吾妻鏡入門第四十七巻 　

正嘉元年(1257)十二月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　　かいのたろう　　　おおそねかずさのすけら　きょうとよ　　　きさん
正嘉元年(1257)十二月大六日丙戌。天�ﾘ。甲斐太郎・大曽祢上総介等京都自り歸參す。

さんもん　おんじょうじら　　こと　　よっ　　　　さんぬ　じゅうがつしせつ　　な　　じょうらくせし　ところなり
山門・薗城寺等の事に依て、去る十月使節と爲し上洛令む所也。

現代語正嘉元年(1257)十二月大六日丙戌。空は晴です。甲斐太郎長井時秀・大曽祢上総介長泰達が京都から帰って来ました。比叡山と三井寺の争いの事で、先達ての十月に派遣員として京都へ上ったのです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ　　むさしこくし　　　しそく　〔みやおう〕　いささ　やま　　わずら　　　うんぬん
正嘉元年(1257)十二月大十二日壬辰。天�ﾘ。武藏國司が子息〔宮王〕聊か病ひ患うと云々。

現代語正嘉元年(1257)十二月大十二日壬辰。空は晴です。武蔵国司長時の息子〔宮王〕が多少病気だそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひょうじょう　みょうしゅん　みしま　　　いず　　　はこね　　ごさんけい　　こと　そ　　　さた　あ
正嘉元年(1257)十二月大十六日丙申。評定。明春、三嶋・伊豆・筥根へ御參詣の事其の沙汰有り。

よっ　　れい　　まか　　　　ぐぶ　　　ため　　そうにんずう　　ちゅう　　　しんらんすべ　　のむね　こさむらいどころ　おお　　らる　　　　いずみのぜんじゆきかたおお　　　　つた　　　　うんぬん
仍て例に任せ、供奉の爲の惣人數を注し、進覽可き之旨、小侍所へ仰せ被る。和泉前司行方仰せを傳うと云々。

現代語正嘉元年(1257)十二月大十六日丙申。評議会です。来春の三島・伊豆・箱根への二所詣でについて検討しました。それで何時ものようにお供のための名簿を書き出して、宗尊親王将軍家にお見せするように、小侍所へ命じました。和泉前司二階堂行方が将軍の命令を伝達しましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とうとうみじうろうさえもんのじょうよりつらきょうとよ　　　きさん
正嘉元年(1257)十二月大十七日丁酉。遠江十郎左衛門尉頼連京都自り歸參す。

せんじつ　りょうつか　　いぜん　　じゅらくせし　　　いへど　　　　か　　しゅっきょう　　げこう　いご　ごへんじ　うけたまわ　　よっ　　さんちゃくえんいん　　　　うんぬん
先日の兩使い以前に入洛令むと雖も、彼の出京・下向以後御返事を承る。仍て參着遲引すと云々。

現代語正嘉元年(1257)十二月大十七日丁酉。遠江十郎左衛門尉三浦頼連が京都から帰って来ました。先日の長井時秀・大曽祢長泰の二人より先に京入りしましたが、彼らが京都を出て鎌倉へ向った後に、朝廷からの返事を受け取ったのです。それで鎌倉着が遅くなっんだそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　にしょごさんけい　　　ぐぶ　　　そうにんずう　　き　　　むつかもんのすけ　いずみのぜんじゆきかた　　ふ　　　　　しんらんせし　　のところ
正嘉元年(1257)十二月大十八日戊戌。二所御參詣の供奉の惣人數の記。陸奥掃部助、和泉前司行方に付し、進覽令む之處、

くだん　にんずうは　　ことごと　　さいそく　　くは　　　　べ　　　のよし　　うんぬん　　よっ　　これ　　もっ　　さんじょう　もち　　　　おお　　らる　ところなり
件の人數者、 悉く 催促を加へる可き之由と云々。仍て之を以て散状に用う。仰せ被る所也。

さきざき　　ごてん　　つ　　　そ　　しゅう　もよお　　　このたび　　ぎ　　　れい　　はじ　　らる　　　　に　　　　　　　うんぬん
先々、御點に就き其の衆を催す。今度の儀、例を始め被るに似たりと云々。

