吾妻鏡入門第廿八巻

寛喜三年辛卯(1231)八月大

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そらはれかぜしず　　せじょうようや　ほうぎょう　　しがい　おもむろ　さんしつ　　　　うんぬん
寛喜三年(1231)八月大一日甲寅。天�ﾘ風靜か。世上漸く豊饒�@。死骸　徐 に散失すと云々。

参考�@世上漸く豊饒は、旧暦の八月なので、新暦の九月半ばすぎなので、早稲の新米が取れ始めたのであろう。

現代語寛喜三年(1231)八月大一日甲寅。空は晴れて風は静かです。世間ではやっと米が取れ初めたので、餓死者がやっと減ってきましたとさ。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　つるがおか　ほうじょうえ　　しょうぐんけ おんいで
寛喜三年(1231)八月大十五日戊辰。霽。鶴岳の放生會。將軍家 御出。

おおいのすけありとき　ぎょけん　　えき　　　　おうみのたろうさえもんのじょうしげつな　　ごちょうど
 大炊助有時�@ 御劍を役す。 近江太郎左衛門尉重綱 は御調度。

 ぐぶにん　　 たいふほうがんもとつな　 うさみのほうがんすけまさ　 するがのほうがんみつむらなり
供奉人は大夫判官基綱、宇佐美判官祐政、 駿河判官光村 也。

参考�@大炊助有時は、義時の六男(本当は四男)で父義時から宮城県伊具郡(丸森町等)を相続して伊具流北条氏。

現代語寛喜三年(1231)八月大十五日戊辰。晴れました。鶴岡八幡宮では生き物を放ち贖罪する放生会です。将軍頼経様(14)出席。大炊助有時が刀持ち。近江太郎左衛門尉佐々木重綱が弓矢をかつぎます。お供は、大夫判官後藤基綱・宇佐美判官祐政・駿河判官三浦光村です。

読下し　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 はれ　　 しんじ　　しょうぐんけ おんいで　　いげ　れい　 ごと　　　　みだいどころ　ごけんぶつ　　ため　　 ばば　　　さじき　　 わた　 たま
寛喜三年(1231)八月大十六日己巳。�ﾘ。神事。將軍家 御出、已下例の如し。 御臺所 御見物の爲、馬塲の棧敷に渡り御う。

現代語寛喜三年(1231)八月大十六日己巳。晴れです。鶴岡八幡宮の神事。将軍頼経様出席、奉納は何時もの通りです。将軍の奥さん竹御所が流鏑馬見物のため馬場の仮座敷にお出でです。

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