうのためなり　　くどうさぶろうさえもんのじょうみつやす これ　　ぶぎょう
今日、相州、金銅藥師如來像〔八寸〕を鑄令め被る。御産平安之御祈請之爲也。 工藤三郎左衛門尉光泰 之を奉行す。

すなは　くよう　　　と　　　らる　　　　つるがおかべっとうほういん どうしたり　　また ちょうじつ　 やくしぐ　なら　　　　しんどく　だいはんにゃきょう　しぎょうさる　　　　うんぬん
則ち供養を遂げ被る。 鶴岡別當法印 導師爲。又 長日の藥師供并びに信讀の大般若經を始行被ると云云。」

つぎ　　ゆいのはま　　おんゆみはじめ　　　　いて　　 えら　　らる
次に由比濱での御弓始の、射手を撰ば被る。

むつかもんのすけ　これ　かんりん　　　　むさしのかみ　とおとうみのかみ　ほうじょうろくろう　いげ　　　けんぶつ　ため　　　　て　ゆきむかわる　　うんぬん
陸奥掃部助 之を監臨す。 武藏守・ 遠江守・北條六郎 以下、見物の爲とし而行向被ると云云。

　いて　じうしちにん
射手十七人

　　いちばん　　たけだのごろしちろう　　　　　はやかわじろうたろう
　一番　武田五郎七郎　　 早河次郎太郎

　　　にばん　　よこみぞしちろうごろう　　　　 くわばらへいない
　二番　横溝七郎五郎　　 桑原平内

　　さんばん　　ふせのさぶろう　　　　　　　　 おのざわじろう
　三番　布施三郎　　　　 小野澤二郎

　　よんばん　　ひらいはちろう　　　　　　　　 さつまくろう
　四番　平井八郎　　　　 薩摩九郎

　　　ごばん　　まいたのごろじろう　　　　　　　いけだごろう
　五番　眞板五郎二郎　　 池田五郎

　　いちばん　　さぬきのいやしろう　　　　　　すわひょうえしろう
　六番　佐貫弥四郎　　　 諏方兵衛四郎

　　しちばん　　たがやのいやごろう　　　　　　くどううこんさぶろう
　七番　多賀谷弥五郎　　 工藤右近三郎

　　いちばん　　こうのうえもんしろう　　　　　　いっしきしろうさえもんのじょう
　八番　河野右衛門四郎　 一色四郎左衛門尉

　　いちばん　　なつめうこんさぶろう　〔ひとりゆみ〕
　九番　棗右近三郎〔獨弓〕

現代語建長三年(1251)正月小八日己巳。空は晴です。御所の中での般若心経の法要です。将軍家頼嗣様もご出席です。」
今日、相州時頼さんは、金堂の薬師如来像〔24cm〕を鋳させました。無事な出産を祈るためです。工藤三郎左衛門尉光泰が担当しました。出来次第すぐに開眼供養をしました。鶴岡八幡宮筆頭法印隆弁が指導僧です。又、一日中続ける薬師如来の供養それにちゃんと読む大般若経を始めましたとさ。」
次に、由比ガ浜での弓始め式の射手を選びました。陸奥掃部助北条実時さんが現地で監督しました。武蔵守北条朝直・遠江守北条時直・北条六郎時定以下が、見物と称して向かいましたとさ。
射手は、17人
　一番は、武田五郎七郎政平　VS　早川次郎太郎祐泰
　二番は、横溝七郎五郎忠光　VS　桑原平内盛時
　三番は、布施三郎行忠　　　VS　小野沢次郎時仲
　四番は、平井八郎清頼　　　VS　薩摩九郎安積祐朝
　五番は、真板五郎次郎経朝　VS　池田五郎
　六番は、佐貫弥四郎広信　　VS　諏訪兵衛四郎盛頼
　七番は、多賀谷弥五郎重茂　VS　工藤右近三郎
　八番は、河野右衛門四郎通時VS　一色四郎左衛門尉
　九番は、棗右近三郎〔一人で射ます〕

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まんどころ もんちゅうじょら しょうぶ　えんねん　　うんぬん
建長三年(1251)正月小九日庚午。政所 問注所等 勝負。延年と云云。

