吾妻鏡入門第四十四巻

建長六年(1254)二月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あめふ　　　　 おうしゅう にしょ　　まい　 せし　 たま
建長六年(1254)二月大二日乙巳。雨降る。奥州二所へ參り令め給ふ。

現代語建長六年(1254)二月大二日乙巳。雨降りです。重時さんが箱根伊豆の両権現参りに出かけました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　ぶしゅう ほうへい　　おんし　　な　　　　　 にしょ　　しんぱつ
建長六年(1254)二月大三日丙午。�ﾘ。武州奉幣の御使と爲し、二所へ進發す。

現代語建長六年(1254)二月大三日丙午。晴れです。武州北条朝直は、幣を納める代参として、箱根伊豆の両権現参りに出かけました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　 みのこく　　うまのすけちかいえ　 　すくしょしっか　　　　うこんたいふしょうげんときさだてい　あんどうとうないさえもんのじょう　いえへんし　　かいじん　　な
建長六年(1254)二月大四日丁未。霽。巳尅。右馬助親家�@が宿所失火す。右近大夫將監時定亭・安東藤内左衛門尉が家片時に灰燼と爲す。

参考�@親家は、加賀守藤原親任の子。内蔵権頭,木工権頭などを歴任。建長4年(1252)6代将軍宗尊親王の鎌倉行きに随行。41巻建長4年4月1日

現代語建長六年(1254)二月大四日丁未。晴れました。午前10時頃右馬助藤原親家の宿舎から失火。右近大夫将監時定の屋敷・安東藤内左衛門尉光成の家があっという間に灰になりました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　 おうしゅう にしょよ　　　きちゃく
建長六年(1254)二月大六日己酉。�ﾘ。奥州二所自り歸着す。

現代語建長六年(1254)二月大六日己酉。晴れです。重時さんが箱根伊豆の両権現参りから帰り着きました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　たつのこく　ぶしゅうにしょ よ　　　きさん
建長六年(1254)二月大八日辛亥。霽。辰刻。武州二所自り歸參す。

現代語建長六年(1254)二月大八日辛亥。晴れました。午前8時頃、武州北条朝直が箱根伊豆の両権現参りから帰りました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　さんぬ　しょうがつにじうろくにち　おおみやいん ごちゃくたいのよし　　きょうと　よ　　これ　　もうさる
建長六年(1254)二月大十二日乙夘。�ﾘ。去る　正月廿六日　大宮院�@　御着帶之由、京都自り之を申被る。

また　　おな　　にじうはちにち　 このえおおとの　わかぎみごげんぷく　ごみょうじ　　もとひら　　うんぬん
又、同じき廿八日、近衛大殿が若君御元服。御名字は基平�Aと云々。

参考�@大宮院は、御嵯峨天皇の中宮で、西園寺姞子。
参考�A基平の母は、九条道家の娘仁子。

現代語建長六年(1254)二月大十二日乙卯。晴れです。去る1月26日に後嵯峨天皇の中宮の西園寺姞子さんが安産を願って妊婦の腹帯を着けましたと、京都から云って来ました。又、同じ1月28日に近衛大殿兼経さんの若君が元服式をしたそうです。名前は基平だそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 きょう ひょうじょう　わかみやべっとうそうじょう　　ろくはら　だいじいん　　たま　　　　うんぬん
建長六年(1254)二月大廿日癸亥。今日評定。 若宮別當僧正、 六波羅大慈院を給ふと云々。

現代語建長六年(1254)二月大二十日癸亥。今日は政務会議です。鶴岡八幡宮筆頭僧正隆弁に六波羅大慈院を与えたそうな。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　とりのこく　　〔　ゆうき　〕　さきのこうづけのすけ じゅごいのげ ふじわらのあそんともみつほっし　〔ほうみょうにちあ　〕　そっ　 　〔としはちじうしち〕
建長六年(1254)二月大廿四日丁夘。�ﾘ。酉刻、〔結城〕 前上野介　從五位下 藤原朝臣朝光法師〔法名日阿〕卒す〔年八十七〕。

現代語建長六年(1254)二月大二十四日丁卯。晴れです。午後6時頃、前上野介従五位下藤原朝臣結城朝光法師〔出家名は日阿〕が亡くなりました〔年は87〕。

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