吾妻鏡入門第四十四巻

建長六年(1254)十一月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くまのさんほんぐうぞうえい　　こと　　ざっしょう　　さんそ　　　つ　　　　そ　　　さた　あ
建長六年(1254)十一月小五日甲辰。熊野山本宮造營の事、雜掌�@の參訴に就き、其の沙汰有り。

かつう　か　　しゃりょう みののくにつねとみ　いげ　しょしょ　　ぢとうら　　　しきだい　　　と　　 げんぶつ　 すま　　べ　　　のよし　　これ　 おお　 いださる　　　　うんぬん
且は彼の社領 美濃國恒富以下所々の地頭等、色代�Aを止め現物を濟す可き之由、之を仰せ出被ると云々。

参考�@雑掌は、熊野神社の下級役人。
参考�A色代は、米の代わりに大豆塩綿布絹布等で代納すること。この場合代納を止め米にする。

現代語建長六年(1254)十一月小五日甲辰。熊野神宮本宮の建設について、神社の下級役人が訴えに来たので、その決定がありました。またその領地の美濃国恒富以下の箇所の地頭が、代納を止めて米を納めるように、仰せになられましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　あしかがさまのかみにゅうどうしょうぎ　 びょうあすで　 ききゅう　　およ　 のあいだ
建長六年(1254)十一月小十六日乙夘。天�ﾘ。 足利左馬頭入道正義が 病惱已に危急に及ぶ之間、

これ　 とぶら　　 ため　そうしゅう　か　　だい　 むか　　せし　 たま　　　　うんぬん
之を訪はん爲、相州彼の第へ向は令め給ふと云々。

現代語建長六年(1254)十一月小十六日乙卯。空は晴です。足利左馬入道正義(義氏)の病気が、危険な状態になりましたので、これを見舞うため、時頼さんは足利の屋敷へ向かいましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ごしょちゅう　　きんじゅう のやからは　　めんつけ　　くじ　　　　めん　　べ　　　　のむね　　かげより　 もっ　 そうしゅう　おお　　らる
建長六年(1254)十一月小十七日丙辰。御所中の 近習 之輩者、面付の公事�@を免ず�A可き之旨、景頼を以て相州に仰せ被る。

ごじょう　　　 よ　　　べ　　　 のよし　　これ　　もうさる　　　　うんぬん
御定�Bに依る可し之由、之を申被ると云々。

参考�@面付公事は、一人一人が税としての労務を提供すること。
参考�A免ずは、代理でも構わない。
参考�B御定によるべしは、將軍の御諚。時頼は「そのとおりにしましょう」と云ってる。

現代語建長六年(1254)十一月小十七日丙辰。御所で将軍のおそばに仕える連中は、一人一人が税としての労務提供を免除するように、武藤景頼を使って時頼さんに仰せになりました。「仰せの通りにしましょう。」と申されましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　とりのこくおおぢしん
建長六年(1254)十一月小十八日丁巳。�ﾘ。酉尅大地震。

現代語建長六年(1254)十一月小十八日丁巳。晴れです。午後6時頃大地震。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　にゅうどうしょうしいのげぎょう さまのかみ みなもとのあそん よしうじ　〔ほうみょうしょうぎ〕　そっ　　　〔とし〕
建長六年(1254)十一月小廿一日庚申。霽。入道正四位下行 左馬頭　源朝臣　義氏〔法名正義〕卒す〔年〕。�@

現代語建長六年(1254)十一月小二十一日庚申。晴れました。入道四位下行左馬頭源朝臣足利義氏〔出家名正義〕亡くなりました〔年〕。

参考�@没年記事文治五年１１８９生まれなので６５歳

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