吾妻鏡入門第四十一巻

建長三年(1251)閏九月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おんじょうじ　のこと　　ひごろ　そ　　　さた　あ　　　　　　　ごじょうせい　 およ
建長三年(1251)閏九月小一日戊子。園城寺之事、日來其の沙汰有りて、御助成に及ぶ。

きないさんさん　　ごりょう　　 　のうぐ　　か　　りょうそくたるなり　　きたいんぼうしゃ なら　　　ちんじゅしゃら ぞうえいさる　　　うんぬん　 せいさえもんのじょう　これ　ぶぎょう
畿内散々の御領の乃貢、彼の料足爲也。北院坊舎 并びに鎭守社等造營被ると云云。�C左衛門尉 之を奉行す。

現代語建長三年(1251)閏九月小一日戊子。園城寺三井寺について、近頃その検討があって、補助する事にしました。近畿地方にある散らばった領地の年貢をその費用にしました。北院の坊さんの宿舎、それと寺を守る鎮守社などを建築させるんだそうです。清原左衛門尉満定が担当します。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　いぬのこく てんぺん しゅつげん　　ひ　　ようぼう ことごと　み　　　　　ひとこれ　 あやし

建長三年(1251)閏九月小十六日癸卯。天�ﾘ。戌剋 天變 出現す。火の曜芒 悉く見ゆ。人之を怪む。

現代語建長三年(1251)閏九月小十六日癸卯。空は晴です。午後8時頃天の異変が現れました。炎が燃えている状況がすべて見えました。人はこれを変だと思いました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かいい　のこと　によっ　　　　　ごきとう　あ　　　べ　　　　のよし　　おお　 くださる　　　いへど
建長三年(1251)閏九月小十七日甲辰。變異之事于依て、御祈祷有る可き之由、仰せ下被ると雖も、

じょうど のへん　 あながち　　　ごさた　　　およ　べからずのおもむき　してんら　これ　　もう
常度之變は穴勝に御沙汰に及ぶ不可之 趣、司天等之を申す。

よっ　　さい　　お　　　れるべ　　　 ただ　め　　み　　　こころ　し　　　　　これ　　い　　　 いへど　　　けいうん じゅりょうせいのむね　　もう　　か　　　うんぬん
仍て差し置か被可き。唯眼に見、心に知りて之を謂うと雖も、慶雲 壽量星 之旨、申す歟と云云。

現代語建長三年(1251)閏九月小十七日甲辰。天の変異の事により、加持祈祷をするようにおっしゃいましたが、常なる異変は安易に命令するべきではありませんと、天文方が云いました。それなので、控えることにしました。単に目に見て心に知ってこれを云っても、良い兆しの瑞兆寿量星と云っても良いであろうとの事です。

参考慶雲は、夕空に現れ瑞兆とされる雲。

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