現代語建長三年(1251)正月小九日庚午。政務事務所と裁判所が勝負です。かくし芸大会だそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　きょう　おんゆみはじ　のぎ　　おうしゅう　そうしゅう　さきのうまごんのかみ　　くないしょうゆうら　しゅっし　　　　　うんぬん
建長三年(1251)正月小十日辛未。天霽。今日御弓始め之儀。奥州。相州。前右馬權頭。宮内少輔等出仕すと云云。

　いて　じうにん　〔おのおのたてえぼし　　すいかん　くずばかま　　あさばき〕　ふたごど　これ　　い
射手十人〔各立烏帽子。水干。葛袴。淺履〕二五度之を射る。

　　いちばん　　たけだのごろしちろうまさひら　　　　はやかわにじろうすけやす
　一番　武田五郎七郎政平　　早河二郎太郎祐泰

　　　にばん　　よこみじしちろうごろうただみつ　　くわばらへいないもりとき
　二番　横溝七郎五郎忠光　　桑原平内盛時

　　さんばん　　たがやのいやごろうしげもち　　　　　すわひょうえしろうもりより
　三番　多賀谷弥五郎重茂　　諏方兵衛四郎盛頼

　　よんばん　　ふせのさぶろうゆきただ　　　　　　　まいたのごろじろうつねとも
　四番　布施三郎行忠　　　　眞板五郎二郎經朝

　　　ごばん　　とうのうこんさぶろう　　　　　　　　　　ひらいはちろうきよより
　五番　束右近三郎　　　　　平井八郎�C頼

現代語建長三年(1251)正月小十日辛未。空は晴れました。今日、弓始め式です。奥州北条重時・相州北条時頼・前右馬権頭北条政村・宮内少輔足利泰氏が出席しました。射手は10人〔それぞれ立烏帽子に水干を着て、葛袴を履き、浅い木沓です。〕二本づつ五度射ました。
　一番は、武田五郎七郎政平　VS　早川次郎太郎祐泰
　二番は、横溝七郎五郎忠光　VS　桑原平内盛時
　三番は、多賀谷弥五郎重茂　VS　諏訪兵衛四郎盛頼
　四番は、布施三郎行忠　　　VS　真板五郎次郎経朝
　五番は、棗右近三郎　　　　VS　平井八郎清頼

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　しょうぐんけ つるがおかはちまんぐう　まい　　　　おんそくたい　ぎょけんしゃく　あじろのおくるまなり
建長三年(1251)正月小十一日壬申。天霽。將軍家 鶴岡八幡宮へ 參る。御束帶。 御劔笏。網代之御車也。

ぎょうれつ
行列

　ま　　しょたいふはちにん
先ず諸大夫八人

　　ほしのでわぜんじすえよし　　　　　　　　　　　　　　　　　　いずもごんのかみためまさ
　星野出羽前司季義　　　　　　　　出雲權守爲政

　　おうみのぜんじすえさね　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしだてさこんたいふすけよし
　近江前司季實　　　　　　　　　　押立左近大夫資能

　　しょうゆうもくのすけひろとき　　　　　　　　　　　　　　　　　　あきのさこんたいふちかつぐ
　少輔木工助廣時　　　　　　　　　安藝右近大夫親継

　　あきのさこんくらんどしげちか　　　　　　　　　　　　　　　　 いずみのさこんくらんど
　安藝左近藏人重親　　　　　　　　和泉左近藏人

つぎ　　てんじょうびと じうにん
次に 殿上人 十人

　　あんののちゅうじょうたかかね　　　　　　　　　　　　　　　　　　おわりのしょうゆうきよもと
　安野中將隆兼　　　　　　　　　　尾張少輔�C基

　　にじょうしょうしょうかねのり　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とうのｓじょうしょうさねとお
　二條少將兼教　　　　　　　　　　藤少將實遠

