吾妻鏡入門第四十三巻

建長五年(1253)七月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　とらのこく　つるがおか　かりでん せんぐうなり

建長五年(1253)七月大六日壬午。天�ﾘ。寅尅、 鶴岡の假殿 遷宮也。�@

参考�@鶴岡假殿遷宮は、前月8日にも同様記事「鶴岡八幡宮假殿遷宮也」あり。よくわかりません？

現代語建長五年(1253)七月大六日壬午。空は晴れです。午前4時頃、鶴岡八幡宮の仮殿への引っ越しです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　らいげつ　つるがおかはちまんぐう　ほうじょうえ　しょうぐんけ ごさんぐう あるべ　　　　　よっ
建長五年(1253)七月大八日甲申。來月の 鶴岡八幡宮 の放生會、將軍家御參宮有可きに依て、

こさむらいどころ　をい　　　　ぐぶにん　　きょうみょうら　　か　　　ととの
小侍所に於て、供奉人の交名等を書き整う。

いはゆる　　　ほい　　 き　　べ　　　のひとあ　　　　ひたたれ　　き　　　べ　　　たいけんの そうし あ　　　　　また　ずいへいたるべ　　ものあ
所謂、布衣を着る可き之人有り。直垂を着る可き帶釼之壯士有り。又、随兵爲可き者有り。

きょう　ま　　　　ほい　　さんじょう　　めぐ　　　　　　そ　　　うちすくろう の しか　　べ　　 もの　　をい　　　　　　ぐうじ　　　かいろう　　まい　そうら　 べ　　　のよし　　うんぬん
今日先ず布衣の散状を廻らす。其の中宿老之然る可き者に於ては、宮寺の廻廊に參り候う可き之由と云々。

現代語建長五年(1253)七月大八日甲申。来月の鶴岡八幡宮の放生会は、宗尊親王将軍家のお参りがあるので、小侍所で、お供の人の名簿を書き出しました。それは、礼服を着る人があり、鎧直垂を着て太刀を佩く精兵があります。また、武装儀仗兵の人もあります。今日、まず初めに礼服の回覧を回しました。その内で、大物のそれなりの豪族は、鶴岡八幡宮の回廊に来て控えているようにとのことです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ずいへい　こと　　 きょう　さんじょう　めぐ　　さる　　　　かきざま
建長五年(1253)七月大九日乙酉。随兵の事、今日散状�@を廻ら被る。書樣は、

　　みぎ　 きた　 はちがつ　 ほうじょうえ　　ごしゃさん　あ　　べ　　　 おのおの　ほい　　　お　　　 ぐぶ いた 　　べ　　のじょう　　おお　　　 よっ　　めぐ　　　 ところ　くだん　ごと
　右、來る八月の放生會に御社參有る可し。各、布衣を帶び供奉致す可き之状、仰せに依て廻らす所、件の如し。

　　みぎ　 きた　 はちがつ　 ほうじょうえ　　ごしゃさん　あ　　べ　　　 おのおのずいへい　 な　　　 ぐぶ いた 　　べ　　のじょう　　おお　　　 よっ　　めぐ　　　 ところ　くだん　ごと
　右、來る八月の放生會に御社參有る可し。各、随兵と爲し供奉致す可き之状、仰せに依て廻らす所、件の如し。

　　みぎ　 きた　 はちがつ　 ほうじょうえ　　ごしゃさん　あ　　べ　　　 おのおのかね　かいろう　　さんこういた　　 べ　　のじょう　　おお　　　 よっ　　めぐ　　　 ところ　くだん　ごと
　右、來る八月の放生會に御社參有る可し。各、兼て廻廊に參向致す可き之状、仰せに依て廻らす所、件の如し。

参考�@散状は、回覧。名の下に承候。承了と書く。

現代語建長五年(1253)七月大九日乙酉。武装儀仗兵について、今日回覧を回しました。その内容は、
　右は、来る8月の放生会に将軍のお参りがあります。それぞれ礼服を着てお供をするようにとの手紙は、将軍の仰せに従ってこの通りです。
　右は、来る8月の放生会に将軍のお参りがあります。それぞれ武装儀仗兵としてお供をするようにとの手紙は、将軍の仰せに従ってこの通りです。
　右は、来る8月の放生会に将軍のお参りがあります。それぞれ前もって回廊にいるようにとの手紙は、将軍の仰せに従ってこの通りです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひたたれぎ　　　ぐぶにん　　さいそく　　きのう　　　おな　　　　うんぬん
建長五年(1253)七月大十日丙戌。直垂着の供奉人の催促、昨日に同じと云々。

