吾妻鏡入門第四十四巻

建長六年(1254)九月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　こううおおかぜ　　みのこくきゅうし　　　れんじつりょうこくどそんぼうのあいだ　　 しう　　 おいのり　　おこなはれ
建長六年(1254)九月大四日癸夘。降雨大風。巳刻休止す。連日 兩國土損亡之間、止雨の御祈を行被る。

まえはま　をい　　ななせばら　　　あ　　　　のぶかた　 ためちか　ひろすけ　はるのり　 はるさだ　やすふさ　ふみもとら これ　 ほうし
前濱に於て七瀬秡へ�@有り。宣賢・爲親・廣資・�ﾘ憲・�ﾘ定・泰房・文元等之を奉仕す。

おのおの　なんかい　むか　　れつざ　　〔ひがし　　かみ〕　　　ゆきよし　　ゆきかたら　そ　ところ　　のぞ　 これ　 ぶぎょう　　　しちにんちゅう　おお　　ふみもとうわくびなり
　各　南海に向い列座す〔東が上〕。行義・行方等其の所に莅み之を奉行す。七人中に抑せて文元上首也。

しか　　　 せんれい　 まか　　しもざ　　　め　　　ぐ　　　べ　　　のよし　おのおの　うった　もう　　のあいだ　 れつざすべ　　のよしおお　 くださる
而るに先例に任せ下座に召し具す可き之由、 各　訴へ申す之間、列座可き之由仰せ下被る。

よっ　 ふみもと　ざ　　しもにし　　よ　　　　 いっちょう　あいへだ　 ちゃくざせし　　　うんぬん
仍て文元座の下西に寄せ、一町を相隔て着座令むと云々。

現代語建長六年(1254)九月大四日癸卯。雨も大風も午前10時頃に休みに入りました。連日、相模武蔵の両国土が痛めつけられているので、雨を止めるお祈りを行いました。由比ガ浜で、七人で七つの水場でのお祓いがありました。宣賢・為親・広資・晴賢・泰房・文元などが勤めました。それぞれ南の海に向かって並んで座りました〔東が上座です〕。二階堂行義・二階堂行方がその場所に来て指揮担当しました。七人の中に命じて、文元が筆頭だと告げました。しかし、先例通り順に下座に座るべきだとそれぞれ大騒ぎをしてるので、並んで座らせるように将軍から命令がきました。それで、文元は下座に西によって、しかも100っも空けてすわりましたとさ。

説明�@七瀬払いは、26巻貞応3年6月6日条では、由比ガ浜・七里ヶ浜・片瀬川・六浦・鼬川・森戸海岸・江の島龍穴。
又、27巻寛喜2年(1230)11月13日条では霊所、由比ガ浜、七里ヶ浜、片瀬川、六浦、鼬川、森戸海岸、田越川が書かれている。

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