　　さきのうひょうえのすけたかうじ　　　　　　　　　　　　　　　　いちじょうしょうしょうよしきよ
　前右兵衛佐隆氏　　　　　　　　　一條少將能�C

　　さきのぢぶしょうゆうつねあき　　　　　　　　　　　　　　　　　なかみかどじじゅうむねよ
　前治部少輔經章　　　　　　　　　中御門侍從宗世

　　さきのひょうのすけただとき　　　　　　　　　　　　　　　　　　ろくじょうじじゅうきんざね
　前兵衛佐忠時　　　　　　　　　　六條侍從公實

つぎ　　おくるま
次に御車

　　かじわらうえもんさぶろうかげうじ　　　　　　　　　　　　　　　いがのしきぶのはちろうひょうえのじょう
　梶原右衛門三郎景氏　　　　　　　伊賀式部八郎兵衛尉

　　みむらさえもんのじょうときちか　　　　　　　　　　　　　　　　むとうじろうひょうえのじょうよりやす
　三村左衛門尉時親　　　　　　　　武藤次郎兵衛尉頼泰

　　おおそねさえもんたろうながつぐ　　　　　　　　　　　　　　　ぜんのさえもんじろうやすあり
　大曽祢左衛門太郎長継　　　　　　善左衛門次郎康有

　　ないとうぶんごさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おのざわじろうときなか
　内藤豊後三郎　　　　　　　　　　小野澤二郎時仲

　　ひごのしろうひょうえんじょうゆきさだ　　　　　　　　　　　　　やましろじろうひょうえのじょうのぶただ
　肥後四郎兵衛尉行定　　　　　　　山城二郎兵衛尉信忠

　　いとうさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　へいうこんたろう
　伊東三郎　　　　　　　　　　　　平右近太郎

　　　　　　いじょう ひたたれ たいけん　　おくるま　　さゆう　　そうら
　　　以上 直垂 帶劔。御車の左右に候う。

つぎ　 ぎょけん　えき　　ひと
次に御劔の役の人

　　むさしのかみともなお
　武藏守朝直

つぎ　 ごちょうどがけ
次に御調度懸

　　むとうさえもんのじょうかげより
　武藤左衛門尉景頼

つぎ　おんうしろ　ぐぶにん　〔　ほい　　げぐく　　〕
次に御後の供奉人〔布衣下括り〕

　　さがみうこんたいふしょうげんときさだ　　　　　　　　　　　　 むつかもんのすけさねとき
　相摸右近大夫將監時定　　　　　　陸奥掃部助實時

　　とおとうみのろくろうのりとき　　　　　　　　　　　　　　　　　　 むさしのしろうときなか
　遠江六郎教時　　　　　　　　　　武藏四郎時仲

　　しかがたろういえうじ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くらごんのかみすけちか
　足利太郎家氏　　　　　　　　　　内藏權頭資親

　　にったみかわぜんじよりうじ　　　　　　　　　　　　　　　　　 とおやまおおくらしょうゆうかげとも
　新田三河前司頼氏　　　　　　　　遠山大藏少輔景朝

　　いがぜんじときいえ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おおすみぜんじただとき
　伊賀前司時家　　　　　　　　　　大隅前司忠時

　　いせのぜんじゆきつな　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とおとうみのじろうさえもんのじょうみつもり
　伊勢前司行綱　　　　　　　　　　遠江二郎左衛門尉光盛