現代語正嘉元年(1257)十二月大十八日戊戌。二所詣でのお供の名簿について、陸奥掃部助実時と和泉前司二階堂行方に預けて宗尊親王将軍家の見て貰ったところ、ここに書かれた名簿者全てに催促するようにとの事だそうな。それでこの文書を回覧に使うように仰せになられたのです。前もって、名簿にチェックされた人を用います。今度のやりようは、新しく例を始めたのと同様だそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　りっしゅん　おんかたたが　　　にとうごしょせいたん　　　ごしんじょよ　ひつじさるのかた　あいあた　　　　うんぬん
正嘉元年(1257)十二月大廿三日癸夘。�ﾘ。立春の御方違へ。二棟御所西端は、御寢所自り坤方に相當ると云々。

現代語正嘉元年(1257)十二月大二十三日癸卯。晴れです。立春の方角替えです。二棟御所西の端は、ご寝所から未申西南に当たるからだそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 そらはれ
正嘉元年(1257)十二月大廿四日甲辰。天�ﾘ。

とうさんじんずうのうち　　 ある　　　　しか　　べ　　　のじん　　ある　　　　ようすう　　えら　　　　　 のやから　　はじ　　ひさししゅう　けちばんさる
當參人數之中、或ひは然る可き之仁、或ひは要樞に撰ばれる之輩、始めて廂衆を結番被る。

かく　　こと　　せんとう　のぎ　　 もっ　　　　　かんとう　　も さる　　のじょう　 すこぶ　そ　　はばか　あ　　 べ　　　か　のよし　 そうしゅうぜんしつに　おお　 あ　　　さる
此の事、仙洞之儀を以て、關東に摸被る之條、頗る其の憚り有る可き歟之由、相州禪室 于仰せ合は被る。

こた　　もうさる　　のへん　　つ　　　　くらごんのかみちかいえ　　とおとうみのじうろうさえもんのじょうよりつら ら　　 もっ　　おんし　　な　　　　ないない　　えいりょ　　うかが　さる　　のところ
答へ申被る之篇に就き、内藏權頭親家・ 遠江十郎左衛門尉頼連　等を以て御使と爲し、内々に叡慮を窺は被る之處、

ちょっきょあ　　　また　さむらいのさんしょう いかようたるべ　　や のおもむき　これ　　と　　　もうさる
勅許有り。亦、侍 之參昇 何樣爲可き哉之 趣、之を問ひ申被る。

そ　　さかい　 をい　　　 きら　　おぼ　　め　さる　さむらい　いた　　　 は　　 にんずうさだ　　　 ふそく　か のむね　　これ　 おお　　くださる　　　　うんぬん
其の境に於て、嫌ひ思し食被る 侍に至りて者、人數定めし不足歟之旨、之を仰せ下被ると云々。

こと すで　げんじゅうのあいだ　　このえのしょうしょう　いげら　　　もっ　ばんがしら　な　　　　ことさら　ごしんぴつ　　そ　　　　　ぎょかん　 か　　　せし
縡 已に嚴重 之間、 近衛少將 以下等を以て番頭と爲し、故に御宸筆を染め、御簡を書か令む。

 ごりょうし　　 からがみ　　もち　 らる　ところなり
御料紙は唐紙を用ひ被る所也。

こ　あいだ ちんじ あ　　　　　よりつら　しせつ　な　　　　 みょうじをばんがしら　わき　　の　　　らる　　べ　　　　しからずんば しょもう な　　　　　よし　　しき　　　　これ　 うった　もう
此の間珎事有り。頼連使節と爲し、名字於番頭の脇に載せ被る可き、不然者 所望無きの由、頻りに之を訴へ申す。

　さた　あ　　　　　これ　さしおかれ
沙汰有りて之を閣被る。

つい　　といげんざ けちばん　こと　 これ　 さだ　 おかれ　　　　いへど　　　こ　　いちりょうねん　　そ　　しゅうじねん　　けかんのあいだ　　きょう さら　　きんあつ　やから　えらばれ
次で 問見參 結番の事、之を定め置被ると雖も、此の一兩年、其の衆自然に懈緩之間、今日更に勤厚の族を撰被、

これ　　さだ　　らる　　　うんぬん
之を定め被ると云々。

　 さだめ
　定

　 　　ひさしのごしょいちにちいちやけちばん　こと
　　廂御所一日一夜結番の事

　 いちばん　〔ね　うま〕
　一番〔子午〕

　　　 いちじょうしょうしょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さがみしきぶのたいふ
　　一條少將　　　　　　　　　　　　相摸式部大夫

