吾妻鏡入門第四十七巻
正嘉元年(1257)六月小
正嘉元年(1257)六月小一日甲申。晴。御所旬御鞠也。爲一條侍從定氏奉行催人々。將軍家〔御狩衣。直衣〕令立御。土御門中納言〔布衣〕刑部卿〔同。上鞠一足〕。前讃岐守忠時朝臣〔同〕。二條少將雅有朝臣〔同〕。 |
読下し はれ ごしょ しゅん おんまりなり いちじょうじじゅうさだうじ ぶぎょう な ひとびと もよお
正嘉元年(1257)六月小一日甲申。晴。御所の旬の御鞠也。一條侍從定氏 奉行と爲し人々を催す。
しょうぐんけ 〔おんかりぎぬ のうし〕 た せし たま つちみかどちゅうなごん 〔 ほい 〕 ぎょうぶきょう 〔おな うわまり いち あし 〕
將軍家〔御狩衣。直衣〕立た令め御う。土御門中納言〔布衣〕。刑部卿〔同じ。上鞠の一の足〕。
さきのさぬきのかみただときあそん 〔おな 〕 にじょうしょうしょうまさありあそん 〔おな 〕 おのでらしんさえもんのじょう 〔 ほい 〕 かぞ もう さんびゃく
前讃岐守忠時朝臣〔同じ〕。二條少將雅有朝臣〔同じ〕。小野寺新左衛門尉〔布衣〕計へ申す。三百。
しきぶのたいふ うまのすけ なかつかさごんのしょうゆう 〔 ほい 〕
式部大夫 右馬助 中務權少輔〔布衣〕
さどのごろうさえもんのじょう むとうさえもんのじょう 〔 ほい 〕
みむらのさえもんのじょう 〔おな 〕
佐渡五郎左衛門尉 武藤左衛門尉〔布衣〕
三村左衛門尉〔同じ〕
かまたのさぶろうさえもんのじょう 〔おな 〕 おな じろうひょうえのじょう
こうじまのさえもんのじょう 〔おな 〕
鎌田三郎左衛門尉〔同じ〕
同じき次郎兵衛尉 幸嶋左衛門尉〔同じ〕
こ ほか
此の外
ところのさえもんのじょう 〔ゆきかげ〕 うえもんしろう やまがら 〔おのおのういざん〕
所左衛門尉〔行景〕 右衛門四郎 山柄〔
各 初參〕
とうのさんみもととも むねよらのあそん だざいごんのしょうに
藤三位基朝 宗世等朝臣 太宰權少貳
すおうのぜんじ いげ すうやから げんしょう こう
周防前司已下數輩、見證に候ず。
参考旬は、朝廷に年中行事の一。天皇が臣下から政務を聞き、祝宴を催した。古くは毎月1日11日16日21日。
現代語正嘉元年(1257)六月一日甲申。晴れです。御所での朔日の蹴鞠会です。一条侍従定氏が担当して人々に呼びかけました。
宗尊親王将軍家〔狩衣・直衣〕お立ちになりました。土御門中納言顕方〔布衣〕・難波刑部卿宗教〔同、名人の中でも一番うまい方〕・讃岐前司島津忠時さん〔同〕・二条少将雅有さん・小野寺新左衛門尉行通が数を数えて報告しました。300です。
式部大夫相摸時弘 右馬助越後時親 中務権少輔守教〔布衣〕
佐渡五郎左衛門尉後藤基隆 武藤左衛門尉景頼〔布衣〕 三村左衛門尉時親〔同〕
鎌田三郎左衛門尉義長〔同〕 同鎌田次郎兵衛尉行俊 幸島左衛門尉〔同〕
この他
所左衛門尉行景 河野右衛門四郎 山柄〔それぞれ初参加〕
藤三位基朝 宗世等の貴族 太宰少弐狩野為佐
周防前司島津忠綱はじめ数人が見張り役です。
| 正嘉元年(1257)六月小十四日丁酉。霽。大慈寺供養兼日雖被点今日。依未終修理之功延引云々。又依有二星合。始行御祈等云々。 |
読下し はれ だいじじ
くよう けんじつ きょう てん らる いへど
いま しょうり のこう おえ よっ
正嘉元年(1257)六月小十四日丁酉。霽。大慈寺の供養、兼日今日を点ぜ被ると雖も、未だ修理之功を終ざるに依て、
えんいん
うんぬん また にせいごう あ
よっ おいのりら しぎょう うんぬん
延引すと云々。又、二星合有るに依て、御祈等を始行すと云々。
現代語正嘉元年(1257)六月十四日丁酉。晴れました。大慈寺の修繕開眼供養の日取りを、前もって決めていましたが、未だ修理の作業が終わらないので、延期にしたそうな。又、二つの星が犯しあっているので、お祈りを始めましたとさ。
|
正嘉元年(1257)六月小廿三日丙午。晴。巳剋。將軍家爲御納凉。入御相摸太郎殿山内泉亭。御遊宴。未剋。小雨灑而弥催凉風。 |
読下し
はれ みのこく しょうぐんけ ごのうりょう ため
さがみのたろうどの やまのうち いずみてい にゅうぎょ ごゆうえん
正嘉元年(1257)六月小廿三日丙午。晴。巳剋。將軍家御納凉の爲、相摸太郎殿が山内の泉亭へ入御す。御遊宴。
ひつじのこく こさめぬら て
ややすずかぜ もよお
未剋。
小雨灑し而、弥凉風を催す。
しょうぐんけ
將軍家
おんきば
御騎馬
じょうのしろうさえもんのじょうときもり しきぶのたろうさえもんのじょうみつまさ
城四郎左衛門尉時盛 式部太郎左衛門尉光政
