吾妻鏡入門第四十六巻

建長八年(1256)三月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　よ　　　い　　　あめふ　　　つるがおかはちまんぐう　をい　　　　にんのうえ　おこなはれ
建長八年(1256)三月大九日庚子。�ﾘ。夜に入り雨降る。鶴岳八幡宮に於て、仁王會�@を行被る。

参考�@仁王会は、仁王経を読み上げる。鳩摩羅什くまらじゆう訳。護国経典の一つで，般若を受持すべきことを説く。正式名は「仁王般若波羅蜜経」大辞林から

現代語建長八年(1256)三月大九日庚子。晴れです。夜になって雨が降りました。鶴岡八幡宮で仁王経を読み上げる法要を行いました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　ひつじのこく らいめい こさめ　 とりのこく　おうしゅう しき　　 じ　　　　らくしょく　せし　 たま　　　 ほうみょう　かんかく
建長八年(1256)三月大十一日壬寅。�ﾘ。 未尅　雷鳴小雨。酉尅、奥州 職を辞し、落餝�@令め給ふ。法名は觀覺。

参考�@落餝は、重時出家。

現代語建長八年(1256)三月大十一日壬寅。晴れです。午後2時頃雷が鳴って小雨です。午後6時頃、奥州北条重時さんが辞職して髪を落とし出家しました。出家名は観覚です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　いがのぜんじときいえ　 おおくら　 いえ いとう　　さんちょうよ　 　じんかみな しょうぼう
建長八年(1256)三月大十六日丁未。�ﾘ。伊賀前司時家が大倉の家以東、三町餘の人家皆 燒亡す。」

また　　そうしゅう いささ　ふれい　　うんぬん
又、相州�@ 聊か不例と云々。

参考�@相州は、時頼30歳。

現代語建長八年(1256)三月大十六日丁未。晴れです。伊賀前司時家の大倉の家から東、300ｍ程の人家が皆焼けました。」
また、相州北条時頼さんが少し具合が悪いそうです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　さこんたいふしょうげんながときあそん きょうと よ　　 げちゃく　　　 さんぬ　はつか　ろくはら　　　 りむ　　　じ　　　　　きょう　 いで　　　 うんぬん
建長八年(1256)三月大廿七日戊午。霽。左近大夫將監長時朝臣�@ 京都自り下着す。去る廿日六波羅の黶務�Aを辞し、京を出ると云々。

参考�@長時朝臣は、重時の子。
参考�A黶務は、りむは本来律令制の国の業務を指す。

現代語建長八年(1256)三月大二十七日戊午。晴れました。左近大夫将監北条長時さんが、京都から鎌倉へ戻って来ました。先日の20日に六波羅探題の職務を辞職して、京都を出て来たそうです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　きょう　　さきのうまごんのかみ　　おうしゅう　しゅっけ　　かえ　　ため　　れんしょ　な
建長八年(1256)三月大卅日辛酉。�ﾘ。今日、前右馬權頭�@、奥州の出家の替の爲、連署と爲す。

参考�@前右馬權頭は、北條政村52歳。

現代語建長八年(1256)三月大三十日辛酉。晴れです。今日、前右馬権頭北条政村は、重時さんの出家の替えとして、連署になりました。

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