　　おおそねさえもんのじょうながやす　　　　　　　　　　　　　とおとうみのろくろうさえもんのじょうときつら
　大曽祢左衛門尉長泰　　　　　　　遠江六郎左衛門尉時連

　　かじわらうえもんのじょうかげとし　　　　　　　　　　　　　　　　おおそねじろうさえもんのじょうもりつね
　梶原右衛門尉景俊　　　　　　　　大曽祢次郎左衛門尉盛經

　　いやぜんたうえもんのじょうやすもち　　　　　　　　　　　　　せっつのさえもんのじょう
　弥善太右衛門尉康茂　　　　　　　攝津左衛門尉

　　いずみごろうさえもんのじょうまさやす
　和泉五郎左衛門尉政泰

現代語建長三年(1251)正月小十一日壬申。空は晴れました。将軍家頼嗣様は、鶴岡八幡宮へお参りです。束帯に太刀を佩き、笏を持って網代の牛車です。
行列
まず先払いの五位
　星野出羽前司季義　　　出雲権守為政
　近江前司季実　　　　　押立左近大夫資能
　少輔木工助広時　　　　安芸右近大夫親継
　安芸左近大夫蔵人重親　和泉左近蔵人
次に内裏へ上がれる身分の人
　安野中務隆兼　　　　　尾張少将清基
　二条少将兼教　　　　　藤原少将実遠
　前右兵衛佐隆氏　　　　一条少将能清
　前治部少輔経章　　　　中御門侍従宗世
　前兵衛佐忠時　　　　　六条侍従公実
次に将軍の牛車
　梶原右衛門三郎景氏　　伊賀式部八郎兵衛尉仲光
　三村左衛門尉時親　　　武藤次郎兵衛尉頼泰
　大曽祢左衛門太郎長継　三善左衛門次郎康有
　内藤豊後三郎　　　　　小野沢次郎時仲
　肥後四郎兵衛尉行定　　山城次郎兵衛尉信忠
　伊東三郎　　　　　　　平右近太郎
　　　以上は、鎧直垂を着て太刀を佩き、牛車の左右についています。
次に太刀持ちの人
　武蔵守北条朝直
次に弓矢を担いでいる人
　武藤左衛門尉景頼
次に将軍の後ろにお供する人〔布衣の礼装。袴は足首で絞る〕
　相模右近大夫将監北条時定　陸奥掃部助北条実時
　遠江六郎北条教時　　　　　武蔵四郎北条時仲
　足利太郎家氏　　　　　　　内蔵権頭資親
　三河前司新田頼氏　　　　　遠山大蔵少輔景朝
　伊賀前司小田時家　　　　　大隅前司島津忠時
　伊勢前司二階堂行綱　　　　遠江次郎左衛門尉佐原光盛
　大曽祢左衛門尉長泰　　　　遠江六郎左衛門尉佐原時連
　梶原右衛門尉景俊　　　　　大曽祢次郎左衛門尉盛経
　弥善太右衛門尉三善康茂　　摂津左衛門尉
　和泉五郎左衛門尉天野政泰

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　 しょうぐんけ　にしょ　　ごしょうじんはじ　なり
建長三年(1251)正月小十五日丙子。天�ﾘ。將軍家二所の御精進始め也。

よっ　　にしょ　なら　　　わかぎみごぜん　さきのうまごんのかみ　だい　　い　　　たま　　　　おんものもうでのあいだ　おんざあ　　　べ　　　　　うんぬん
仍て二所并びに若君御前、前右馬權頭の第へ入り御う。 々物詣之間、 御座有る可きと云云。

現代語建長三年(1251)正月小十五日丙子。空は晴です。将軍家頼嗣様は、箱根走湯の二所権現参りの精進潔斎の始めです。それで母の二棟方と弟の乙若丸様は、政村の屋敷へ入りました。精進の間はそちらにおいでだそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　そうしゅう　おんだい　をいて ほうこうぶつぞう　　くよう　さる　　　　どうし　　つるがおかべっとうほういん

建長三年(1251)正月小十七日戊寅。天�ﾘ。相州の御第に於而放光佛像�@を供養被る。導師は鶴岡別當法印。

またにょいにりんごま　　　しゅうさる　　　 これ　 みなおさん　　おいの　　なり

又如意輪護摩を修被る。是、皆御産の御祈り也。

現代語建長三年(1251)正月小十七日戊寅。それは晴です。時頼さんの屋敷で、阿弥陀像の供養です。指導僧は、鶴岡八幡宮の筆頭法印隆弁です。また、如意輪観音の護摩炊きも勤めました。これは全て無事なお産のための祈りです。

解説�@放光佛は、不明だが、頭部から光を放射する仏なので、阿弥陀仏は無量光を放つといわれるので、阿弥陀とした。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　しょうぐんけ　にしょ　　　ごしんぱつなり

