吾妻鏡入門第廿七巻

寛喜元年己丑(1229)五月小

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つるがおか　しんじなり　 しょうぐんけぎょさんな　　　　　むつのごろうほうへい　　おんし　　な
寛喜元年(1229)五月小五日壬申。鶴岡の神事也。將軍家御參無し。陸奥五郎奉幣の御使と爲す。

現代語寛喜元年(1229)五月小五日壬申。鶴岡八幡宮の端午の節句の神事です。将軍頼経様(12歳)お参りは無しで、陸奥五郎北条実泰が幣を捧げる代参です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 あめふ　しゅうじつきゅうしせず　　ねのこくはれ　　ぞく　　　げっしょくせいげん
寛喜元年(1229)五月小十五日壬午。雨降り終日休止不。子刻�ﾘに属す。月蝕正現す。

　おいの　　　　　　　やくしごま　　　〔だいしんそうづ〕　　　いちじこんろん　　〔しなのほういん〕　　　　はちじもんじゅ　〔さいしょうりしい〕　　　あいぜんおう　〔わかみやべっとう〕
御祈りは、藥師護摩〔大進僧都〕。一字金輪〔信濃法印〕。八字文殊〔宰相律師〕。愛染王〔若宮別當〕。

現代語寛喜元年(1229)五月小十五日壬午。雨降りで一日中降り止みません。夜中の十二時頃になってようやく晴れましたが、月食は現れませんでした。月食のお祓いのお祈りは、薬師如来の護摩焚き〔大進僧都寛基〕。一時金輪〔信濃法印道禅〕。八字文殊〔宰相律師〕。愛染明王〔八幡宮筆頭定雅〕。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　 みのこく　 いぬ くそ　 ごしょ　　つね　　ざ　　たたみ　　うえに　か　　　　　　　うんぬん
寛喜元年(1229)五月小廿一日戊子。�ﾘ。巳尅、犬糞を御所の常の座の疊の上于懸けると云々。

おんうら　 おこな　れるのところ　　やまい　こと　つつし　　　こうぜつ　 き　　　　　め　　　べ　　　のよし　　はるかた　はるしげ　くにつぐれんしょ　 かんもん　 けん　　　 うんぬん
御占を行は被之處、 病の事を愼み、口舌を聞こし食す可き之由、�ﾘ賢、�ﾘ茂、國継連署の勘文を献ずと云々。

現代語寛喜元年(1229)五月小二十一日戊子。晴れです。午前十時頃、犬が糞を御所の将軍の座る畳の上にかけてしまいました。すぐに占いをさせたところ、病気に気を付けて、人の話に耳を傾けるようにと、安陪晴賢・安陪晴茂・安陪國継が連名で上申書を捧げましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 きょう　ひょうじょう　いご　 そうしゅう　 ぶしゅう　 するがのぜんじ　　ごとうしんほうがん　　しなののみんぶたいふにゅうどうら　ごしょ　　まいられ
寛喜元年(1229)五月小廿三日辛夘。今日評定以後、相州、武州、駿河前司、後藤新判官、信濃民部大夫入道等御所へ參被る。

しょうぐんけ　おうぎ　め　　 いだ　　　　か　 ひとびと　　なかに　お　　　せし　　たま　　おのおの　めまし　　しょうぶ　　もっ　　これ　　たま　　　　　　とうざのきょうなり
將軍家 扇を召し出し、彼の人々の中于置き令め給ふ。 各　目増の勝負を以て之を賜はる。當座之興也。

現代語寛喜元年(1229)五月小二十三日辛卯。今日の政務会議の後、相州北条時房さん・武州北条泰時さん・駿河前司三浦義村・後藤新判官基綱・信濃民部大夫入道二階堂行盛達が御所へ来ました。将軍頼経様は、扇を近習に出させ、その人達の中へ置かせました。それぞれサイコロを振って出た目の数を勝負して勝った者が貰いました。その場の余興です。

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