吾妻鏡入門第四十三巻

建長五年(1253)四月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　さるのこく　 らいめい　 あめふ　　　　　ぢしん
建長五年(1253)四月大三日庚戌。�ﾘ。申尅、雷鳴、雨降る。地震。

現代語建長五年(1253)四月大三日庚戌。晴れです。午後4時頃、雷が鳴って雨が降りました。地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あめふ　　　　うだいしょう　〔きんもときょう〕　　しょうぐんけを　がれいたてま　らる　　　こんげつ　まつりじもく　　 ばっか　　はいにん　　　うんぬん
建長五年(1253)四月大廿日丁夘。雨降る。右大將〔公基卿�@〕將軍家於賀礼奉つ被る。今月の祭�A除目に幕下�Bを拝任すと云々。

きょうだい あいなら　こと　　せんきわずか　いちりょうどか
兄弟 相並ぶ�C事、先規僅に一兩度�D歟。

参考�@公基は、万里小路（までのこうじ）で、西園寺。
参考�A祭は、賀茂祭(葵祭り)で旧暦位四月中の酉の日。
参考�B幕下は、大将。
参考�C兄弟相並ぶは、弟の公相が左大将で関東申次。
参考�D先規僅に一兩度は、平家物語の宗盛・知盛の記事に3・4度とある。

現代語建長五年(1253)四月大二十日丁卯。雨降りです。右大将〔万里小路西園寺公基〕が、宗尊親王将軍家に挨拶を送ってきました。今月の葵祭りの人事異動で大将を叙任したそうな。弟公相の左大将と兄弟左右に並ぶのは、先例ではわずかに一・二度だけです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　さいごく　　しゅご　ぢとう　ごけにん　　　ろくはら　　　めい　　そむ　　ば　　 ちうしんせし　　　　つ
建長五年(1253)四月大廿五日壬申。西國の守護地頭御家人が六波羅の命に背く者、注進令むに就き、

こと　　　 ごさた　 あ　　　べ　　　のよし　　おお　 つか　 さる　　　　うんぬん
殊に御沙汰有る可き之由、仰せ遣は被ると云々。

現代語建長五年(1253)四月大二十五日壬申。九州の地頭をしている御家人が、六波羅探題の命令を聞かないと書き送って来ましたでの、特に処分するように云い送りましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれ　そうしゅうひごろぞうりゅうさる　しちぶつやくしぞう　　きょう　 くよう　の　ぎ　あ　　　 りょうそく　　 ごきしょう　　うんぬん
建長五年(1253)四月大廿六日癸酉。天�ﾘ。相州日來造立被る七佛藥師像�@。今日供養之儀有り。兩息�Aの御祈請と云々。

わかみやそうじょう　〔りゅうべん〕　どうしたり　　うんぬん
若宮僧正〔隆弁〕導師爲と云々。

また　しなののくにの　ぜんこうじ　しゅうぞう　　　くよう　　　と　　　らる　　　　　どうし　　たいふけんじゃいしん　〔　とうじ　　　　がくとう　〕　　　だんな　　むつのかみ　〔 しげとき 〕　　かんようぼうかんじんせし
又、信濃國之善光寺の修造、供養を遂げ被る。導師は大夫堅者維眞〔當寺の學頭〕。檀那は陸奥守〔重時〕。觀養坊勸進令む。

参考�@七仏薬師は、薬師瑠璃光(るりこう)如来のほかに六仏を加え、同体、またはその異名とする七仏のこと。
参考�A両息は、時宗は聖寿丸。宗政は福寿丸。

現代語建長五年(1253)四月大二十六日癸酉。空は晴です。時頼さんが最近作らせている七体の薬師如来などの像が、今日開眼供養の儀式がありました。二人の息子を祈願したそうな。鶴岡八幡宮筆頭僧正隆弁が指導僧だそうな。
また、信州長野の善光寺の修理も完成供養を遂げました。指導僧は大夫賢者維真〔善光寺の講師筆頭〕。スポンサーは、陸奥守北条重時。観養坊が寄付を集めたそうです。

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