建長三年(1251)正月小廿日辛巳。天�ﾘ。將軍家二所へ御進發也。

　　　　ぎょうれつ
　　行列

ぜんじん　ずいへい　じうにき
前陣の随兵十二騎

　　かさいしちろうときしげ　　　　　　えどのはちろう
　葛西七郎時重　　　江戸八郎

　　のもとじろうゆきとき　　　　　　　　さぬきのはちろうひろつね
　野本二郎行時　　　佐貫七郎廣經

　　さののはちろうきよつな　　　　　やまがみのいやしろうひでもり
　佐野八郎�C綱　　　山上弥四郎秀盛

　　ひぜんおたろうすけみつ　　　　 さぬきのじろたろうやすつな
　肥前太郎資光　　　佐貫次郎太郎泰綱

　　てしまのげいろくつねやす　　　 やまだのしろうみちしげ
　豊嶋平六經泰　　　山田四郎通重

　　ちばのしちろうじろうゆきたね　　 とうのしろうよしゆき
　千葉七郎次郎行胤　東四郎義行

つぎ　おんひきうまさんびき
次に御引馬三疋

つぎ　おんゆぶくろさし
次に御弓袋差

つぎ　おんよろい
次に御鎧

つぎ　おんかぶともち
次に御甲持

つぎ　おんぐそく
次に御具足

つぎ　ごちょうどがけ
次に御調度懸

　　じじゅまる
　持壽丸

つぎ　おんあぶら
次に御油

つぎ　おんせんだつ
次に御先達

つぎ　おんが
次に御駕

　　みむらしんさえもんのじょうときちか　　　　　ひごのしろうひょうえのじょうゆきさだ
　三村新左衛門尉時親　　　肥後四郎兵衛尉行定

　　しきぶのはちろうひょうえのじょう　　　　　　　ないとうぶんごさぶろう
　式部八郎兵衛尉　　　　　内藤豊後三郎

　　むとうじろうひょうえのじょうよりやす　　　　　 ふじくらさぶろうもりよし
　武藤二郎兵衛尉頼泰　　　藤倉三郎盛義

　　かじわらうえもんさぶろうかげうじ　　　　　　　おのざわのじろうときなか
　梶原右衛門三郎景氏　　　小野澤二郎時仲

　　しぶやのじろたろうたけしげ　　　　　　　　　やましろじろうひょうえのじょうのぶただ
　澁谷二郎太郎武重　　　　山城次郎兵衛尉信忠

　　たいらのうこんたろう　　　　　　　　　　　　　　つちやのしんざぶろうみつとき
　平右近太郎　　　　　　　土屋新三郎光時

　　せっつのしんさえもんのじょう　　　　　　　　　けんじょうじろう
　攝津新左衛門尉　　　　　兼仗太郎

　　ひらいはちろうきよより
　平井八郎�C頼

　　　　　　　いじょうじうごにん　　　おんがの　さゆう　　あ
　　　已上十五人、御駕之左右に在り。

おんうしろ
御後

　　おわりのしょうしょう　　　　　　　　　　　　なかみかどのしょうしょう
　尾張少將　　　　　　　中御門少將

　　むさしのかみ　　　　　　　　　　　　　　　 さがみうこんのたいふしょうげん
　武藏守　　　　　　　　相摸右近大夫將監

　　むつかもんのすけ　　　　　　　　　　　　　さがみしきぶのたいふ
　陸奥掃部助　　　　　　相摸式部大夫

　　ほうじょうろくろう　　　　　　　　　　　　　　えちごごろう
　北條六郎　　　　　　　越後五郎

　　とおとうみろくろう　　　　　　　　　　　　　 むとうしろう
　遠江六郎　　　　　　　武藤四郎

　　さがみのはちろう　　　　　　　　　　　　　 おな　　　　さぶろうたろう
　相摸八郎　　　　　　　同じき三郎太郎

　　あしかがさぶろう　　　　　　　　　　　　　　にったみかわのぜんじ
　足利三郎　　　　　　　新田三河前司

　　ないとうごんのかみ　　　　　　　　　　　　とおやまさきのおおくらしょうゆう
　内藤權頭　　　　　　　遠山前大藏少輔

　　おおすみぜんじ　　　　　　　　　　　　　ないとうひごぜんじ
　大隅前司　　　　　　　内藤肥後前司

　　いがぜんじ　　　　　　　　　　　　　　　　いせぜんじ
　伊賀前司　　　　　　　伊勢前司

　　こうづけいやしろううえもんのじょう　　　　おな　　　　さぶろうひょうえのじょう
　上野弥四郎右衛門尉　　同じき三郎兵衛尉

　　おおそねいやたろうさえもんのじょう　　　とおとうみのじろうさえもんのじょう
　大曽祢次郎左衛門尉　　遠江二郎左衛門尉

　　かじわらうえもんのじょう　　　　　　　　　いずみのごろうさえもんのじょう
　梶原右衛門尉　　　　　和泉五郎左衛門尉

　　いずものごろううえもんのじょう　　　　　　はたののこじろう
　出雲五郎右衛門尉　　　波多野小次郎

　　しなののしろうさえもんのじょう　　　　　　ちくぜんじろうさえもんのじょう
　信濃四郎左衛門尉　　　筑前次郎左衛門尉

　　むとうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　いずみのじろうさえもんのじょう
　武藤左衛門尉　　　　　和泉次郎左衛門尉

　　でわのさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　どわのしろうさえもんのじょう
　出羽三郎　　　　　　　出羽四郎左衛門尉