　　　 むつのろくろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　びぜんのさぶろう
　　陸奥六郎　　　　　　　　　　　　備前三郎

　　　 かずさのさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 おおすみしゅりのすけ
　　上総三郎　　　　　　　　　　　　大隅修理亮

　　　 でわのじろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　ちくぜんさぶろうさえもんのじょう
　　出羽次郎左衛門尉　　　　　　　　筑前三郎左衛門尉

　　　 いきのさぶろううえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　じょうのごろう
　　壹岐三郎右衛門尉　　　　　　　　城五郎

　 　にばん　〔うしひつじ〕
　二番〔丑未〕

　　　 あのうのしょうしょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さがみのさぶろう
　　阿野少將　　　　　　　　　　　　相摸三郎

　　　 むさしのごろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ごとういきぜんじ
　　武藏五郎　　　　　　　　　　　　後藤壹岐前司

　　　 さつまのしちろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　しきぶのたいふさえもんのじょう
　　薩摩七郎左衛門尉　　　　　　　　式部太郎左衛門尉

　　　 おのでらのしんさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　じょうのしろうさえもんのじょう
　　小野寺新左衛門尉　　　　　　　　城四郎左衛門尉

　　　 かまたのさぶろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　いちのみやのじろうさえもんのじょう
　　鎌田三郎左衛門尉　　　　　　　　一宮次郎左衛門尉

　 さんばん　〔とらさる〕
　三番〔寅申〕

　　　 なかみかどしょうしょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 おわりのさこんたいふしょうげん
　　中御門少將　　　　　　　　　　　尾張左近大夫將監

　　　 とおとうみのしちろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　にったみかわぜんじ
　　遠江七郎　　　　　　　　　　　　新田三河前司

　　　 ぎょうぶごんのだいゆう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　でわのさぶろうさえもんのじょう
　　刑部權大輔　　　　　　　　　　　出羽三郎左衛門尉

　　　 いずみのさぶろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　ひたちのひょうえのじょう
　　和泉三郎左衛門尉　　　　　　　　常陸兵衛尉

　　　 でわのしちろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひらがしんざぶろう
　　出羽七郎　　　　　　　　　　　　平賀新三郎

　　よんばん　〔う　とり〕
　四番〔夘酉〕

　　　 れいぜいしょうしょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　えちごのうまのすけ
　　冷泉少將　　　　　　　　　　　　越後右馬助

　　　 しんさがみのさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　むさしのはちろう
　　新相摸三郎　　　　　　　　　　　武藏八郎

　　　 あしかがのさぶろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さどのごろうさえもんのじょう
　　足利三郎　　　　　　　　　　　　佐渡五郎左衛門尉

　　　 いきのしんさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　かとううえもんのじょう
　　壹岐新左衛門尉　　　　　　　　　加藤右衛門尉

　　　 じょうのろくろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おおいずみのくろう
　　城六郎　　　　　　　　　　　　　大泉九郎

　　　ごばん　〔たついぬ〕
　五番〔辰戌〕

　　　 にじょうのじじゅう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　むつのしちろう
　　二條侍從　　　　　　　　　　　　陸奥七郎

　　　 くらごんのかみ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　さきのうねめのしょう
　　内藏權頭　　　　　　　　　　　　前采女正

　　　 むさしさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おきのじろうさえもんのじょう
　　武藏左衛門尉　　　　　　　　　　隱岐二郎左衛門尉

　　　 すおうのごろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　 かずさのさぶろううえもんのじょう
　　周防五郎左衛門尉　　　　　　　　上総三郎右衛門尉

　　　 むさしのさこんしょうげん　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 といのしろう
　　武藏左近將監　　　　　　　　　　土肥四郎

　　ろくばん　〔 み　い 〕
　六番〔巳亥〕

　　　 ぎょうぶしょうゆう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　むさしさこんのたいふしょうげん
　　刑部少輔　　　　　　　　　　　　武藏左近大夫將監

　　　 とおとうみのしちろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 あいだのじょうすけ
　　遠江七郎　　　　　　　　　　　　秋田城介

