吾妻鏡入門第四十六巻

建長八年(1256)四月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　ぶしゅうさきのりしぜんしつ　 こうしつぜんに　　ふじき　　しょろう　　よっ　　せいきょ　　　〔とししちじゅう〕
建長八年(1256)四月小十日辛未。�ﾘ。武州�@前刺史�A禪室が後室禪尼、不食�Bの所勞に依て逝去す〔季七十〕。

そうしゅう　かく　　こと　　よっ　ちゃくぶく　　ごじうにち　　おんふっか　　うんぬん
相州、此の事に依て着服。五十日の御服暇と云々。

参考�@武州前刺史禪室は、泰時。
参考�A刺史は、唐名。
参考�B不食は、食欲不振。

現代語建長八年(1256)四月小十日辛未。晴れです。武州前刺史禅室故北条泰時さんの未亡人の尼が、食欲不振の病気で亡くなりました〔年は七十才〕。相州時頼さんはこの出来事で穢れが生じたので、五十日の喪に服すそうです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　ひつじのこく あめふ　　　　むつのいやしろうときもち　ぬし　〔としじうろく〕　　　ろくはら　　　そうら　　　ためじょうらく
建長八年(1256)四月小十三日甲戌。�ﾘ。 未尅 雨降る。陸奥弥四郎時茂�@主〔年十六〕六波羅に候はん爲上洛す。

参考�@時茂は、重時の三男。

現代語建長八年(1256)四月小十三日甲戌。晴れです。午後2時頃に雨が降りました。陸奥弥四郎極楽寺流北条時茂さん〔十六才〕は、六波羅探題職につくために京都へ旅たちました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　おうしゅう　〔まさむら〕　しっけん　 こと　たてまつ　ののち　まんどころはじ　　のぎ　あ
建長八年(1256)四月小十四日乙亥。霽。奥州〔政村〕執權の事を奉る之後、政所始め之儀有り。

参考�@奥州は、重時だったが、北條政村が連署になり陸奥守を一緒に譲られたのか？執権複数性か？

現代語建長八年(1256)四月小十四日乙亥。晴れました。奥州常盤流北条政村が、執権職についた政務事務所始め式がありました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 するがのくらんどじろう　　こさむらい ばんちょう　　い　　　　にばん　　うんぬん
建長八年(1256)四月小十八日己夘。駿河藏人次郎、小侍 番帳に入る。二番と云々。

現代語建長八年(1256)四月小十八日己卯。駿河蔵人次郎経親が、将軍の身の回りの世話する小侍所の班長に入りました。二班だそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　きょう　　　むつのいやしろう　じゅらく　　　　 ろくはら　ほくてい　　つ　　　　うんぬん
建長八年(1256)四月小廿七日戊子。�ﾘ。今日。陸奥弥四郎入洛し、六波羅北亭に着くと云々。

現代語建長八年(1256)四月小二十七日戊子。晴れです。今日、陸奥弥四郎極楽寺流北条時茂さんは、京都の六波羅探題公邸に着いたそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　さんばん ひきつけとうにんら　　こと　　そ　　　さた　あ　　　　　　　きょうこれ　　さだ　　らる
建長八年(1256)四月小廿九日庚寅。�ﾘ。三番 引付頭人等の事、其の沙汰有りて、今日之を定め被る。

いはゆる　 むさしのかみともなお いちばん ひきつけ とうたり　　さきのおわりのかみときあき にばんとうたり　　えちごのかみさねとき さんばんとうたり
所謂、 武藏守朝直�@　一番 引付 頭爲。　前尾張守時章�A　二番頭爲。 越後守實時�B 三番頭爲。

参考�@朝直は、51才。�A時章は、42才。�B実時は、33才。

現代語建長八年(1256)四月小二十九日庚寅。晴れです。第三班の裁判担当官班長について、その検討があって、今日これを決めました。それはね、
武蔵守大仏流北条朝直が、一班の班長です。前尾張守名越流北条時章が、二班の班長です。越後守金沢流北条実時が、三班の班長です。

五月へ

吾妻鏡入門第四十六巻