　　やまのうちとうないさえもんのじょう　　　　おきのさぶろうさえもんのじょう
　山内藤内左衛門尉　　　隱岐三郎左衛門尉

　　あそぬまのこじろう　　　　　　　　　　　　きいのじろうさえもんのじょう
　阿曽沼小次郎　　　　　紀伊次郎左衛門尉

　　かまたのじろうひょうえのじょう　　　　　　おうみのたいふほうがん
　鎌田次郎兵衛尉　　　　近江大夫判官

こうじん　ずいへいじうににん
後陣の随兵十二騎

　　あそぬまのしろうつぐつな　　　　　　　　きむらろくろうひでちか
　阿曽沼四郎次綱　　　　木村六郎秀親

　　きよひさいやじろうひでたね　　　　　　　たかやなぎしろさぶろうゆきただ
　�C久弥二郎秀胤　　　　高柳四郎三郎行忠

　　こくぶのじろうたねしげ　　　　　　　　　　しいなろくろうたねつぐ
　國分二郎胤重　　　　　椎名六郎胤継

　　おぐりいやじろうともしげ　　　　　　　　　 ぜんのうえもんじろうやすあり
　小栗弥二郎朝重　　　　善右衛門次郎康有

　　まかべこじろう　　　　　　　　　　　　　　　あそうたろうちかもと
　眞壁小次郎　　　　　　麻生太郎親幹

　　ながえのしちろうかげつな　　　　　　　　　あだちさえもんさぶろうもとうじ
　長江七郎景綱　　　　　足立左衛門三郎元氏

現代語建長三年(1251)正月小二十日辛巳。空は晴です。将軍家頼嗣様は、箱根走湯の二所権現参りに出発です。
行列
前を行く武装儀仗兵12騎
　葛西七郎時重　　　江戸八郎
　野本二郎行時　　　佐貫七郎広経
　佐野八郎清綱　　　山上弥四郎秀盛
　肥前太郎資光　　　佐貫次郎太郎泰綱
　豊嶋平六経泰　　　山田四郎通重
　千葉七郎次郎行胤　東四郎義行
次に将軍の乗り換え用の馬3頭
次に将軍の弓の袋を差し上げてる
次に将軍の鎧を持っている人
次に将軍の兜持ち
次に将軍の具足持ち
次に将軍の弓を肩に掛けている
　持寿丸
次に将軍の油紙の雨合羽
次に参拝案内人の先達
次に乗馬の将軍
　三村新左衛門尉時親　肥後四郎兵衛尉行定
　式部八郎兵衛尉　　　内藤豊後三郎
　武藤二郎兵衛尉頼泰　藤倉三郎盛義
　梶原右衛門三郎景氏　小野沢二郎時仲
　渋谷二郎太郎武重　　山城次郎兵衛尉信忠
　平右近太郎　　　　　土屋新三郎光時
　摂津新左衛門尉　　　兼仗太郎
　平井八郎清頼
　　　以上の15人は、将軍の乗馬の左右に居る
将軍の後ろを行く者
　尾張少将清基　　　　　　中御門少将公仲
　武蔵守北条朝直　　　　　相模右近大夫将監時定
　陸奥掃部助北条実時　　　相摸式部大夫北条時弘
　北条六郎時定　　　　　　越後五郎北条時家
　遠江六郎左衛門尉時連　　武藤四郎頼隆
　相摸八郎北条時隆　　　　同三郎太郎時成
　足利三郎　　　　　　　　三河前司新田義氏
　内蔵権頭資親　　　　　　遠山前大藏少輔景朝
　大隅前司島津忠時　　　　内藤肥後前司盛時
　伊賀前司小山時家　　　　伊勢前司二階堂行綱
　上野弥四郎左衛門尉時光　同三郎兵衛尉
　大曽祢次郎左衛門尉長泰　遠江次郎左衛門尉光盛
　梶原右衛門尉景俊　　　　和泉五郎左衛門尉天野政泰
　出雲五郎右衛門尉宣時　　波多野小次郎宣経