　　　 こうづけのたろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　 いせのじろうさえもんのじょう
　　上野太郎左衛門尉　　　　　　　　伊勢次郎左衛門尉

　　　 ひごのさぶろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　するがくらんどのじろう
　　肥後三郎左衛門尉　　　　　　　　駿河藏人次郎

　　　 しもつけのしろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おおそねさえもんたろう
　　下野四郎　　　　　　　　　　　　大曽祢左衛門太郎

　　みぎ　　けちばん　　しだい　　まも　　　　いちにちいちや　　けたいな　　ごんじせし　　べ　　のじょう　　おお　　　　よっ　　さだ　　　ところくだん　ごと
　右、結番の次第を守り、一日一夜、懈怠無く勤仕令む可き之状、仰せに依て定める所件の如し。

　　　 　　　　　しょうかがんねんじうにがつにち
　　　　正嘉元年十二月日

　　さだめ
　定

　　　 といけんざんけちばん　こと
　　問見參結番の事

　 いちばん　〔ね　うま〕
　一番〔子午〕

　　　 じょうのしろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　 すおうのごろうさえもんのじょう
　　城四郎左衛門尉　　　　　　　　　周防五郎左衛門尉

　　　 すおうのしろうひょうえのじょう　〔しおや〕　　〔ついか〕
　　周防四郎兵衛尉〔塩谷〕〔追加〕

　　 にばん　〔うしひつじ〕
　二番〔丑未〕

　　　 おきのさぶろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　 かずさのたろうさえもんのじょう
　　隱岐三郎左衛門尉　　　　　　　　上総太郎左衛門尉

　　　 ひごのさぶろう　　〔だざい〕　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 しきぶのさえもんのじょう　〔ついか〕
　　肥後三郎〔太宰〕　　　　　　　　　式部左衛門尉〔追加〕

　 さんばん　〔とらさる〕
　三番〔寅申〕

　　　 おやまのしちろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　おしだてのくらんどたいふ
　　小山七郎左衛門尉　　　　　　　　押立藏人大夫

　　　 といのしろう
　　土肥四郎

　 よんばん　〔う　とり〕
　四番〔卯酉〕

　　　 じょうのろくろう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 しきぶのたろうさえもんのじょう
　　城六郎　　　　　　　　　　　　　式部太郎左衛門尉

　　　 さつまのしちろう
　　薩摩七郎

　　 ごばん　〔たついぬ〕
　五番〔辰戌〕

　　　 ごとういきさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 むとうさえもんのじょう
　　後藤壹岐左衛門尉　　　　　　　　武藤左衛門尉

　　　 かのうのさえもんしろう
　　狩野左衛門四郎

　 ろくばん　〔 み　い 〕
　六番〔巳亥〕

　　　 こうじまのこじろうさえもんのじょう　　　　　　　　　　　　　　　　かぢのごろうさえもんのじょう
　　幸嶋小二郎左衛門尉　　　　　　　加地五郎左衛門尉

　　　 まきのさえもんじろう　　　　〔ついか〕　　　　　　　　　　　　　　　 はたののひょうえじろう
　　牧左衛門二郎〔追加〕　　　　　　波多野兵衛二郎

　 みぎ　　けちばん　　しだい　　まも　　　　いちにいちや　　けたいな　　　ごんじせし　　べ　　　のじょう　　 おお　　　よっ　　さだ　　　ところくだん　ごと
　右、結番の次第を守り、一日一夜、懈怠無く勤仕令む可き之状、仰せに依て定める所件の如し。