おきのじろうさえもんのじょうとききよ すおうのごろうさえもんのじょうただかげ
隱岐二郎左衛門尉時淸 周防五郎左衛門尉忠景
さつまのしちろうさえもんのじょうすけよし いずみのじろうさえもんのじょうゆきあき
薩摩七郎左衛門尉祐能 和泉次郎左衛門尉行章
むとうさえもんのじょうよりやす ぜんのじろうさえもんのじょうやすあり
武藤左衛門尉頼泰 善次郎左衛門尉康有
むとううこんしょうげんかねより かまたのさぶろうさえもんのじょうよしなが
武藤右近將監兼頼 鎌田三郎左衛門尉義長
おな じろうひょうえのじょうゆきとし といのしろうさねつな
同じき次郎兵衛尉行俊 土肥四郎實綱
いじょうおんが さゆう そうら
以上御駕の左右に候う。
おんうしろ 〔きば 〕
御後〔騎馬〕
ぎょうぶしょうゆうのりとき
くらごんのかみちかいえ
刑部少輔教時 内藏權頭親家
とおとうみうまのすけきよとき
おわりさこんたいふしょうげんきんとき
遠江右馬助淸時 尾張左近大夫將監公時
むつのろくろうよしまさ むさしさこんたいふしょうげんときなか
陸奥六郎義政 武藏左近大夫將監時仲
むつのさぶろうときむら おな しちろうなりとき
陸奥三郎時村 同じき七郎業時
むさしのごろうときただ
とおとうみのしちろうときもと
武藏五郎時忠 遠江七郎時基
あいだのじょうすけやすもり
とおとうみのじろうときみち
秋田城介泰盛 遠江次郎時通
いずみのぜんじゆきかた
むとうしょうけいかげより
和泉前司行方 武藤少卿景頼
たんごのかみよりかげ
丹後守頼景
かがのほういんじょうせい きう ほう しぎょう うんぬん
加賀法印定淸、祈雨の法を始行すと云々。
参考山内の泉亭は、何処だろう？
現代語正嘉元年(1257)六月二十三日丙午。晴れです。午前10時頃、宗尊親王将軍家は納涼の為、相模太郎時宗の山内の泉亭へお入りになりました。お遊びです。午後2時頃小雨が降って、涼しい風を呼びました。
宗尊親王将軍家
乗馬です。
城四郎左衛門尉安達時盛 式部太郎左衛門尉伊賀光政
隠岐二郎左衛門尉時清 周防五郎左衛門尉島津忠景
薩摩七郎左衛門尉伊東祐能 和泉次郎左衛門尉二階堂行章
武藤左衛門尉頼泰 次郎左衛門尉三善康有
武藤右近将監兼頼 鎌田三郎左衛門尉義長
同次郎兵衛尉鎌田行俊 土肥四郎実綱
以上は、情軍の乗馬の左右にいます。
後ろに続く〔乗馬〕
刑部少輔教時 内蔵権頭親家
遠江右馬助清時 尾張左近大夫将監名越公時
陸奥六郎塩田義政 武蔵左近大夫将監時仲
陸奥三郎時村 同七郎業時
武蔵五郎時忠 遠江七郎時基
秋田城介安達泰盛 遠江次郎時通
和泉前司二階堂行方 武藤少卿景頼
丹後守頼景
加賀法印定清が、雨乞いの祈祷を始めたそうな。
|
正嘉元年(1257)六月小廿四日丁未。將軍家御逗留最明寺殿。有御鞠會。將軍家令立御。人數。 |
読下し しょうぐんけ さいみょうじどの
ごとうりゅう おんまりえ あ しょうぐんけ た せし
たま にんずう
正嘉元年(1257)六月小廿四日丁未。將軍家、最明寺殿へ御逗留。御鞠會有り。將軍家立た令め御う。人數。
つちみかどちゅうなごん 〔あきかた〕 ひょうえのすけただとき
土御門中納言〔顯方〕 兵衛佐忠時
にじょうじじゅうまさあり 〔うわまり〕 じじゅうさだうじ
二條侍從雅有〔上鞠〕 侍從定氏
ぎょうぶしょうゆうのりとき うまのすけはるとき
刑部少輔教時
右馬助淸時
さこんたいふしょうげんときなか
左近大夫將監時仲
そうしゅうぜんしつ
いげ すうやから げんしょう うんぬん
相州禪室
以下數輩 見證すと云々。
現代語正嘉元年(1257)六月二十四日丁未。宗尊親王将軍家は、最明寺殿へお泊りです。蹴鞠の会がありました。宗尊親王将軍家も、参加です。人数は、
土御門中納言顕方 兵衛佐姉小路忠時
二条侍従雅有〔名人〕 一条侍従定氏
刑部少輔教時 遠江右馬助清時
武蔵左近大夫将監時仲
相州禅室時頼さん以下が見張り役です。
| 正嘉元年(1257)六月小廿五日戊申。晴。將軍家還御。 |
読下し はれ しょうぐんけかんご
正嘉元年(1257)六月小廿五日戊申。晴。將軍家還御。
現代語正嘉元年(1257)六月二十五日戊申。晴れです。宗尊親王将軍家は、お帰りです。
| 正嘉元年(1257)六月小廿八日辛亥。放生會隨兵以下被廻散状云々。 |
読下し ほうじょうえ ずいへい
いげ さんじょう めぐ さる うんぬん
正嘉元年(1257)六月小廿八日辛亥。放生會の隨兵以下、散状を廻ら被ると云々。
現代語正嘉元年(1257)六月二十八日辛亥。再来月の八幡宮での放生会のお供の兵隊以下のメンバーの回覧を回しましたとさ。
吾妻鏡入門第四十七巻