吾妻鏡入門第廿二巻

建保二年甲戌(1214)十月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　よ　　　い　　　　　しょうぐんけ にしょ よ　　ごかんちゃく
建保二年(1214)十月小二日癸巳。�ﾘ。夜に入り、將軍家二所自り御還着。

そうしゅうとうごくいちのみや　ほうへい　　おんし　　な　　　　　とうりゅう　たま
相州當國 一宮�@へ奉幣の御使と爲し、逗留し給ふ。

参考�@當國一宮は、相模一ノ宮なら高座郡寒川町宮山３９１６寒川神社。梶原景時の領地だったが、義時の領地になっているらしい。

現代語建保二年(1214)十月小二日癸巳。晴れです。夜になって、将軍実朝様は、二所詣でから帰り着きました。義時さんは、相模一の宮寒川神社へ幣を奉納する代参として宿泊しました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　うのこく　　そうしゅう さんちゃく　たま　　　いぬのこく　 そうしゅう　 しそく　ごぜん　　をい　 げんぷく　 たま
建保二年(1214)十月小三日甲子。霽。夘尅。相州、參着し給ふ。戌尅。相州が子息御前に於て元服し給ふ。

りはつ　 さきのするがのかみこれよしあそん　　　さがみのごろうさねよし　　ごう
理髪は前駿河守惟義朝臣也。相摸五郎實義�@と号す。

参考�@相摸五郎實義は、金沢流初代。後に実泰と変え、27歳で家督を嫡子実時に譲り出家してしまう。実の字は実朝からか？

現代語建保二年(1214)十月小三日甲子。晴れました。朝六時頃義時さんが到着しました。午後八時頃、義時さんの五番目の息子の大人への儀式元服式を行いました。髪を整える役は、大内前駿河守惟義さんです。相模守の五男なので、相模五郎実義と名乗ります。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　いのこく　おおぢしん
建保二年(1214)十月小六日丁酉。�ﾘ。亥尅大地震。

現代語建保二年(1214)十月小六日丁酉。晴れです。夜十時頃大地震です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　 さるのこく　はなは　あめ　 らいめい
建保二年(1214)十月小十日辛丑。霽。申刻。甚だ雨、雷鳴。

現代語建保二年(1214)十月小十日辛丑。晴れました。午後四時頃、大雨に雷です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だいじじ　　をい　　　ようじょうそうじょう　　 しゃりえ　　 しぎょう
建保二年(1214)十月小十五日丙午。大慈寺に於て、葉上僧正、舎利會を始行す。

現代語建保二年(1214)十月小十五日丙午。大慈寺で、葉上坊僧正栄西が仏舎利を供養する法会を始めました。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　とらのこう　つきたいはく　〔あいさ　　いっしゃくごすん　　ところ　〕　おか　　　　あいなら　　　　 たつのこく　 およ
建保二年(1214)十月小廿七日戊午。�ﾘ。寅刻、月太白〔相去る一尺五寸の所〕を犯す。相並ぶこと辰刻に及ぶ。

これ　　み　　　　 よし してん　やからこれ　 もう
之を見るの由司天の輩之を申す。

現代語建保二年(1214)十月小二十七日戊午。晴れです。午前四時頃、月が金星の軌道を犯しました。〔一尺五寸の位置に居ます〕一緒に並んでいるのが午前八時頃まで続きました。これを見ていた天文方の連中が申しあげました。

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