　　　 　　　　　しょうかがんねんじうにがつにち
　　　　正嘉元季十二月日

現代語正嘉元年(1257)十二月大二十四日甲辰。それは晴です。現在出仕中の人の内、ある人はそれなりの立場のある人、ある人は大事な地位に選ばれた人々、で初めて庇の御所の班編成を組みました。「このことは、仙洞の方式を関東で真似をすることは、とても恐れ多い事じゃないか」と相州禅室時頼さんは反論しました。お答えなさる言葉について、内蔵権頭親家と遠江十郎左衛門尉頼連達を派遣員として内々に父の後嵯峨天皇の意向を伺いに行かせたところ、天皇の命が出ました。また、侍の順番はどう配慮すべきかとの質問がありました。採否の境について使いたくない侍をはずせば、人数が不足しませんかとの旨を云ってきました。
ことをきちんと規則通りにして、近衛府の少将以下を班長として、わざわざ自筆で書簡をお書きになりました。紙は唐紙(特別な用紙)を使われたのです。
その間に珍事がありました。頼連は派遣員として名前を班長の脇に書き添えようとしたら、望んでいませんと熱心に辞退して申し出たので、命があって止める事にしました。
つぎに、将軍への取次役を決めて置きましたけど、この一二年そのメンバーが予想外になまけていたので、今日新たに真面目な連中を選んで順番を決めましたとさ。
　決め事
　　　庇の御所に24時間勤務について
　一番〔子と午〕
　　一条少将能清　　　　　　　　相模式部大夫時弘
　　陸奥六郎塩田義政　　　　　　備前三郎名越長頼
　　上総三郎大曽祢義泰　　　　　大隅修理亮島津久時
　　出羽次郎左衛門尉二階堂行有　筑前三郎左衛門尉二階堂行実
　　壱岐三郎右衛門尉佐々木頼綱　城五郎安達重景
　二番〔丑と未〕
　　阿野少将　　　　　　　　　　相模三郎時利
　　武蔵五郎時忠　　　　　　　　後藤壱岐前司基政
　　薩摩七郎左衛門尉伊東祐能　　式部太郎左衛門尉伊賀光政
　　小野寺新左衛門尉行通　　　　城四郎左衛門尉時盛
　　鎌田三郎左衛門尉義氏　　　　一宮次郎左衛門尉康有
　三番〔寅と申〕
　　中御門少将公仲　　　　　　　尾張左近大夫将監公時
　　遠江七郎時基　　　　　　　　新田三河前司頼氏
　　刑部権大輔　　　　　　　　　出羽三郎左衛門尉二階堂行資
　　和泉三郎左衛門尉二階堂行章　常陸兵衛尉行雄
　　出羽七郎二階堂行頼　　　　　平賀新三郎惟時
　四番〔卯と酉〕
　　冷泉少将隆茂　　　　　　　　越後右馬助時親
　　新相模三郎時村　　　　　　　武蔵八郎頼直
　　足利三郎利氏　　　　　　　　佐渡五郎左衛門尉後藤基隆
　　壱岐新左衛門尉葛西清員　　　加藤右衛門尉時景
　　城六郎顕盛　　　　　　　　　大泉九郎長氏
　五番〔辰と戌〕
　　二条侍従雅有　　　　　　　　陸奥七郎業時
　　内蔵権頭資親　　　　　　　　前采女正
　　武蔵左衛門尉　　　　　　　　隠岐次郎左衛門尉泰清
　　周防五郎左衛門尉忠景　　　　上総三郎右衛門尉足利満氏
　　武蔵左近将監　　　　　　　　土肥四郎実綱
　六番〔巳と亥〕
　　刑部少輔教時　　　　　　　　武蔵左近大夫将監時仲
　　遠江七郎時基　　　　　　　　秋田城介安達泰盛
　　上野太郎左衛門尉梶原景綱　　伊勢次郎左衛門尉行経
　　肥後三郎左衛門尉内藤為成　　駿河蔵人次郎経親
　　下野四郎景綱　　　　　　　　大曽祢左衛門太郎長継
　右の通りの順番を守り、一日一夜24時間勤務になまけずに努めるべきの文章は、将軍の命令によって決められたのはこのとおりです。
　　　　正嘉1年12月日
　決め事
　　　将軍への取次役の順番について
　一番〔子と午〕
　　城四郎左衛門尉時盛　　　　　周防五郎左衛門尉忠景
　　周防四郎兵衛尉泰朝〔塩谷〕〔追加〕
　二番〔丑と未〕
　　隠岐三郎左衛門尉二階堂行氏　上総太郎左衛門尉長経
　　肥後三郎内藤為成〔太宰〕　　式部左衛門尉〔追加〕
　三番〔寅と申〕
　　小山七郎左衛門尉宗光　　　　押立蔵人大夫資能
　　土肥四郎実綱
　四番〔卯と酉〕
　　城六郎顕盛　　　　　　　　　式部太郎左衛門尉伊賀光政
　　薩摩七郎伊東祐能
　五番〔辰と戌〕
　　後藤壱岐左衛門尉基頼　　　　武藤左衛門尉景頼
　　狩野左衛門四郎景茂
　六番〔巳と亥〕
　　幸島小二郎左衛門尉　　　　　波多野兵衛二郎
　右の通りの順番を守り、一日一夜24時間勤務になまけずに努めるべきの文章は、将軍の命令によって決められたのはこのとおりです。
　　　　正嘉1年12月日