　信濃四郎左衛門尉行忠　　筑前次郎左衛門尉二階堂行頼
　武藤左衛門尉景頼　　　　和泉次郎左衛門尉二階堂行章
　出羽三郎二階堂行資　　　出羽四郎左衛門尉光宗
　山内藤内左衛門尉通景　　隱岐三郎左衛門尉二階堂行氏
　阿曽沼小次郎光綱　　　　紀伊次郎左衛門尉為経
　鎌田次郎兵衛尉　　　　　近江大夫判官佐々木氏信
後ろを行く武装儀仗兵12騎
　阿曽沼四郎次綱　　　木村六郎秀親
　清久弥二郎秀胤　　　高柳四郎三郎行忠
　国分二郎胤重　　　　椎名六郎胤継
　小栗弥二郎朝重　　　善右衛門次郎三善康有
　真壁小次郎秀幹　　　麻生太郎親幹
　長江七郎景綱　　　　足立左衛門三郎元氏　　

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　 そうしゅう　しつ　　ごへいさん　 ため　 ひゃくにち　たいさんふくんさいをしぎょうさる　　　やすふさこれ　　ほうし
建長三年(1251)正月小廿一日壬午。天霽。相州が室の御平産の爲、百日の泰山府君祭於始行被る。泰房之を奉仕す。

くりょうは　あいだのじょうすけよしかげ　　さた　なり
供料者、秋田城介義景の沙汰也。

現代語建長三年(1251)正月小二十一日壬午。空は晴れました。相州時頼さんの奥さんの安産の為、百日の泰山府君祭を始めました。安陪泰房が勤めます。その費用は、秋田城介安達義景の提供です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　　にしょより きちゃく　　　　おとおい　　　きのう　　　ゆきはなは　ふ　　　　　ろじ のおんわずら　なり
建長三年(1251)正月小廿五日丙戌。天霽。二所從歸着す。一昨日、昨日と雪甚だ降り、路次之御煩ひ也。

現代語建長三年(1251)正月小二十五日丙戌。空は晴れました。箱根走湯の二所権現参りから帰り着きました。昨日一昨日ととても雪が降り、道中の妨げでした。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そうしゅう　おんかた　　しんどく だいはんにゃきょうらけちがん　　　うんぬん
建長三年(1251)正月小廿八日己丑。相州の御方の信讀 大般若經等 結願すと云云。

現代語建長三年(1251)正月小二十八日己丑。時頼さんの祈願して1月8日に始めたきちんと読む大般若経が結実しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　しなののくに　すわのしゃ　　　　さんぬ　はつか からす ごじうばか　あつま　みなし　　　のよし　おおはふり もう　　　　うんぬん
建長三年(1251)正月小廿九日庚寅。信濃國諏方之社で、去る廿日 烏 五十計り聚り皆死ぬ之由、大祝 申すと云云。

現代語建長三年(1251)正月小二十九日庚寅、信濃国の諏訪大社で、先日の20日、カラスが50羽ほど集まって死んだと、神主の大祝が云ってよこしましたとさ。」

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吾妻鏡入門第四十一巻