吾妻鏡入門第五十二巻

文永二年(1265)閏四月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　きのとい　そらはれ　とうとうみのしろうたいらのまさふさ　そっ
文永二年(1265)閏四月小七日乙亥。天�ﾘ。遠江四郎平政房�@卒す。

参考�@四郎平政房は、北条時政―時房―時直―政房。没年記事。

現代語文永二年(1265)閏四月小七日乙亥。空は晴です。遠江四郎平政房が亡くなりました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　つちのえね　ごしょ　　ひと　な　　のよし　　そ　　きこ　　あ　　　　　よっ　　　　ま　　とうばん　　ふさん　しゅう　　ちゅうしんすべ
文永二年(1265)閏四月小廿日戊子。御所に人無き之由、其の聞へ有るに依て、先ず當番で不參の衆を注進可し。

ざいか　　　しょさる　　べ　　　のむね　　さてんきゅうきょう　　おんしをこさむらい　つか　　さる　　　　うんぬん
罪科に處被る可き之旨、左典厩今日、御使於小侍に遣は被ると云々。

現代語文永二年(1265)閏四月小二十日戊子。御所が無人になる事があるとの噂があるので、まず当番の者で欠席者を書き出すように。罰則処分にするとの内容を、左典厩北条時宗は、使者を小侍所へ伝えさせましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　みずのとみ　そらはれ　　こと　　　ごがん　　よっ　　　　ごしょ　　をい　　　ごだいそんごう　ぎょうほう　　しぎょうさる
文永二年(1265)閏四月小廿五日癸巳。天�ﾘ。殊なる御願に依て、御所に於て五大尊合の行法を始行被る。

わかみやべっとうそうじょう　これ　　ほうし　　　　ばんそうじゅっく　　ひき　　　　　うんぬん
若宮別當僧正、之を奉仕す。伴僧十口を率いると云々。

参考五大尊合は、息災，増益，調伏を祈る密教の修法の一つ。五大尊は不動，降三世（ごうざんぜ），軍荼利（ぐんだり），大威徳，金剛夜叉の五大明王のことで，天台密教では金剛夜叉にかえて烏蒭(枢)沙摩（うすさま）明王を用いることもある。これらの明王は，1明王ごとに壇を連ねて5壇で行う場合と，1壇のみで勤める場合とがあり，前者をとくに五壇法，後者を一壇法，五大尊合行法という世界大百科事典から

現代語文永二年(1265)閏四月小二十五日癸巳。空は晴です。特別な願いがあって、御所で五大明王の加持祈祷を始めさせました。若宮筆頭僧正隆弁がこれを勤めました。お供の坊さんを十人連れていましたとさ。

五月へ

吾妻鏡入門第五十二巻