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　なわぎょうぶしょうゆう　　　すおうのごろうさえもんのじょう　ぜんのじろうさえもんのじょう　ひらがのしんざぶろうら
正嘉元年(1257)十二月大廿九日己酉。那波刑部少輔・周防五郎左衛門尉・善次郎左衛門尉・平賀新三郎等、

にしょ　ごさんけい　　　ぐぶ　　　くわ　　らる　　　　さんじょう　き　せんど　か　　もら　　　　よっ　　なり　　うんぬん
二所御參詣の供奉に加へ被る。散状の記先度書き漏すに依て也と云々。」

きょう　　　　 おこうしばん　　けちばんさる　　　　うんぬん
今日、御格子�@番を結番被ると云々。

　 さだめ
　定

　　　 　 おこうし　じょうげけちばん　 こと　〔しだいふどう〕
　　御格子上下結番の事〔次第不同〕

　 いちばん
　一番

　　　 ぎょうぶしょうゆう　〔のりとき〕　　　　　　　　　　　　　　　 むさしさこんのたいふしょうげん　〔ときなか〕
　　刑部少輔〔教時〕　　　　　　　　武藏左近大夫將監〔時仲〕

　　　 びぜんのさぶろう　〔ながより〕　　　　　　　　　　　　　　　 くらごんのかみ　〔ちかいえ〕
　　備前三郎〔長頼〕　　　　　　　　内藏權頭〔親家〕

　　　 じょうのろくろう　〔あきもり〕　　　　　　　　　　　　　　　 　 おおすみしゅりのすけ　〔ひさとき〕
　　城六郎〔顯盛〕　　　　　　　　　大隅修理亮〔久時〕

　　　 ちくぜんのじろうさえもんのじょう　〔いくより〕　　　　　　　でわのじろうさえもんのじょう　〔ゆきあり〕
　　筑前二郎左衛門尉〔行頼〕　　　出羽二郎左衛門尉〔行有〕

　　　 おきのさぶろうさえもんのじょう　　　〔ゆきうじ〕　　　　　　いちのみやのじろうさえもんのじょう　〔やすあり〕
　　隱岐三郎左衛門尉〔行氏〕　　　一宮二郎左衛門尉〔康有〕

　　 にばん
　二番

　　　 さがみしきぶのたいふ　　〔ときひろ〕　　　　　　　　　　　むさしのごろう　　〔ときただ〕
　　相摸式部大夫〔時廣〕　　　　　 武藏五郎〔時忠〕

　　　 するがしきぶのたいふ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 いせのじろうさえもんのじょう　　〔ゆきつね〕
　　駿河左近大夫　　　　　　　　　 伊勢二郎左衛門尉〔行經〕

　　　 いずみのじろうさえもんのじょう　　〔ゆきかげ〕　　　　　　えっちゅうのろくろうさえもんのじょう　〔ときなり〕
　　和泉二郎左衛門尉〔行章〕　　　越中六郎左衛門尉〔時業〕

　　　 いずものじろうさえもんのじょう　　〔ときみつ〕　　　　　　 かじわらこうづけのさぶろう　〔かげうじ〕
　　出雲二郎左衛門尉〔時光〕　　　梶原上野三郎〔景氏〕

　　　 つしまのたろう　　　〔よりうじ〕　　　　　　　　　　　　　　　 かまたのさぶろうさえもんのじょう　〔よしなが〕
　　對馬太郎〔頼氏〕　　　　　　　　鎌田三郎左衛門尉〔義長〕

　 さんばん
　三番

　　　 おわりさこんのたいふしょうげん　〔きんとき〕　　　　　　　するがのごろう　　　〔みちとき〕
　　尾張左近大夫將監〔公時〕　　　　駿河五郎〔通時〕

　　　 のとのさこんくらんど　　　〔なかいえ〕　　　　　　　　　　　しもつけのしろう　　　〔かげつな〕
　　能登左近藏人〔仲家〕　　　　　　下野四郎〔景綱〕

　　　 いきのしんさえもんのじょう　　〔もとより〕　　　　　　　　　 ちくぜんのさぶろうさえもんのじょう　〔ゆきざね〕
　　壹岐新左衛門尉〔基頼〕　　　　　筑前三郎左衛門尉〔行實〕