現代語建長五年(1253)七月大十日丙戌。鎧直垂を着るお供の人の催促は、昨日と同じだそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　つるがおかはちまんぐう　せいでん　りっちゅう じょうとうなり
建長五年(1253)七月大十五日辛卯。天�ﾘ。 鶴岡八幡宮 の正殿、立柱 上棟也。

現代語建長五年(1253)七月大十五日辛卯。空は晴です。鶴岡八幡宮の建て替えてる神殿の柱立、棟上げ式です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さんぬ　ようか　 いご　　たびたび　 さんじょうら これ　　と　　　ととの　　　しんぷ　のひと　　えら　　　 これ　　ひらんさる　　　　うんぬん

建長五年(1253)七月大十七日癸巳。去る八日以後。度々の散状等之を取り整へ、進奉之人を撰び、之を披覽被ると云々。

さわ　　　 もう　　やから
障りを申す輩�@

　　　なわさこんたいふ　　　　　　　　　　　　　　　　ちくぜんぜんじ　〔じびょう さら　　 はっ　　　　のあいだ　　　きゅうじ　　　くは　　　　　　のよし　　　もう　　〕
　那波左近大夫�A　　　　　　　筑前々司〔持病更に發する之間、灸治�Bを加へる之由を申す〕

　　しまづおおすみぜんじ　　　　　　　　　　　　　　びんごぜんじ
　嶋津大隅前司　　　　　　　備後前司

　　　いがぜんじ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　むとうさえもんのじょう　　〔　ごちょうど　　　か　　　　　　べ　　　よし　　 おお　　　くださる　　のところ　　きゅうじ　　のよし　　　もう　　　〕
　伊賀前司　　　　　　　　　武藤左衛門尉〔御調度を懸ける可し由を仰せ下被る之處、灸治之由を申す〕

　　ぶんごのしろうさえもんのじょう　〔　げこく　〕　　 　あだちさぶろうさえもんのじょう　〔　しょろう　〕
　豊後四郎左衛門尉〔下國〕　 足立三郎左衛門尉〔所勞〕

　　おおいずみじろうひょうえのじょう　〔きょうぶく〕　　とうのとしょのすけ　〔さんじょういぜん　　きこく　〕
　 大泉次郎兵衛尉 〔輕服〕　　東圖書助〔散状已前に歸國〕

　　　いがのしろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とおとうみのじろうさえもんさぶろう
　伊賀四郎　　　　　　　　　遠江次郎左衛門三郎

　　つちやのいやさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　 といのさえもんしろう
　土屋弥三郎　　　　　　　　土肥左衛門四郎

　　あだちのさえもんさぶろう
　足立左衛門三郎

参考�@障りを申す輩は、将軍からの催促に欠席を云うのは得宗専制の故か？。
参考�A那波は、大江廣元三男。
参考�B灸治は、穢れ。

現代語建長五年(1253)七月大十七日癸巳。去る8日以後、何度かの回覧名簿を用意して、了解の人を選び、これをお見せしました。
支障を云っている連中
　那波左近大夫政茂　　筑前前司二階堂行泰〔持病を発したので、お灸をしましたと云ってます〕
　島津大隅前司忠時　　備後前司三善康持
　伊賀前司小田時家　　武藤左衛門尉景頼〔弓矢を肩に掛けるように仰せになられましたがお灸をしたと云っております〕
　豊後四郎左衛門尉島津忠綱〔国へ帰った〕　足立三郎左衛門尉元氏〔病気〕
　大泉次郎兵衛尉氏村〔軽い喪〕　東図書助〔回覧前に国へ帰った〕
　伊賀四郎景家　　　　遠江次郎左衛門三郎三浦佐原
　土屋弥三郎　　　　　土肥左衛門四郎実綱
　足立左衛門三郎元氏

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