吾妻鏡入門第廿三巻

建保六年戊寅(1218)正月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　ごとうたいふほうがんもときよ　　ひきゃくきょうとよ　　　さんちゃく　　　もう　　　　い
建保六年(1218)正月大十二日甲申。�ﾘ。後藤大夫判官基�Cの飛脚京都自り參着し、申して云はく。

さんぬ　みっか　　しらかわへん　　むほんものあ　　　　　もときよすなは　い　　むか　　　 ついぶのところ　 ろうじゅうらおお　 もっ　 きずされ
去る三日、白河邊に謀叛者有り。基�C即ち行き向い、追補之處、郎從等多く以て疵被る。

しかしながら　つい　くだん　ぞくしゅ　きょう　　　これ　　　いせへいし　　　よりゅう　かもんのごんのすけまさしげ　　うんぬん
然而、遂に件の賊主を梟す。是、伊勢平氏の餘流　掃部權助正重　と云々。

きょうしゃあ　　　　よっ　　　　 うごう　　　 もう　　　　　　ぎ　　　　　ものなり
驕奢有るに依て、烏合し申さんと擬する者也。

現代語建保六年(1218)正月大十二日甲申。晴れです。後藤大夫判官基清の伝令が京都から到着して報告しました。先達ての三日に、白河のあたりに謀反人がいるので、基清は早速出かけて行って、捕まえようとしたところ、家来が大勢怪我をさせられました。それでも、とうとうその謀反人の親玉の首を取りました。こいつは伊勢平氏の分家の掃部権助平正重だそうです。おごりがあるので群れ集まろうと企んでいた者なのです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　しょうぐんけ　つるおかはちまんぐう　　ごしゃさん
建保六年(1218)正月大十三日乙酉。霽。將軍家、 鶴岳八幡宮へ 御社參。

現代語建保六年(1218)正月大十三日乙酉。晴れました。将軍実朝様は鶴岡八幡宮へお参りです。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　 まんどころ　をい　　 あまみだいどころなんざん　ごさんけい　　こと　　そ　　　　さた　あ
建保六年(1218)正月大十五日丁亥。�ﾘ。政所に於て、尼御臺所南山へ御參詣の事、其の沙汰有り。

そうしゅうこしょうされ　べ　　　　　うんぬん
相州扈從被る可しと云々。

現代語建保六年(1218)正月大十五日丁亥。晴れです。政務事務所で、尼御台所政子様の熊野詣について、協議があり、相州時房さんがお供をすることになりましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　はれ　　しょうぐんけ　　さぬき　　こくしゅ　　あ　　　もう　　せし　　たま
建保六年(1218)正月大十七日己丑。�ﾘ。將軍家、讃岐の國守を擧げ申し令め給ふ。

はや　 そうたつすべ　 のよし　 きょう するがのかみすえとき　〔　きょうとしゅご　〕　のもと　　おお　　つか　　され
早く奏達可き之由、今日駿河守季時〔京都守護〕之許へ仰せ遣は被る。

これ　　しきぶのたいふやすときあそん　もっ　　　くだん　こくしゅ　　にん　　られ　　べ　　　のよし　　そ　　　　さた　あ
是、式部大夫泰時朝臣を以て、件の國守に任じ被る可き之由、其の沙汰有り。

ちょっきょののち　にんじん　 もうされ　 べき　　　　うんぬん
勅許之後、任人に申被る可きと云々。

現代語建保六年(1218)正月大十七日己丑。晴れです。将軍実朝様は、讃岐の国司を推薦するから、早く朝廷へ上申するように、今日、駿河守季時〔京都守護〕の所へ通知を出しました。それは、式部大夫泰時さんをその国司に任命するようにとお決めになられました。許可があってから本人に云うようにとのことだそうな。

参考この任官の話は、京都側に何も記録が無いので、偽作くさい。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あめふ　　　　　きょう　　　ししゃさんちゃく
建保六年(1218)正月大廿一日癸巳。雨降る。京都の使者參着す。

さんぬ　じうさんにち　しょうぐんけ　ごんのだいなごん　にん　 せし　 たま　　のよし　　これ　 もう
去る十三日 將軍家、權大納言に任じ令め給ふ之由、之を申す。

現代語建保六年(1218)正月大二十一日癸巳。雨降りです。京都からの使いが来ました。先日の十三日に将軍実朝様は、権大納言に任命されたと報告しました。

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