　　　 でわのさぶろうさえもんのじょう　　〔ゆきすけ〕　　　　　　しきぶのたろうさえもんのじょう　〔みつまさ〕
　　出羽三郎左衛門尉〔行資〕　　　　式部太郎左衛門尉〔光政〕

　　　 おおすがのしんさえもんのじょう　〔ともうじ〕　　　　　　　ひらがのしんざぶろう　〔これとき〕
　　大須賀新左衛門尉〔朝氏〕　　　　平賀新三郎〔惟時〕

　 よんばん
　四番

　　　 とおとうみのうまのすけ　〔きよとき〕　　　　　　　　　　　　むさしのはちろう　〔よりなお〕
　　遠江右馬助〔�C時〕　　　　　　　武藏八郎〔頼直〕

　　　 ながいのほうがんだい　〔やすもと〕　　　　　　　　　　　　じょうのごろう　　〔しげかげ〕
　　長井判官代〔泰元〕　　　　　　　城五郎〔重景〕

　　　 おきのじろうさえもんのじょう　〔とききよ〕　　　　　　　　　ひたちのじろうさえもんのじょう　〔ゆきかつ〕
　　隱岐二郎左衛門尉〔時�C〕　　　　常陸二郎兵衛尉〔行雄〕

　　　 かずさのさぶろうさえもんのじょう　〔よしやす〕　　　　　　かとうさえもんのじょう　〔かげつね〕
　　上総三郎左衛門尉〔義泰〕　　　　加藤左衛門尉〔景經〕

　　　 さつまのしちろうさえもんのじょう　〔すけよし〕　　　　　　 おおいずみのくろう　〔ながうじ〕
　　薩摩七郎左衛門尉〔祐能〕　　　　大泉九郎〔長氏〕

　　 ごばん
　五番

　　　 えちごのうまのすけ　　〔ときちか〕　　　　　　　　　　　　　とおとうみのじろう　〔みちとき〕
　　越後右馬助〔時親〕　　　　　　　遠江二郎〔時通〕

　　　 おやまでわのしろう　　　〔ときとも〕　　　　　　　　　　　　　みまさかひょうえくらんど　〔ながのり〕
　　小山出羽四郎〔時朝〕　　　　　　美作兵衛藏人〔長教〕

　　　 いきのさぶろうさえもんのじょう　〔よりつな〕　　　　　　　　とおとうみのじゅうろうさえもんのじょう　〔よりつら〕
　　壹岐三郎左衛門尉〔頼綱〕　　　　遠江十郎左衛門尉〔頼連〕

　　　 たけいしのしろうさえもんのじょう　〔たねうじ〕　　　　　　　ひごのしんさえもんのじょう　〔かげもち〕
　　武石四郎左衛門尉〔胤氏〕　　　　肥後新左衛門尉〔景茂〕

　　　 おのでらのしんさえもんのじょう　〔ゆきみち〕　　　　　　　といのしろう　　〔さねつな〕
　　小野寺新左衛門尉〔行通〕　　　　土肥四郎〔實綱〕

　 ろくばん
　六番

　　　 むつのろくろう　　　〔よしまさ〕　　　　　　　　　　　　　　　おな　　　　しちろう　〔なりとき〕
　　陸奥六郎〔義政〕　　　　　　　　同じき七郎〔業時〕

　　　 あしかがのさぶろう　〔よりうじ〕　　　　　　　　　　　　　　　さどのごろうさえもんのじょう　〔もとたか〕
　　足利三郎〔頼氏〕　　　　　　　　佐渡五郎左衛門尉〔基隆〕

　　　 こうづけのごろうさえもんのじょう　〔しげみつ〕　　　　　　 うじいえさえもんのじょう　〔つねとも〕
　　上野五郎兵衛尉〔重光〕　　　　　氏家左衛門尉〔經朝〕

　　　 むとうのじろうさえもんのじょう　〔よりやす〕　　　　　　　　すおうのごろうさえもんのじょう　〔ただかげ〕
　　武藤二郎左衛門尉〔頼泰〕　　　　周防五郎左衛門尉〔忠景〕

　　　 やまのうちのさぶろうさえもんのじょう　〔みちやす〕　　　かまたのじろうひょうえのじょう　〔ゆきとし〕
　　山内三郎左衛門尉〔通廉〕　　　　鎌田次郎兵衛尉〔行俊〕

　 みぎ　　しだい　　まも　　　　おのおのけたいな　　さんきんすべ　 のじょう　 おお　　　　よっ　　さだ　　　ところくだん　ごと
　右、次第を守り、 各 懈怠無く參勤可き之状、仰せに依て定める所件の如し。

　　　 　　　　 しょうかがんねんじうにがつにち
　　　　正嘉元年十二月日

参考�@格子は、寝殿造りの建具の蔀戸(しとみど)のこと。

現代語正嘉元年(1257)十二月大二十九日己酉。那波刑部少輔政茂・周防五郎左衛門尉忠景・善次郎左衛門尉三善康有・平賀新三郎惟時達は、二所詣でのお供に追加されました。回覧用の名簿に書き漏れたからです。」
今日、蔀度係の順番について決められましたそうな。
　決め事
　　　蔀度の係の順番について〔順不同〕
　一番
　　刑部少輔教時　　　　　　　　　　武蔵左近大夫将監時仲
　　備前三郎長頼　　　　　　　　　　内蔵権頭親家
　　城六郎顕盛　　　　　　　　　　　大隅修理亮久時
　　筑前二郎左衛門尉二階堂行頼　　　出羽二郎左衛門尉二階堂行有
　　隠岐三郎左衛門尉二階堂行氏　　　一宮二郎左衛門尉康有
　二番
　　相模式部大夫時弘　　　　　　　　武蔵五郎時忠
　　駿河左近大夫　　　　　　　　　　伊勢二郎左衛門尉行経
　　和泉二郎左衛門尉二階堂行章　　　越中六郎左衛門尉(宇都宮)横田時業
　　出雲二郎左衛門尉時光　　　　　　梶原上野三郎景氏
　　対馬太郎頼氏　　　　　　　　　　鎌田三郎左衛門尉義長
　三番
　　尾張左近大夫将監公時　　　　　　駿河五郎通時
　　能登左近蔵人仲家　　　　　　　　下野四郎景綱
　　壱岐新左衛門尉後藤基頼　　　　　筑前三郎左衛門尉二階堂行実
　　出羽三郎左衛門尉二階堂行資　　　式部太郎左衛門尉伊賀光政
　　大須賀新左衛門尉朝氏　　　　　　平賀新三郎惟時
　四番
　　遠江右馬助清時　　　　　　　　　武蔵八郎頼直
　　長井判官代泰元　　　　　　　　　城五郎重景
　　隠岐二郎左衛門尉時清　　　　　　常陸二郎兵衛尉行雄
　　上総三郎左衛門尉義泰　　　　　　加藤左衛門尉景経
　　薩摩七郎左衛門尉伊東祐能　　　　大泉九郎長氏
　五番
　　越後右馬助時親　　　　　　　　　遠江二郎時通
　　小山出羽四郎時朝　　　　　　　　美作兵衛蔵人長教（12件中長教4件、家教2件、同時出演無し）
　　壱岐三郎左衛門尉佐々木頼綱　　　遠江十郎左衛門尉頼連
　　武石四郎左衛門尉胤氏　　　　　　肥後新左衛門尉景茂
　　小野寺新左衛門尉行通　　　　　　土肥四郎実綱
　六番
　　陸奥六郎義政　　　　　　　　　　同七郎業時
　　足利三郎頼氏　　　　　　　　　　差後五郎左衛門尉後藤基隆
　　上野五郎兵衛尉重光　　　　　　　氏家五郎左衛門尉経朝
　　武藤二郎左衛門尉頼泰　　　　　　周防五郎左衛門尉忠景
　　山内三郎左衛門尉通康　　　　　　鎌田次郎兵衛尉行俊
　右の通りの順番を守り、勤務になまけずに努めるべきの文章は、将軍の命令によって決められたのはこのとおりです。
　　　　正嘉元年十二月日

吾妻鏡入門第四十七巻